第5話 ガールズトーク

「あーあ、この辺は良いオス居ないわよねぇ」


 アメショーのボヤキにミケが苦笑する。本日はこの2匹ふたりの会話で進行する。


「こういう所で集まるのは『お見合い』的な意味も兼ねているもんなのに、碌なオスが居ないじゃない?」

 アメショーのボヤキは止まらない。


「そうね、茶トラは優しくないし、ブチはお爺ちゃんだし、チンチラは頼りないし…」

 ミケのじん物評は容赦なくオス猫達をぶった斬る。


「そしたらキジトラ? クロ?」


「クロも何か雰囲気が軽くてねぇ。遊ぶには良いけど彼氏にしたらウザそう。キジトラは逆に落ち着いてはいるんだけど、面白みが無いって言うか…」


「あー、わかるー。そんな感じだよねー」


「春先までにイイ男見つけて妊娠しておかないと。私ヘタしたら避妊手術されちゃうかも…」


「マジで? 飼い猫も大変ねぇ。オバサンになると恋も出来なくなっちゃうのかしら?」


「あら、他にんの歳をどうこう言えるほど貴女も若くないでしょ?」


「まだ私の方が若いしぃ。可愛いしぃ。恋も自由だしぃ」


「やれやれ、家に鏡の無い子は可哀想ね…」


 遅れてやって来たキジトラは、かつて無いほど緊迫した雰囲気の駐車場で、その場に入っていく勇気が持てずに物陰で固まっていた。

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