全部の漢字にルビを振ってみたくはありませんか？

第１話 愛読書の印象・芥川竜之介（新字旧仮名）

■ ノート（のーと）

この漢字（かんじ）学習（がくしゅう）のためのエッセイ（えっせい）集（しゅう）は全年齢（ぜんねんれい）・全世界（ぜんせかい）の人達（ひとたち）に向（む）けて投稿（とうこう）しています。それに相応（ふさわ）しい原書（げんしょ）を選（えら）んでいますので子供（こども）の勉強（べんきょう）用（よう）として、また社会（しゃかい）人（じん）の方（かた）の話題（わだい）のネタ（ねた）として是非（ぜひ）ご利用（りよう）ください。

よみがな/ヨミ（よみ）ガナ（がな） を付（つ）ける題材（だいざい）として、青空（あおぞら）文庫（ぶんこ）より著作権（ちょさくけん）保護（ほご）期間（きかん）が満了（まんりょう）しているものを利用（りよう）しています。

読（よ）み仮名（がな）は（わ）ネット（ねっと）検索（けんさく）サービス（さーびす）等（など）を併用（へいよう）しチェック（ちぇっく）しながら手作業（てさぎょう）で振（ふ）っています。

この通常（つうじょう）版（ばん）（ひらがなルビ（るび）版（ばん））では（わ）、学習（がくしゅう）用（よう）コンテンツ（こんてんつ）として毎回（まいかい）１０ヶ（じゅっこ）の常用（じょうよう）漢字（かんじ）を伏字（ふせじ）にした文章（ぶんしょう）と、その後（あと）に正解（せいかい）・確認（かくにん）用（よう）として本来（ほんらい）のテキスト（てきすと）を続（つづ）けています。伏字（ふせじ）にする常用（じょうよう）漢字（かんじ）は（わ）原則（げんそく）としてその後（あと）の投稿（とうこう）１００回（ひゃっかい）分（ぶん）以上（いじょう）の間（あいだ）は（わ）伏字（ふせじ）から外（はず）されます。常用（じょうよう）漢字（かんじ）は（わ）２１３６（にせんひゃくさんじゅうろく）字（じ）ありますので、本来（ほんらい）は（わ）２１３（にひゃくじゅうさん）回（かい）ごとに繰（く）り返（かえ）すパターン（ぱたーん）が理想的（りそうてき）なのですが、それが出来（でき）るかどうか調（しら）べるために先（ま）ずは（わ）投稿（とうこう）を繰（く）り返（かえ）しながらデータ（でーた）の収集（しゅうしゅう）を行（い）っていきます。

Wikipedia（うぃきぺでぃあ） では（わ）常用（じょうよう）漢字表（かんじひょう）について以下（いか）の様（よう）に記載（きさい）されています。

● 1981（せんきゅうひゃくはちじゅういち）年（ねん）（昭和（しょうわ）56（ごじゅうろく）年（ねん））3月（さんがつ）23日（にじゅうさんにち）に国語（こくご）審議会（しんぎかい）が答申（とうしん）し、同（どう）年（ねん）10月（じゅうがつ）1日（ついたち）に昭和（しょうわ）56（ごじゅうろく）年（ねん）内閣（ないかく）告示（こくじ）第（だい）1号（いちごう）として告示（こくじ）された常用（じょうよう）漢字（かんじ）表（ひょう）。当用（とうよう）漢字（かんじ）の後継（こうけい）であり、1945（せんきゅうひゃくよんじゅうご）字（じ）／4087（よんせんはちじゅうなな）音訓（おんくん）［2187（にせんひゃくはちじゅうなな）音（おん）・1900（せんきゅうひゃく）訓（くん）］から成（な）る。

