第21話 明日の帰りに予想外の出費が発生した。
家に帰ると疲れがどっと出たのか、体調が悪化したので、俺は身体の拭ける範囲を濡れタオルで拭いてからパジャマに着替えてベッドに滑り込んだ。
「にゃー、御主人辛そうにゃあ」
「ミケ、ちょっと今キツいから構うのは明日ね」
外の空気で身体が冷えていた分、熱で頭がガンガンする。なるべく布団を深くかぶって身体をさっさと温めることにした。
「しょうがないにゃー、ミケがお腹に乗ってあげるにゃ」
「いや、ほっといて……」
ミケの体重がお腹にかかる。
いつもはそれほど気にならないのだが、身体が弱っていると過剰に反応してしまう。俺は死にそうになりながらミケをお腹からずらした。
「ごめん、ホンットにキツいから……寝かせて」
「ダメにゃあ、御主人の無事を一番近いところで確認するのがミケのお仕事にゃあ」
そう言ってくれるのは嬉しいのだが、生き物が上に乗っていると思うと、落ち着いて寝られない。なんか寝がえりで潰しそうだし、落ちたら落ちたで騒ぎそうだし。
「ミケは勝手に乗っかってるだけだから気にしないといいにゃあ、この状態で落ちるほど運動神経ダメダメじゃないにゃあ」
「ん……そうか」
風邪による体力の消耗と、早い睡魔の到来により判断力の鈍った俺は、ミケの言葉に甘えることにした。
お腹の上に乗っているのは少し重いクッションか何かだと思うようにすれば、まあまあ納得して睡眠を取れるようになってきた。
「御主人はよく寝るといいのにゃあ、明日にはきっとよくなってるのにゃあ」
ようやく意識が薄れてきて、眠気も深くなってくる。熱があるせいで頭もぼーっとするが、無理矢理覚醒させる必要もない。
「御主人、しんでないよにゃ?」
「んー……」
ほとんど意識の無い中、俺は適当な返事をする。眠たいんだから寝かせてくれ。
「何かしてほしい事があったら言ってにゃ」
「んー……」
「ところで明日金の猫缶食べたいんだけど、買ってくれるかにゃ?」
「んー……」
俺の意識は、段々と沈んでいった。
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