第9話 爪とぎ

『また爪が伸びてきたな…』


 寝転がっていたキジトラは、ぼんやりと考えて自分の前足を見つめた。


「どうしたんだいキジトラ? 爪が気になるなら俺の爪とぎを貸してあげようか?」


 クロは飼い猫だ。何やら上等な爪とぎの道具を持っているらしい。


「最新式のイタリア製の爪とぎで、とっても滑らかに削れるんだよ。まぁ、野良の君に言っても理解できないだろうけどね」


 イタリアって何だ? とにかく鼻につく言い方をする奴だ。キジトラは一瞬ムッと気を悪くしたが、まぁ爪とぎくらいでケンカをするほどガキでもない。


「べっつにぃ〜」


 そう言いながらキジトラは伸びをしながら駐車場のアスファルトを5、6回引っ掻く。

 荒削りが終わって、停まっている車の足元に近寄る。そこにある黒い輪っかタイヤの側面を使ってカリカリと仕上げ磨きを終える。


「…どうよ?」


 イイ感じに削れた爪をクロに見せつけながら、キジトラはご満悦な様子だった。

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