● 2010（にせんじゅう）年（ねん）（平成（へいせい）22（にじゅうに）年（ねん））6月（ろくがつ）7日（なのか）に文化（ぶんか）審議（しんぎ）会（かい）が改定（かいてい）常用（じょうよう）漢字（かんじ）表（ひょう）として答申（とうしん）し、同（どう）年（ねん）11月（じゅういちがつ）30日（さんじゅうにち）に平成（へいせい）22年（にじゅうにねん）内閣（ないかく）告示（こくじ）第（だい）2号（にごう）として告示（こくじ）された常用（じょうよう）漢字（かんじ）表（ひょう）。告示（こくじ）の際（さい）、昭和（しょうわ）56年（ごじゅうろくねん）内閣（ないかく）告示（こくじ）第（だい）1号（いちごう）「常用（じょうよう）漢字（かんじ）表（ひょう）」は（わ）廃止（はいし）された。2136（にせんひゃくさんじゅうろく）字（じ）／4388（よんせんさんびゃくはちじゅうはち）音訓（おんくん）［2352（にせんさんびゃくごじゅうに）音（おん）・2036（にせんさんじゅうろく）訓（くん）］から成（な）る。

https://ja.wikipedia.org/wiki/常用漢字

そして常用（じょうよう）漢字（かんじ）２１３６（にせんひゃくさんじゅうろく）字（じ）の内（うち）、１０３６（せんさんじゅうろく）字（じ）は（わ）小学（しょうがく）１年（いちねん）から６年（ろくねん）で覚（おぼ）えるべき漢字（かんじ）、残（のこ）りの１１００（せんひゃく）字（じ）は（わ）中学（ちゅうがく）で覚（おぼ）える漢字（かんじ）とされていますが、多（おお）くの人（ひと）は（わ）取（と）りこぼしている漢字（かんじ）も多々（たた）あることでしょう。

若（わか）い方（かた）には（わ）、毎日（まいにち）１０ヶ（じゅっこ）の漢（から）字（じ）を覚（おぼ）えるための学習（がくしゅう）素材（そざい）としてご利用（りよう）ください。もとになるテキスト（てきすと）は（わ）明治（めいじ）から昭和（しょうわ）初期（しょき）に書（か）かれ、多（おお）くの校正者（こうせい者）達（たち）の目（め）により確認（かくにん）・検証（けんしょう）を経（へ）た現代（げんだい）日本語（にほんご）の礎（いしずえ）とされている本物（ほんもの）の日本語（にほんご）です。

社会人（しゃかいじん）の方（かた）には（わ）、日々（ひび）忘（わす）れてしまう漢字（かんじ）を覚（おぼ）えなおすため等（など）にご利用（りよう）いただければと思（おも）います。

歳（どし）を召（め）された方（かた）には（わ）、脳（のう）の老化（ろうか）の防止（ぼうし）と再（さい）活性化（かっせいか）の為（ため）にご利用（りよう）ください。脳（のう）は（わ）鍛（きた）えれば一生（いっしょう）成長（せいちょう）を続（つづ）けるとのことです。

２（ふた）つ目（め）の姉妹（しまい）エッセイ（えっせい）のカタカナ（かたかな）るび版（ばん）では（わ）、常用（じょうよう）漢字（かんじ）の全（すべ）てを伏字（ふせじ）にしたテキスト（てきすと）とその後（あと）に本来（ほんらい）のテキスト（てきすと）を並（なら）べています。覚（おぼ）えているべき漢字（かんじ）を忘（わす）れてないかどうかのチェック（ちぇっく）には（わ）こちらも併用（へいよう）してください。

３（みっ）つ目（め）の姉妹（しまい）エッセイ（えっせい）のローマ（ろーま）字（じ）ルビ（るび）版（ばん）では（わ）、通常（つうじょう）版（ばん）と同（おな）じく１０ヶ（じゅっこ）の常用（じょうよう）漢字（かんじ）を伏字（ふせじ）にしています。こちらは（わ）日本語（にほんご）を学習（がくしゅう）したい外人（がいじん）さん向（む）けのコンテンツ（こんてんつ）として一緒（いっしょ）に公開（こうかい）しています。

