海辺のフロート
澄岡京樹
海辺のフロート
海辺のフロート
朝の日差しが溶ける海。それを眺めてちゃぷちゃぷと。私は浜辺に座り込み、足を海に浸けていた。∞月も半ば。20001年の夏は、まだまだこれからだ。
人類が電脳世界にその身を移して早幾億。とはいえ体感時間は引き延ばされており、そんなに経ったのかと驚く人はわりと多い。しかも私がいる場所は、常夏サーバ『
今は寄りつく人もなく、私はここでただ一人。
……あれはいつのことだったか。——そうだ。あれは我々を乗せた母船に
そんなこんなで幾百年。私はぼんやり海を見る。体感時間から察するに、そろそろ切り離しの頃合いだろうか。エイリアンは
「こちらフロート5号機。永い夏季休暇を取得します。それでは」
海辺で脚部をちゃぷちゃぷと、私は夏と共に散る。ガラクタマシンの夢の跡、真夏はどこへ過ぎるのか——
海辺のフロート、了。
海辺のフロート 澄岡京樹 @TapiokanotC
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