カタツムリさん ヤドカリさん

@Graffiti_cat

カタツムリさん ヤドカリさん

ある日ヤドカリさんが、あたらしいおうちをさがしていました。




いつもならすぐにちょうどよい大きさおうちが見つかりますが、今日はどうしてもみつかりません。




すみからすみまでさがしましたがみつからなかったので、今日はすなはまからはなれて、もりでさがすことにしました。








すなはまとはちがって木や草がたくさんはえているので、なかなかおうちもみつかりません。




こまったなあ、とおもいながらヤドカリさんがもりのなかをさがしていると、カタツムリさんに出会いました。




カタツムリさんも大きなおうちをせおっているのです。




「カタツムリさんカタツムリさん、こんにちは。ぼくははまべからおうちをさがしに来ました。」




「カタツムリさんはどこでそんなにりっぱなおうちをみつけてきたんですか?」




「こんにちはヤドカリさん。このおうちはわたしがつくりました。」




カタツムリさんはおどろきました。




はまべにたくさんおうちがあるのに、カタツムリさんはじぶんでわざわざつくったというのです。




けれどそれはチャンスです。まえのおうちがわけてもらえるかもしれません。




「カタツムリさん、ひっこしまえのおうちはどこにおいてきたのですか?」




けれどもカタツムリさんは何をいわれているのかわからないようでした。




「ヤドカリさん、ぼくたちのおうちは子どものころからずっとだいじにつかってますよ。」




それをきいてヤドカリさんがおどろきました。




「カタツムリさん、きみたちはこどものころからそんなに大きなおうちにすんでいるんですか。」




「じゅんばんにひっこさないなんておもくてたいへんじゃないですか?」




カタツムリさんはじぶんのせおってるおうちをなでながらこたえます。




「ぼくたちは子どものころからおなじいえをおじいさんになるまでつかいます。」




「子どものころはちいさなおうちですがじぶんでどんどん大きくしていくんです。」




「ひっこしをいちどもしないの?」




ヤドカリさんはおどろいてしまいました。




ずっとおなじおうちをつかうなんてしんじられません。




「きみたちこそ、どうしてせっかくあるおうちをおいて、べつのおうちにすみたがるんだい?」




「じぶんのおうちなら、ほかのことおうちのとりあいにならないしいつものおうちであんしんできるよ?」




カタツムリさんもヤドカリさんのひっこしをしんじられないようです。




カタツムリさんはじぶんでおうちをよういするので、ここにはヤドカリさんのひっこせるおうちはありませんでした。








「カタツムリさん、ぼくはおうちがつくれないのでひっこしがひつようなんです。」




「ぼくがせおってるおうちより大きなおうちがたくさんあるところはしりませんか?」




カタツムリさんはこのもりのおくを抜けたところにもすなはまがあったのをおもいだします。




それをヤドカリさんにつたえるとヤドカリさんはありがとうといってすなはまへむかっていきました。








「じぶんでつくってないおうちか。」




カタツムリさんはすこしきになったらしく、ちかくにあった木のかわをかぶってみます。




「しっくりこないや。ヤドカリさんもふしぎなこだなぁ。」




カタツムリさんはヤドカリさんがむかっていったすなはまのほうをみながらくびをかしげました。










カタツムリさんにおしえてもらったとおりにすすむとヤドカリさんは大きなすなはまにでました。




うみのちかくまでいくとたくさんおうちがおちています。




ついにじぶんにぴったりなおうちをみつけました。




「それにしてもおうちをじぶんでつくるなんてどうやるんだろう。」




きになったヤドカリさんは小さなおうちをあつめてつみあげてみます。




じぶんより大きくつみあがったところで下にもぐりこもうとしますが、すぐにくずれてしまいました。




「くずれないようにくみたてるあいだにあたらしいおうちをさがしたほうがはやそうだ。」




このすなはまにはいつものばしょよりもたくさんおうちがあるので見つからなくてこまることはもうなさそうです。










「きっとカタツムリさんはおうちをさがすのがにがてなんだ。こんどいっしょにさがしてあげよう。」


「きっとヤドカリさんはおうちをつくるのがにがてなんだな。こんどいっしょにつくってあげよう。」

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