■ 伏字（ふせじ）漢字（かんじ）リスト（りすと）（❶（いち）～（から）❻（ろく）は（わ）小１（しょういち）～（から）小６（しょうろく）、❼（なな）は（わ）中学（ちゅうがく）で覚（おぼ）える漢字（かんじ）です）

小１,❶： 学,小,本,水

小２,❷： 前,時,書,読

小４,❹： 愛

中学,❼： 僕

■ 学習（がくしゅう）コンテンツ

作品（さくひん）名（めい）：❹❷❷（あいどくしょ）の印象（いんしょう）

著者（ちょしゃ）名（めい）：芥川（あくたがわ）龍之介（りゅうのすけ）

　子供（こども）の❷（とき）の❹❷❷（あいどくしょ）は（わ）「西遊記（さいゆうき）」が第一（だいいち）である。これ等（ら）は（わ）今日（こんにち）でも❼（ぼく）の❹❷❷（あいどくしょ）である。比喩（ひゆ）談（だん）としてこれほどの傑作（けっさく）は（わ）、西洋（せいよう）には（わ）一（ひと）つもないであらうと思（おも）ふ。名高（なだか）いバンヤンの「天路（てんろ）歴程（れきてい）」なども到底（とうてい）この「西遊記（さいゆうき）」の敵（てき）では（わ）ない。それから「❶滸伝（すいこでん）」も❹❷❷（あいどくしょ）の一（ひと）つである。これも今以（いまもっ）て❹❷（あいどく）してゐ（い）る。一❷（いちじ）は（わ）「❶滸伝（すいこでん）」の中（なか）の一百八（ひゃくはち）人（にん）の豪傑（ごうけつ）の名❷（なまえ）を悉（ことごと）く諳記（あんき）してゐ（い）たことがある。その❷分（じぶん）でも押川（おしかわ）春浪（しゅんろう）氏（し）の冒険（ぼうけん）❶説（しょうせつ）や何（なに）かよりもこの「❶滸伝（すいこでん）」だの「西遊記（さいゆうき）」だのといふ（ゆう）方（ほう）が遥（はる）かに❼（ぼく）に面白（おもしろ）かつた。

　中❶（ちゅうがく）へ（え）入❶（にゅうがく）❷（まえ）から徳富（とくとみ）蘆花（ろか）氏（し）の「自然（しぜん）と人生（じんせい）」や樗牛（ちょぎゅう）の「平家（へいけ）雑感（ざっかん）」や❶島（こじま）烏❶（うすい）氏（し）の「日❶（にほん）山❶（さんすい）論（ろん）」を❹❷（あいどく）した。同❷（どうじ）に、夏目（なつめ）さんの「猫（ねこ）」や鏡花（きょうか）氏（し）の「風流線（ふうりゅうせん）」や緑雨（りょくう）の「あられ酒（ざけ）」を❹❷（あいどく）した。だから人（ひと）の事（こと）は（わ）笑（わら）へ（え）ない。❼（ぼく）にも「文章（ぶんしょう）倶楽部（くらぶ）」の「青年（せいねん）文士（ぶんし）録（ろく）」の中（なか）にあるやうな「トルストイ、坪内（つぼうち）士行（しこう）、大町（おおまち）桂月（けいげつ）」❷代（じだい）があつた。

