TIPS・01
■さいたま市
本編の主な舞台。埼玉県南東部に位置する県庁所在地にして、政令指定都市。
推計人口約131万人超(2021年現在、市として日本9位)。
面積217.43㎢。
だいたいなんでもあるが、ここにしかないようなものは特にない――そういう空気の街。
だけどまあ、そういう場所にしかないものもあるよねっていう。逆に? みたいな。
■大宮
さいたま市のふんわり上ら辺。旧大宮市。
というかこの場合、だいたいJR大宮駅周辺を指している感じ。
《まめの木》や《トトちゃん》などがある。
駅の東側にあるのが《大栄橋》。
■魔術師
ざっくりした定義で言えば《生まれついて魔力を持っており、それを扱うすべを学んだ者》という感じ。
魔力とはざっくり、精神のエネルギーであり、それを用いて《世界法則を都合よく書き換える》ことを魔術と呼ぶ。
たとえば《火を出す》という魔術は、《その場に火は存在しない》という状態にある世界法則を《火がある》という状態に書き換える行為であり、よく世界を法則が記された一冊の本、その文章を書き替える魔力がインクにたとえられる。
世界という本文に書かれている文章を魔力で書き換える――ただし元の文章のほうが強い(筆圧が濃い的な感覚)ため、書き換えは常に一時的。魔力というインクが切れた段階で魔術は薄れ、必ず消える。永続しない。
イメージ的には《何が書いてあるのか誰にも読めない文字をなんとか自分の理屈(世界観)で上書きする》という感じになる。《文字で絵を描く》《絵で文章を書く》などと表現される、
個人が勝手に世界法則を書き換える行為は、正しい状態にあろうとする世界の修正力と比べて弱い。それを補う考え方が《術式》であり、ある種のオカルト的な共通幻想、人類が持つ普遍的なイメージのアーキタイプを用いること。
今回も再びざっくり言ってみると、たとえば《相手の髪を交ぜた藁人形に釘を打ちつければ呪える》とか《結んだ紐を解くと風が起きる》とかいうようなオカルト的な《常識》を儀式、あるいは詠唱やその他などで補完することを言う。
個人ではなく人類という総体の世界観が適応されるため、より強力な魔術を使ったりできる。
そうでなくとも自己暗示になり、「こうすれば」「こうなる」という因果を自分の中に持っておくのは魔術を学ぶ第一歩。
現代魔術師は《書式設定》と表現することも。
ちなみに体内に魔力を走らせ魔術を扱う際、肌の表面にランダムな形で魔力の光の線が走る。
術者の能力によってだいたい十段階くらいに位階がある。本来なら《魔術律戒》の認定を受けて初めて決まるものだが、律戒所属の魔術師でなくとも、だいたいこのくらい――というように実力の指標にされることがある。
その最上位が《
■異能者
魔術によらざる手法で世界を変える者。魔術が個人の世界観による書き換えならば、異能はどちらかといえば異世界観のコピーペーストに近い。
異能者は《異海》と表される、この世ならざる世界観に接続し、異界の法則をそのまま地球に貼りつける。
こちらも基本的には永続せず、魔術と違って繋がっているものをそのまま貼りつけるだけ=汎用性がなくひとつのことしかできない代わりに、おおむね魔術より強度において上回る。ここで言う強度とは《能力が強い》という意味ではなく《世界に対する改変の度合いが強い》という意味。
魔術師的には理屈がないと忌み嫌うものだが、実際には異界の法則であり理屈はある。
そのため異能者をそのまま異界接続者と表現する者もいる。
ただし、あくまで個人を通して行われる以上、その異界法則は能力者の魂に濾過/染色され、能力者個人の性質に能力が左右される。《異界法則を、個人の世界観によって解釈した上で行使する》もの。
接続の度合いを異海深度と表現するが、深ければ深いほど、だいたい人格にまで影響してきてしまう。深度が深いと肉体まで影響を受け、身体能力/感覚器官の異常な性能向上といった副作用が発生しやすい。
■世界観
世界の見方。価値観。共通幻想。自己の所属する世界をどう認識しているかという視点。
魔術/異能にかかわらず重要な考え方となるが、ふんわり言葉の使われ方が違ったりして面倒臭い。
あらゆる魔術/異能が大なり小なり影響を受け本質を変える。魔術師にとっては魂の根幹の向く先を決めるものでもあるため重要視される。
たとえば鳴見熾が生来持つ《接続》の特性は、彼女の《他者と繋がりたい、心の内を知りたい》という世界観の発露であるし、あるいは愛子憂の持つ《零落》の異能ならば、他者を貶める異界法則を彼女の《全てのものは落ちぶれて価値を失う/零になる》という世界観によって染色された能力である。
■魔女
生まれつき魔術を魂に刻まれているもの。能力として魔術を操る者。
いわゆる本物の魔女は希少。そして、ほとんどがすでに死亡済み。数少ない生き残りは特異点として数えられている。
歴史上、ほとんどが女性ばかりであり、術式を持って生まれてくる男性は存在した記録がない。ゆえの《魔女》。
ただ嘘か真か、かつて魔女を患った男性が実在したという記録ならざる都市伝説もある。
■特異点
人類を次の可能性へと至らせ得る者。あるいは、人類を滅ぼし得る者。
人類の中から生じた異常。
権利者の権利を持つ者。権利権利者とでも言うのか。
現代では十八名らしい。十八人いるのか、十八の枠があるだけなのかは詳細不明。
