#147 全部を染めて欲しい
「ちゅっ、はむ……ん、むぅ……」
ベッドで仰向けになった星夏に覆い被さり、何度もキスを交わす。
時に触れるだけ、時に舌を絡ませたりと単調にならないように工夫していく。
キスを重ねる度に星夏の目が蕩けていき、頬も上気して赤くなっていた。
「ぷはっ……はぁ、ねぇこーた。ホントにいつも通りで良いの? 普段ならしないようなのもして良いんだよ?」
キスが一段落したタイミングで、星夏が再確認する。
彼女が言うように、俺が希望したのはいつも通りにすることだった。
キスをして互いの身体に触れ合って、向かい合ったまま思いを囁き合う……セフレの頃から変わらない、至って普通のセックスだ。
多少の変態的なプレイでも受け入れるつもりだったらしい星夏からすれば、肩透かしを食らったようなものなんだろう。
けどなぁ……。
「アーホ。そういうプレイをしたいから星夏と付き合った訳じゃねぇんだよ。彼女をそんな風に扱うつもりなんざサラサラ無い」
「うっ……で、でもこーたにだって性癖の一つや二つあるでしょ?」
「あるに決まってんだろ。でもな、いつものも星夏とするから好きなんだよ。それにやっと恋人になれたんだ、身も心もそれらしい方が良いだろ」
「もう……」
俺の説明に星夏は渋々といった語調で折れる。
こんな時でも自分以外を優先する俺に呆れつつも、その表情には嬉しさを隠しきれていない。
誰よりも恋人に憧れていた星夏にとっても満更じゃないんだろう。
話が一区切りしたところで彼女の服を脱がしていき、パステルブルーのブラに包まれた大きな胸を撫でるように指を這わせていく。
相も変わらず柔らかくて張りのある星夏の胸は、いくら触っても飽きそうにない。
「っ……は、ぁん……」
そうやって触れる度に、彼女の身体がビクビクと小さく震える。
十中八九、感じているに違いない。
やたらと反応の良い星夏を見ていると、どうしようもなく気持ちが昂ぶって来る。
早く繋がりたい、彼女の身体を貪りたいと本能が急かして止まない。
だけどがっつく訳にはいかないから我慢だと理性で抑え込む。
いきなり枷を外すと失敗するが、逆に閉めすぎても良くない。
だから少しずつ、ゆっくりと緩めていく。
そうしてちょっとだけ緩めた理性から漏れ出る本能のまま、星夏のブラをずらして胸を
露わになった胸は重力に従って形を変えるが、それはむしろ柔らかさを損なうどころか主張する程に魅力的だ。
脇腹付近から両手で掬って持ち上げ、パンの生地を捏ねるみたいに揉みしだく。
指が沈む程の柔らかく、しっとりとした肌質も相まって手に吸い付いて離れない。
乱暴に扱わないよう注意を払いながら、寂しそうに膨らむ突起にも触れる。
当然、触れるだけじゃ飽き足らず舌で舐めたり吸ったりと愛撫をこなす。
「んんっ、ぁっ! んぅ……! も、もう! こーたの、おっぱい星人!」
「れろ……こんなエロい身体してる星夏が悪い」
「や、ん……ひ、開き直らないでよぉ……っ!」
胸ばかり攻めていたら星夏に頭を掴まれながら苦言されてしまう。
だがそんなことは知ったことかと返す。
本気でイヤならそのまま押し返せば良いのに、そうしない辺りに彼女の快感と羞恥から複雑な心境が窺える。
まぁ俺ばかり攻めるのも不公平か。
そう思い直し、上体を起こして星夏の身体から離れる。
「ぁ……」
だがいざ離れた瞬間、星夏から寂しげな声音がか細く漏れた。
自分の声に動揺を隠せなかったの彼女が慌てて両手で口を覆うが、残念ながら俺に耳にも入ってしまっている。
俺の茫然とした表情でそれを察した星夏の両手は、顔全体を隠してしまう。
しかしよく見ると手の隙間からこちらを見ていた。
あぁ、ダメだろそれは。
そんな反応されたら抑えが利かなくなる。
「わりぃ、もう限界」
「ぇ、何が──んむぅっ!?」
せめてもの情け代わりに一言謝ってから、顔を覆っていた両手を強引に引っ張ってベッドへ押さえつける。
そうして無防備になっている彼女の口の中へ舌をねじ込んだ。
空色の目が驚愕で大きく見開かれるが、今は文句を聞いてやれそうにない。