　中❶（ちゅうがく）を卒業（そつぎょう）してから色（いろ）んな❶（ほん）を❷（よ）んだけれども、特（とく）に❹❷（あいどく）した❶（ほん）といふものは（わ）ないが、概（がい）して云（い）ふと、ワイルドとかゴーチエとかいふやうな絢爛（けんらん）とした❶説（しょうせつ）が好（す）きであつた。それは（わ）❼（ぼく）の気質（きしつ）からも来（き）てゐ（い）るであらうけれども、一（ひと）つは（わ）慥（たし）かに日❶（にほん）の自然（しぜん）主義（しゅぎ）的（てき）な❶説（しょうせつ）に厭（あ）きた反動（はんどう）であらうと思（おも）ふ。ところが、高等（こうとう）❶校（がっこう）を卒業（そつぎょう）する❷後（ぜんご）から、どういふものか趣味（しゅみ）や物（もの）の見方（みかた）に大（おお）きな曲折（きょくせつ）が起（おこ）つて、❷（まえ）に言（い）つたワイルドとかゴーチエとかといふ作家（さっか）のものがひどくいやになつた。ストリンドベルクなどに傾倒（けいとう）したのは（わ）この頃（ころ）である。その❷分（じぶん）の❼（ぼく）の心持（こころもち）からいふと、ミケエロ・アンヂエロ風（ふう）な力（ちから）を持（も）つてゐ（い）ない芸術（げいじゅつ）は（わ）すべて瓦礫（がれき）のやうに感（かん）じられた。これは（わ）当❷（とうじ）❷（よ）んだ「ジヤンクリストフ」などの影響（えいきょう）であつたらうと思（おも）ふ。

　さういふ心持（こころもち）が大❶（だいがく）を卒業（そつぎょう）する後（あと）までも続（つづ）いたが、段々（だんだん）燃（も）えるやうな力（ちから）の崇拝（すうはい）もうすらいで、一年（いちねん）❷（まえ）から静（しず）かな力（ちから）のある❷物（しょもつ）に最（もっと）も心（こころ）を惹（ひ）かれるやうになつてゐ（い）る。但（ただし）、静（しず）かなと言（い）つてもたゞ（ただ）静（しず）かだけでも力（ちから）のないものには（わ）余（あま）り興味（きょうみ）がない。スタンダールやメリメエや日❶（にほん）物（もの）で西鶴（さいかく）などの❶説（しょうせつ）は（わ）この点（てん）で今（いま）の❼（ぼく）には（わ）面白（おもしろ）くもあり、又（また）ためにもなる❶（ほん）である。

　序（ついで）ながら附（つ）け加（くわ）へ（え）ておくが、此間（こないだ）「ジヤンクリストフ」を出（だ）して❷（よ）んで見（み）たが、昔（むかし）ほど感興（かんきょう）が乗（の）らなかつた。あの❷分（じぶん）の❶（ほん）は（わ）だめなのかと思（おも）つたが、「アンナカレニナ」を出（だ）して二三（にさん）章（しょう）❷（よ）んで見（み）たら、これは（わ）昔（むかし）のやうに有難（ありがた）い気（き）がした。

■ コンテンツ（こんてんつ）

作品（さくひん）名（めい）：愛読書（あいどくしょ）の印象（いんしょう）

著者（ちょしゃ）名（めい）：芥川（あくたがわ）龍之介（りゅうのすけ）

　子供（こども）の時（とき）の愛読書（あいどくしょ）は（わ）「西遊記（さいゆうき）」が第一（だいいち）である。これ等（ら）は（わ）今日（こんにち）でも僕（ぼく）の愛読書（あいどくしょ）である。比喩（ひゆ）談（だん）としてこれほどの傑作（けっさく）は（わ）、西洋（せいよう）には（わ）一（ひと）つもないであらうと思（おも）ふ。名高（なだか）いバンヤン（ばんやん）の「天路（てんろ）歴程（れきてい）」なども到底（とうてい）この「西遊記（さいゆうき）」の敵（てき）では（わ）ない。それから「水滸伝（すいこでん）」も愛読書（あいどくしょ）の一（ひと）つである。これも今以（いまもっ）て愛読（あいどく）してゐ（い）る。一時（いちじ）は（わ）「水滸伝（すいこでん）」の中（なか）の一百八（ひゃくはち）人（にん）の豪傑（ごうけつ）の名前（なまえ）を悉（ことごと）く諳記（あんき）してゐ（い）たことがある。その時分（じぶん）でも押川（おしかわ）春浪（しゅんろう）氏（し）の冒険（ぼうけん）小説（しょうせつ）や何（なに）かよりもこの「水滸伝（すいこでん）」だの「西遊記（さいゆうき）」だのといふ（ゆう）方（ほう）が遥（はる）かに僕（ぼく）に面白（おもしろ）かつた。

