第25話 ミケによろしくって、将来的には家に来るつもりなのか?
天ヶ崎さんと一緒に猫と遊んでから、俺は家に帰ってきた。ちなみに篠田さんの時にやらかした思わぬボディタッチは、今回はしっかりと警戒して回避した。
「おかえりにゃあ、御主人」
「ただいま、ミケ」
玄関の靴を見ると両親の靴も妹の靴も無かった。相変わらず外で色々やってるんだろう。リビングに行くと、五百円玉が一つ、つまりこれは「夕食時になっても帰ってこないよ」という事だ。
こういう時、どこかへ買いに行く奴はまだまだ初心者だ。夕食はこの五百円で買えるが、五百円を夕食と交換することはできない。
つまり、おうちにある何かしらを食べれば、五百円をそのまま浮かせられるという事だ。
「御主人、ちゃんと買ってきてくれたかにゃ?」
「うん、あ、そうだ。これクラスの人から買ってもらったんだけど『ミケによろしく』だって」
「殊勝な人にゃあ、今度会ったらお腹触らせてあげてもいいにゃ」
金の猫缶を見せてやってから、俺は制服を着替えてから台所へ向かう。まず見るべきは冷凍庫からだ。
「にゃー、御主人、早く食べようにゃあ」
「ちょっと待って……おっ」
漁ると、ちょっと古めの冷凍ご飯が出てきた。さすがに卵はあるだろうし、最低限の食事は出来そうだ。
俺は冷蔵棚をあけて、卵を一つとる。幸いなことに残り少ないウィンナーもあったので一緒に使わせてもらおう。
「おまたせ、それじゃあ食べようか」
「そうしようにゃ、美味しいご飯食べられて幸せにゃあ」
ご飯をチンし終わって、卵とウィンナーを適当に焼いた俺は、ミケと一緒にリビングのこたつに入る。
「じゃ、頂きまーす」
「にゃー、思わぬ贅沢にゃあ」
少し硬くなったご飯だったが、俺は気付かない振りをして食べる。うん、不味くはないな。これで五百円儲かると思えば全然許容範囲だ。
俺は浮いた金でどうするかを考えつつ、質素な夕飯を口に運んでいった。
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