私の嫌いな私

変われない罪

布団に突っ伏して、声を殺して泣いていると、子供の頃のことを思い出す。自分の部屋で、電気も点けず、親に気付かれないようにひっそりと泣いている。悔しくて悔しくて、自分は悪くないのにと泣いている。

出る杭は打たれるという言葉とも違うけれど、私はいわゆる目立たない子供ではなかった。悪目立ちして、やんちゃな同級生に馬鹿にされ、ケンカを売られ、負けて帰る子供だった。

あれから三十年は経ったのに、やってることが変わらなくて、益々涙が溢れる。

相手は自分の子供だ。子供だから、成長途中で、まだ出来ないことも多くて、時間管理も出来なくて、危機感もなくて、罪悪感もない。

でも、小学校の先生は待ってくれない。宿題と能力値が釣り合ってなくても、「最後まで頑張りましょう」とか「達成感を与えたい」とか「ズルを覚えるのは良くないから」とか言う。

でもね、先生。子供は嫌なことで感じるのは達成感じゃなく解放感だし、ズルはとっくに覚えてるの。頑張ってるのはほとんど私です。

親だから当然だって？親だから根気よく付き合って、良かれと思って教えたら「Boo！」って返す子供を諭して、途中から明らかに話を聞いてなくても、怒らず最後まで身の丈に合ってない宿題をやらせるの？

努力は裏切らないから？

でもね、先生。

私も、子供の頃から人並みには努力してきましたよ。真面目にやったし、ズルはそんなにしなかったし、毎日学校行ったし、宿題一人でやったし、そんなに悪い子のつもりはないんです。

でも、先生には「もっと頑張りましょう」って言われて、実の母親からも「あなたが変わってあげて」と言われる始末。

私の何がそんなに悪いの？自覚がないから分かんないよ。どこをどう変えればいいかも分からない。

愛情？本当は分かってるよ。でもさ、もう枯れちゃったよ。上の子も十七年、似たような手に負えなさなのにさ。

いつかまともになるって、みんなから言われたけど。

別に何にも変わらなかった。そしたら、下の子もおんなじ。毎日担任から電話が来るようになっちゃった。

だから親の私の方が変わるの？

変わり方なら知ってるよ。何でもかんでも我慢して、飲み込んで、自分の気持ちに嘘ついて、作り笑いすればいいだけ。簡単だよね。

でも二日ともたないんだ。私の軟弱な心はさ。

そりゃ、本当に変われるもんなら変わりたいよ。

生まれてきてくれてありがとうって言いたい。

あたなは自慢の子供よって。

あなたたちがいてくれるだけで幸せって、言ってみたい。

でもね。口が裂けても言えないの。

ダメな親でごめんね。

こんな大人に、親になるつもりはなかったんだけどなぁ。

みんな、どうしてそんなにきちんとした子が育てられるんだろう？

あぁ、早く終わらないかなぁ。