第18話 風邪ひいた
「にゃあー……」
こたつの中でミケが何やら唸っている。
「どうしたの? ご飯できたけど」
俺はミケのエサ皿をこたつの外に置いてやる。
「今日はおこたの中で食べたいにゃあ」
「だめ、人間でも脱水症状になったりで危ないんだから」
去年こたつで寝て盛大に風邪を引いたので、今年はこたつと適度な距離を取りたい俺だった。
「仕方ないのにゃあ……ミケも風邪は引きたくないのにゃ」
のそのそと出てきたミケは、寒そうに体を縮こまらせている。俺はそんなミケに羽織っていた半纏を掛けてやる。
「にゃっ!? これは……適度な温もりプラス御主人の匂い!」
「寒いだろうからね、俺もちょっと寒いから食べ終わったら返してね」
俺はそう言ってこたつに身体を滑り込ませる。温かい空気が冷え切った足先や指先を温めてくれて、いい感じに眠気が襲ってくる。
ミケのご飯は用意したが俺の分はまだ時間がかかる。それまでゆっくりぬくぬくさせてもらおう。
「にゃあーにゃあー、しあわせにゃあ」
「そりゃよかった」
俺は手近なクッションを引き寄せて、枕代わりにすると、横になった。暖房が効いていないわけじゃないが、こたつの中の方がはるかに暖かいのだ。これは仕方ないだろう。
それに、半纏をミケに貸していてちょっと肌寒い。いっそのこと首まで浸かってしまおうか。
大丈夫大丈夫、夕飯はすぐだからガッツリ寝込んでそのまま風邪ひくなんて事は無いはず。
「ご主人ー半纏はどう返したらいいにゃ?」
「夕飯できるまで使ってていいよー」
「了解にゃあーじゃあこのままご主人の匂いと温もり感じてるにゃあ」
ちなみにこの後、醤油が切れていて買いに行った母親が、車の渋滞に巻き込まれて、三時間くらい帰ってこなかったことを、俺は頭痛と悪寒の中聞いていた。
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