　中学（ちゅうがく）へ（え）入学（にゅうがく）前（まえ）から徳富（とくとみ）蘆花（ろか）氏（し）の「自然（しぜん）と人生（じんせい）」や樗牛（ちょぎゅう）の「平家（へいけ）雑感（ざっかん）」や小島（こじま）烏水（うすい）氏（し）の「日本（にほん）山水（さんすい）論（ろん）」を愛読（あいどく）した。同時（どうじ）に、夏目（なつめ）さんの「猫（ねこ）」や鏡花（きょうか）氏（し）の「風流線（ふうりゅうせん）」や緑雨（りょくう）の「あられ酒（ざけ）」を愛読（あいどく）した。だから人（ひと）の事（こと）は（わ）笑（わら）へ（え）ない。僕（ぼく）にも「文章（ぶんしょう）倶楽部（くらぶ）」の「青年（せいねん）文士（ぶんし）録（ろく）」の中（なか）にあるやうな「トルストイ（とるすとい）、坪内（つぼうち）士行（しこう）、大町（おおまち）桂月（けいげつ）」時代（じだい）があつた。

　中学（ちゅうがく）を卒業（そつぎょう）してから色（いろ）んな本（ほん）を読（よ）んだけれども、特（とく）に愛読（あいどく）した本（ほん）といふものは（わ）ないが、概（がい）して云（い）ふと、ワイルド（わいるど）とかゴーチエ（ごーちえ）とかいふやうな絢爛（けんらん）とした小説（しょうせつ）が好（す）きであつた。それは（わ）僕（ぼく）の気質（きしつ）からも来（き）てゐ（い）るであらうけれども、一（ひと）つは（わ）慥（たし）かに日本（にほん）の自然（しぜん）主義（しゅぎ）的（てき）な小説（しょうせつ）に厭（あ）きた反動（はんどう）であらうと思（おも）ふ。ところが、高等（こうとう）学校（がっこう）を卒業（そつぎょう）する前後（ぜんご）から、どういふものか趣味（しゅみ）や物（もの）の見方（みかた）に大（おお）きな曲折（きょくせつ）が起（おこ）つて、前（まえ）に言（い）つたワイルド（わいるど）とかゴーチエ（ごーちえ）とかといふ作家（さっか）のものがひどくいやになつた。ストリンドベルク（すとりんどべるく）などに傾倒（けいとう）したのは（わ）この頃（ころ）である。その時分（じぶん）の僕（ぼく）の心持（こころもち）からいふと、ミケエロ（みけえろ）・アンヂエロ（あんぢえろ）風（ふう）な力（ちから）を持（も）つてゐ（い）ない芸術（げいじゅつ）は（わ）すべて瓦礫（がれき）のやうに感（かん）じられた。これは（わ）当時（とうじ）読（よ）んだ「ジヤンクリストフ（じやんくりすとふ）」などの影響（えいきょう）であつたらうと思（おも）ふ。

　さういふ心持（こころもち）が大学（だいがく）を卒業（そつぎょう）する後（あと）までも続（つづ）いたが、段々（だんだん）燃（も）えるやうな力（ちから）の崇拝（すうはい）もうすらいで、一年（いちねん）前（まえ）から静（しず）かな力（ちから）のある書物（しょもつ）に最（もっと）も心（こころ）を惹（ひ）かれるやうになつてゐ（い）る。但（ただし）、静（しず）かなと言（い）つてもたゞ（ただ）静（しず）かだけでも力（ちから）のないものには（わ）余（あま）り興味（きょうみ）がない。スタンダール（すたんだーる）やメリメエ（めりめえ）や日本（にほん）物（もの）で西鶴（さいかく）などの小説（しょうせつ）は（わ）この点（てん）で今（いま）の僕（ぼく）には（わ）面白（おもしろ）くもあり、又（また）ためにもなる本（ほん）である。