特異点であることが判明している者は、全員が学會によって賞金額の設定されていない賞金首に手配されている。
意味するところは明白だが、その権利が行使されたことは過去一度もない。たぶん今後もない。
一般人が知る由もない裏の裏の裏の人間。人間。
だいたい冗談みたいな能力を持っており好き勝手に生きている化物揃い。持ち得る権利がいいほうに転べば人類に多大な恩恵をもたらす一方、悪いほうの目が出れば人類を絶滅させかねない――そのどちらの権利も所有し得る者。
厄介だが殺すわけにもいかないってかそもそも殺せないけどでもできたら死んでくれたほうが安心なんだがやっぱりもったいない気もするしいやそれでも安全策を取って結局は死んでくれねえかな……みたいに思われている。死にゃしない。
特異点たる者を見出すのは三体の獣――白烏、灰猫、黒狗――であるという。この三体は現代において確認されている、最後の精霊、幻想生命。らしい。
かつて人工的に特異点を生み出す研究が行われた際、現生する魔女が特異点であることから魔女化が着目され、人工魔女計画が立案されたという噂がある。
■
白紙の未来を覗き込む学會の頂点。特異点第二位。白の臨界。
超遠未来視の異能者。
誕生は8世紀頃とすら言われる(その何が人間なのだろうって感じだがあくまで人間)、見た目は若いふざけたジジイ。
彼の持つ異能は、ときおり存在する未来予測/観測系の異能の中でも、あり得ないほどの
現代に、現代の科学では説明できない科学を持ち込んだ張本人。唯一の窓口。
たまにどう考えても「未来の科学でも説明できねえだろ?」みたいなものまであるとかないとか。
学會のトップ、というか事実上学會そのものであるため、特異点の中では例外的に賞金首にならないで済む……のだが面白いので自分の首に賞金を懸けている。
学會的には「万が一にも殺されようものならあらゆることが終わりなのでやめてほしいのだが逆らえるわけもねえしどうせ死なねえから放置」という状態。
烏と気が合い、猫に嫌われ、狗を見たら即座に逃げ出す。
ちなみにゲーム好きらしい(だからどうした)。
■星剣フィニスティア
聖剣。救星権。
黒須大輝が転移した異世界において、精霊の手によって鍛造されたとされる剣。
資格ある者の手に渡ることで、所有者に絶大な恩恵をもたらす。
また機能を統御する疑似人格として、精霊に生み出された精霊――大輝がティアと呼んでいた霊造精霊が憑いている。
フィニスティアとは異世界の言葉(古い言語で、少なくとも大輝が転移した時代に母語としての話者はいない)で《嵐を断つもの》。《フィニス》が《打倒・打破する/克服する/終わらせる》、《ティア》が《嵐/災い/天災/人間の力ではどうにもできない脅威》といった意味のニュアンス(よってティアという呼び名は「災い」って呼んでるのに近いため実はいい意味ではない。嵐ちゃんだと捉えれば、まあ)。
要するに《魔王を倒すもの》という、割とまんまの意味。実際、魔王を倒すための神格武装だが、実は――以下省略。
■吸血鬼
吸血種(吸血性の生命種の中でも特異な能力を発揮するもの)のカテゴリ内において、主に人型――人類とほぼ変わりのない外見を持つものを指して言う。吸血鬼だからといって、全ての発生が同じとは限らない。
中でも《真祖》とは、先天的/後天的を問わず吸血種として初代であるもの、言い換えれば《ほかの吸血鬼の影響によって吸血種になったのではないもの》を指す。
生まれたときから吸血鬼だったもの、あるいは魔術等によって自ら吸血鬼へと変化したものが真祖。
特徴としては総じて《高い不死性》《吸血行為による生命力の略奪能力》《超人的な身体能力》を持つこと。その他、なんらかの特異能力が備わっている場合もある。
吸血鬼は総じて生殖行為によって増えることがない。行為自体は可能だが子を為すことができなかったり、できても子が吸血鬼ではなかったりする。
その代わり別の手段(主に吸血)によって血族を増やしていく。
そうして他の吸血鬼によって吸血鬼になった者が、一般的な吸血鬼。日光や流水といった弱点を抱えている。
これは吸血鬼による人間の吸血鬼化には、どうしても情報/質の劣化が発生してしまうため。
逆に、そういった弱点を真祖は概して持たない。これは定義上、必ず初代である真祖には劣化がないから。
人間の吸血鬼化は《全ての血を一滴残らず吸われること》が条件であることが多く、大抵の場合は普通にそのまま死ぬ。生き残ったとしても理性を失って怪物化するなど、吸血鬼が数を増やすことは滅多にない。かつては人狼とも混同された。
真祖もピンキリであるが、その中には《王権階級》という、いわば真祖の真祖――完全純血の貴族が存在するらしい――が以下略。
かつて魔術師の中には不死性を求めて吸血鬼化する者(真祖を目指す/能力が足りなければ血を吸ってもらう)が多くいたが、現代では吸血鬼を指して《人類進化の失敗例》、《袋小路の種》などと呼ぶ者もいる――らしいがやはり略。
■喫茶《のどか屋》
埼玉県さいたま市大宮駅東口付近に存在する喫茶店。喫煙可。
美味しい食事と極上のコーヒーを楽しめる、隠れた名店。
あまり目立たないが常連は多く、それなりに繁盛している。バイト募集中。
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