第17話 集会自体は数分で終わって、あとは猫を撫でていた。
「にゃー、ご主人同伴で猫集会参加は楽ちんにゃあ」
俺はミケを抱きかかえて道路を歩く。
「でも、他の猫たちが嫌がらない?」
「そんなことないにゃあ、むしろ他のみんなも撫でろってうるさいと思うにゃ」
野良猫って、割と警戒心が強いと思うんだけど、言葉が通じるおかげか普通にみんな接してくれるしなあ。
「お、人間、奇遇……ってミケ! 保護者同伴で集会に出るのかよ!?」
「あ、クロスケちゃんだにゃ」
「やあクロスケ、俺も行っていいかな?」
集会場に近づけば必然的に野良猫たちと会う機会は増えていくわけで、会場に着く頃には5匹くらいの猫に付きまとわれていた。
「……ほう、今回は人間も参加か」
「あ、どうも、ミケの飼い主です」
会場には十匹ほどの猫が集まっており、その中でも一番貫禄のあるキジトラの猫が威厳たっぷりに口を開いた。
「別にご主人同伴でも構わないにゃ?」
「構わん、珍しく全員が集まったのでな」
へえ、猫の集会っていつも全員参加が基本じゃないんだ。
「ご主人、トラ会長をなでなでしてあげるといいにゃ」
「いいの?」
「会長はなでなでが好きだから特別にゃ」
俺はトラ会長を気遣って聞いたんだが、ミケにはそうは聞こえなかったらしい。苦笑しつつ撫でてあげると、トラ会長はゆっくりと語りだした。
「いよいよ我々にとって重要な、ふにゃぁ……非常に意義のある、ふごふご……議題を話し合いたいと思うゴロゴロ……」
口調は威厳ある大人のようだったが、撫でられて喉を鳴らすさまは完全に猫だった。
「で、では議長、ようやくあの話を!?」
「うむ……」
しかし大事な話って何だろう? ミケはあんまり集会に出てないみたいだし、そのせいで滞ってたら悪いな……
「では、重要な議題である『次にいつ集まるか?』について話したいと思う」
俺は盛大にずっこけた。
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