　序（ついで）ながら附（つ）け加（くわ）へ（え）ておくが、此間（こないだ）「ジヤンクリストフ（じやんくりすとふ）」を出（だ）して読（よ）んで見（み）たが、昔（むかし）ほど感興（かんきょう）が乗（の）らなかつた。あの時分（じぶん）の本（ほん）は（わ）だめなのかと思（おも）つたが、「アンナカレニナ（あんなかれにな）」を出（だ）して二三（にさん）章（しょう）読（よ）んで見（み）たら、これは（わ）昔（むかし）のやうに有難（ありがた）い気（き）がした。

■ 原書情報（青空文庫）

図書カード：No.4872 （新字旧仮名）

https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/card4872.html

https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/4872_21839.html

底本：「芥川龍之介全集　第六巻」岩波書店

　　　1996（平成8）年4月8日発行

初出：「文章倶楽部　第5年第8号」

　　　1920（大正9）年8月1日発行

※初出誌に、顔写真と「曇天の水動かずよ芹の中」の句の筆跡写真と共に掲載された。

入力：砂場清隆

校正：高柳典子

■ 漢字（かんじ）の説明（せつめい）（カタカナは（わ）音（おん）読（よ）み、平仮名（ひらがな）は（わ）訓（くん）読（よ）みです）

❶： 学 ：コウ・キョウ・ガク・カク・学（まな）ぶ【習（なら）う／学問（がくもん）を修（おさ）める／研究（けんきゅう）する人（ひと）】

❶： 小 ：ショウ・小（ち）いさい・小（さ）・小（こ）・小（お）【規模（きぼ）や形（かたち）が小（ち）いさい／長（なが）さが短（みじか）い】

❶： 本 ：ホン・本（もと）【書物（しょもつ）／書籍（しょせき）／文書（ぶんしょ）】

❶： 水 ：スイ・水（みず）【水分（すいぶん）の多（おお）い液体（えきたい）／水（みず）のように透明（とうめい）な液（えき）】

❷： 前 ：ゼン・セン・前（まえ）・前（さき）【空間（くうかん）的（てき）に前（まえ）／向（む）かう方向（ほうこう）／正面（しょうめん）の方（ほう）】

❷： 時 ：ジ・シ・時（とき）【月日（つきひ）の移（うつ）りゆき／四季（しき）のうつろい】

❷： 書 ：ショ・書（か）く・書（ふみ）【文字（もじ）を書（か）き記（しる）す】

❹： 愛 ：アイ・エ・愛（め）でる・愛（まな）・愛（かな）しい・愛（お）しむ・愛（う）い・愛（いと）しい【可愛（かわい）がる／愛（いと）しく思（おも）う／慈（いつく）しむ心（こころ）／愛（いと）おしい】

❼： 僕 ：ボク・ホク・僕（しもべ）・僕（やつがれ）【男（おとこ）が自分（じぶん）を指（さ）す代名詞（だいめいし）。同等（どうとう）及（およ）びそれ以下（いか）に対（たい）する自称（じしょう）。下男（げなん）／男（おとこ）の召（め）し使（つか）い】