「は、ぁむ……んんっ、……ちゅる、ふ、ぅう……──ん、んんぅむっ!?」
キスのせいでまともに喋れない星夏がくぐもった呻き声を上げる。
まぁそれは当然だ。
何せ、俺が今右手で触れているのは彼女の秘部なのだから。
スカートとタイツの中に手を入れ、パンツの上から指先で撫でる。
キスと胸への愛撫によって、布越しでも分かる程に濡れているようだ。
星夏が抗議の眼差しを浮かべたのはほんの一瞬で、すぐさま押し寄せる快楽によって視線が定まらなくなる。
唇を離してさらに撫でる早さを上げていき、もう片方の手で胸を揉む度に星夏の嬌声が大きくなっていく。
「んぁっ、ぁ、ぅんん……っ! は……っひぅ、ぁぁあ……っっ」
少しでも快感から逃れようとしているのか、俺の右手を掴んで来るが全く力が入っていない。
気付けば右手はもう星夏のでグショグショだ。
このまま一度イかせるのも良いが、そろそろ頃合いだろう。
「はぁ、はぁ……」
「星夏。そろそろいくぞ」
息の荒い星夏に一声掛けてから、枕元に置いてあるゴムの箱に手を伸ばす。
しかし、その手を不意に星夏が掴んで止めた。
「……星夏?」
「はぁ……はぁ……ぁ、あのね、こーた……お願いがあるの……」
「お願い?」
快感で蕩けた表情のまま言う星夏へ聞き返す。
何か恥ずかしいことなのか、手で口を隠して目を逸らし……。
「──ゴム、しないままでさ、生でエッチして欲しいなって……」
「! それは……」
告げられた願いに、昂ぶっていた気持ちが霧散する程に驚愕してしまう。
元カレ達相手や俺とセフレだった頃はもちろん、咲里之に追い出された時でさえセックスをする時はゴムを使い続けた。
その理由は偏に避妊のためだ。
元よりこれはセフレになった時に星夏から言い出したことで、俺に自身の生理周期を把握させる程に徹底させていた。
尤も、閉じ籠もってた時は頻りにゴム無しをせがまれていたが。
それでも俺は学生の間に妊娠はマズいと説き伏せたものだ。
無論、そうなった時に責任を取る覚悟はとうの昔に済ませてもいる。
だからといって分かったなんて即答は出来ない。
仮に出来てしまえば、せっかく払拭した噂がぶり返してしまう。
「大丈夫だよ。前みたいに自棄になってないから。むしろこーただからお願いしてるの」
「俺だから……?」
そんな俺の逡巡を悟ったのか、星夏はかつての振る舞いを自嘲しながら理由を告げる。
「アタシからこーたにあげられる初めてって、もう
「そんなの、俺は気にしないって……」
「アタシが気にするの。だいじょーぶ! 今日は危険日じゃないし、終わったらアフターピルも飲むようにするから。だから……お願い」
「……」
常識的に考えれば、星夏の言い分はただの感情論でしかない。
もしこれが原因で妊娠すれば間違いなく苦労するだろうし、色んな人に迷惑を掛けることにもなる。
だったら断固としても断るべきなんだろう。
頭ではそう分かってる。
けれども元カレ達にせがまれてもゴム無しを拒み続けた星夏にここまで言わせておいて、現実に日和って断るだなんて選択は最善と言えるだろうか。
普通ならそれが正しいのかもしれない。
じゃあ俺にとっての最善は?
決まってる、星夏を幸せにすることだ。
その彼女が今求めていることは、今まさに伝えられたばかりじゃないか。
──なら……迷いも常識も捨てちまえ。
逡巡を終えてゴムの箱へ伸ばし掛けた手を下ろし、星夏の唇に触れるだけのキスをする。
顔を離し、不安と期待と微かな緊張を浮かべている彼女に告げた。
「──手加減、しないからな?」
「! うん……来て。アタシの全部をこーたので染めて……♡」
返された星夏の甘言は、最後の理性を壊すには十分過ぎる程にエロかった。
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本日から完結まで毎日更新していきます!(なお、完結まであと4話)
次回は明日の朝に更新です。
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