第9話 弾劾と助っ人
弾劾
眠って、船の上、今日はどうやらアフリカ大陸でホログラム装置を置いて行く作業。その合間に、戦術の勉強を聞きながら、進めていく。かなり単純作業。この後、起きて、寝る前に約束しようとした、話を珠樹に聞かなくちゃ。そう考えつつ、ホログラム装置を置いて行く。今日の勉強は、城攻めだ。二倍の兵力が必要。って話しか覚えていないけど、やっと今日のノルマを置き終えて、船に戻ったら目が覚めた。
「ふぁー、お、おはよう」
「起きたでござるか? では、珠樹殿を問い詰めに行くでござる」
「問い詰めるというか、ただただ尋ねに行くだけだけどね」
気になるけど、問い詰める必要はないのでは? 私はそんな気持ちで、二人で居間に向かい歩いて行くと、珠樹が走って、外に出て行ったのが見えた。
「ど、どこに行くのかな!?」
質問に答えずに、そのままドアの向こうに消えてしまった。出て来た居間に入ると、乃理が驚いてポカンとしている。
「乃理、どうしたの?」
「あ、アミ様。何故か珠樹様が、走って出て行ってしまいました。瑠亜様、何か知ってますか?」
「知らねえだ。もしかして、千代、あんた知ってるんじゃないかさ」
「え、あ、詳しくは解らないでござるが、あの化け物が珠樹殿ではないかというのを疑っているでござる」
「え、そうなのですか?」
「うん、昨日の夜。その話を乃理と私でしていたんだ。で、今日聞こうと思っていたら、走って行ったから、少し怪しく感じるね」
「そうなのですか。放ってはおけません。あの化け物か、珠樹様を見つけ次第連絡するって事で、探しつつ、コピーの出どころに向かいましょう」
「んだ」
「うん」
「承知」
そんなこんなで、会話も食事も少なく、テントを片付けて、みんなで探しに出た。けどこの日から5日間は何の成果もなく少しずつコピーがいるだろう場所に近づくに終わった。
助っ人
近くの森を探索していると、近くで人の気配を感じる。
「珠樹?」
「おや、その声はアミですか?」
草陰から出て来たのは詩織だった。ほら、道場の人。でも、
「詩織、なんでここに?」
「珠樹が、そろそろ期限が切れるというメールを貰い、助けに来たのです。あなた方が心配だと、珠樹が言っていたので」
「あ、ありがとう助かるよ。私たちすごく困っていたから」
「ではみんなを集めてください、そこで会議をしましょう。今までの話も聞きたいですし、私たちの知っている話をしなくてはなりませんし」
「うん、分かった」
と言う訳で、緊急会議。皆を招集して、テントを張り皆で会議を開始した。
「では、何が起こっているのか会議を始めます」
会議名がダサい。まあいいや。参加しているのは私ことアミ、乃理、千代、瑠亜。で後から来た、詩織、美智と名乗ったメイド風の人、プリマ、その妹らしい、エスキ8人で会議が開始した。
「では、リーダーのアミから現状報告をお願いします」
「あ、ハイ。私たちは、珠樹の友達、代美を探してここまで来たんだけど、5日前に珠樹が姿をくらまして、現在捜索中って感じだよ」
「では、私たちの知っている情報を話しましょう。まずこの遠征の最大の目的代美捜索の理由です。珠樹は、ある道具によって、キメラとでも言いましょうか、そんな生き物に変化する肉体になっています」
「それ拙者見たでござる。手だけが砂の化け物になって……」
「ああ、あのバカ! また変化能力も使ったのか! アレを使うと、期限が短くなるっていうのに」
頭を掻きながら、エスキが怒っている。そんな能力持っているなんて聞いてないけど?
「え、それじゃあ、拙者を守るために体を張ったって事でござるか?」
申し訳なさそうな顔をしてから、千代が俯く。まあ助けてもらったのに、責めようとしていたから、申し訳はないかも。
「えーっと、場面が分からないから何とも言えませんけど、多分そうでございますね。あの方はそういうことする方なので」
美智さんが、ため息を吐きつつ、
「で、まあ、そのキメラ体だと理性は一応残せますが、呑まれてしまうと、すべてがキメラになってしまうと、理性が無くなり、暴れまわります。それを危惧して、珠樹は貴方たちの前からいなくなったのでしょう」
「成程。詩織様の言う通りっぽいですね。ではどうしましょうか。まず、探すのは当たり前として、どうやって人間に戻せるのでしょうか?」
「ああ、それが今回の目的の代美の力です。神力で作った封魔矢で魔を封じる力を持っています。それを珠樹に撃ち込むのです。それで、珠樹は人間体に戻れます。まあ一説では、神力が必要なだけなのかもとは言われていますが」
「……ならおらが出来るかもしんねえだ」
「どういう事ですか? と言うかあなたは最初の旅立ちにはいなかったかと思いますが?」
「おらは、途中から付いて来た奥羽 瑠亜だべ。で、おらは神力を持っているんだ、だから同じことをできるかもしんねえ」
瑠亜の言葉に、みんな驚く私も驚いている。なんでそんなこと黙っているの?
「量的にはどのくらいでしょうか?」
「ええ……っと、森は作れるぐらいだべ」
「なら行けますね。ではその特訓をアミと瑠亜、私でしましょう。他の皆は、周りの警戒と、珠樹の捜索をお願いします」
「「「「「「「了解」」」」」」」
会議が終わって、3人で、バーチャル空間へ入る用のベッドがある部屋へと入った。そして、媚に機械をつなぎ、バーチャル空間に入る。
「いやー、私必要?」
「そうだべ。おらだけでもできると思うだけんども」
「それはそうなのですが、貴方には戦術を練る練習をもっとしてもらうべきかと思ったのです」
「戦術? でも、みんないい感じに動いてくれるから」
「それでは統率が取れません。あなたがしっかりすれば、皆が生き残れる可能性は上がります」
「そう、なのかな……。私の話は聞いてくれるけど、それは私を見てじゃない。私に憑りついている悪魔を見てだよ。だから、私が命令なんて、それに私はそんな器じゃ……」
「あなたの意見はわかります。ですが、なってしまったものはしょうがない。それに、貴方に憑りついている悪魔も、貴方の一部です。自信を持ちなさい」
「うん……」
「まあ、貴方がやる気を出して、その上で私が許可を出せるような実力を見せれるようになるまでは、しなくてもいいですが、まあ近いうちにやることになりそうなので、ちゃんと受けて行ってください」
「分かったよ」
詩織の言葉に私は渋々という感じでしたがう。もうなんでみんなは私をリーダーにしたがるんだろう? まあ、悪魔たちのリーダーではあるんだけど。あるんだけど! まあ少しは頑張ろうかな?
夢鬼と悪魔憑きの少女 月読雨月 @yaten666
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