　※ 漢字（かんじ）説明（せつめい）は モジナビ https://mojinavi.com/ の各（かく）ページを参考（さんこう）にしています

■ 漢字（かんじ）の書（か）き順（じゅん）や詳（くわ）しい説明（せつめい）を知（し）りたい方（かた）は此方（こちら）をどうぞ

小１,❶： 学 https://mojinavi.com/d/u5b66

小１,❶： 小 https://mojinavi.com/d/u5c0f

小１,❶： 本 https://mojinavi.com/d/u672c

小１,❶： 水 https://mojinavi.com/d/u6c34

小２,❷： 前 https://mojinavi.com/d/u524d

小２,❷： 時 https://mojinavi.com/d/u6642

小２,❷： 書 https://mojinavi.com/d/u66f8

小２,❷： 読 https://mojinavi.com/d/u8aad

小４,❹： 愛 https://mojinavi.com/d/u611b

中学,❼： 僕 https://mojinavi.com/d/u50d5

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★（通常（つうじょう）版（ばん））全部（ぜんぶ）の漢字（かんじ）にルビ（るび）を振（ふ）ってみたくはありませんか？

　　https://kakuyomu.jp/works/1177354055305889978/episodes/1177354055306019770

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★（カタカナ（かたかな）版（ばん））このクラシカル（くらしかる）なエッセイ（えっせい）にフリガナ（ふりがな）を！

　　https://kakuyomu.jp/works/1177354055324161539/episodes/1177354055324183205

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★（ローマ（ろーま）字（じ）版（ばん））こんな漢字（かんじ）にローマ（ろーま）字（じ）が振（ふ）れるわけがない！？

　　https://kakuyomu.jp/works/1177354055360859507/episodes/1177354055360889318

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https://www.aozora.gr.jp/

青空（あおぞら）文庫（ぶんこ）とは（わ）？

　青空（あおぞら）文庫（ぶんこ）は（わ）、誰（だれ）にでもアクセス（あくせす）できる自由（じゆう）な電子（でんし）本（ほん）を、図書館（としょかん）のようにインターネット（いんたーねっと）上（じょう）に集（あつ）めようとする活動（かつどう）です。

　著作（ちょさく）権（けん）の消滅（しょうめつ）した作品（さくひん）と、「自由（じゆう）に読（よ）んでもらってかまわない」とされたものを、テキスト（てきすと）とＸ（えっくす）ＨＴＭＬ（えいちてぃえむえる）（一部（いちぶ）は（わ）ＨＴＭＬ（えいちてぃえむえる））形式（けいしき）に電子（でんし）化（か）した上（うえ）で揃（そろ）えています。

https://www.aozora.gr.jp/guide/aozora_bunko_faq.html

Ｑ（きゅー）：青空（あおぞら）文庫（ぶんこ）って、何（なに）ですか？

Ａ（えー）：1997（せんきゅうひゃくきゅうじゅうなな）年（ねん）に始（はじ）まったボランティア（ぼらんてぃあ）活動（かつどう）で、誰（だれ）にでもアクセス（あくせす）できる自由（じゆう）な電子（でんし）本（ぼん）を、共有（きょうゆう）可能（かのう）なものとして図書館（としょかん）のようにインターネット（いんたーねっと）上（じょう）に集（あつ）めようとしております。現在（げんざい）は（わ）、日本（にっぽん）国内（こくない）で著作（ちょさく）権（けん）保護（ほご）期間（きかん）の満了（まんりょう）した作品（さくひん）を中心（ちゅうしん）に、ボランティア（ぼらんてぃあ）のみなさんの力（ちから）によって電子（でんし）化（か）作業（さぎょう）を進（すす）めています。青空（あおぞら）文庫（ぶんこ）は（わ）そういった電子（でんし）化（か）活動（かつどう）のための、またその成果（せいか）物（ぶつ）をアーカイヴ（あーかいゔ）しておくための場（ば）でもあり、そこからコピー（こぴー）された本（ほん）の集成（しゅうせい）や活用（かつよう）事例（じれい）もまた〈青空（あおぞら）文庫（ぶんこ）〉と呼（よ）ばれることがあります。詳（くわ）しくは（わ）「青空（あおぞら）文庫（ぶんこ）のしくみ」（http://www.aozora.gr.jp/aozora_bunkono_shikumi.html）をご一読（いちどく）ください。

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