「みどりの血」

小箱エイト

「みどりの血」

物心ついたときから、僕はほかのひとと違うことに気づいた。

だからケガや病気には気をつけていた。

僕の身体に流れているのはみどり色の血液だ。

あるとき、幼稚園の友達が転んで膝小僧をすりむいたとき、

赤い血が滲んでいたのをみてから、

僕はしばらくの間ショックから立ち直れなかった。

そして、指に巻いたカットバンをそっとめくっては、

自分の指先に残るみどり色の傷口を見ては泣いた。

ある日、ママに聞いてみた。

「カエルの血はみどり?」

「さぁ、どうなのかしらねぇ。でもやっぱり血は赤いと思うわ」

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「みどりの血」 小箱エイト @sakusaku-go

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