第七章 戦争、止めませんか?
閑話 [ルホス] 鑑賞したいときに邪魔するな
「ぎゃぁあああ!!」
「誰か助けてくれぇぇええ!!」
私は、私から逃げ出す盗賊共を次々と殺していった。
鬼牙種の私が殺傷能力のある魔法を放っていくと、それを諸に食らった盗賊共が死んで静かになる。
それの繰り返しだ。
「あそこかッ!」
片っ端から殺していたら、私は一際大きい荷馬車を見つけたので、その中に駆け込もうとした。
たぶん、その中にさっき押し込まれたガキ共が居るはずだ。
良い感じのレニアとリベットがッ!!
すると中から、なんか下半身丸出しの男が一人出てきた。
「なんの騒ぎだぁ?」
「死ね!」
「っ?!」
私が男の頬を殴ったら、そいつは首を軸に頭を2、3回転させて絶命した。
弱......。
なんでこんな雑魚共に攫われているんだ、シスターたちは。
私はそんなことを思いながら、荷馬車の中に入った。
「っ?!」
そして目にした光景に絶句する。
荷馬車の中では、シスター・ラミが服をひん剥かれて、ほぼ全裸の状態で横たわっていた。
シスターは涙で目元を真っ赤にしていた。頬には殴られた跡が見受けられる。
口には何か厚手の布のようなものを噛ませられていて、大声が出せないようになっていた。
また近くには攫われたガキ共数人と、攫った盗賊共が二人。
後者は全員、下半身丸出しである。
おそらく、さっき私が殴り殺した男も含めて、こいつらはシスターを犯していたんだ。
れ、レイプ現場だ......。初めて見た。思わず、自分の口から感嘆の息が漏れる。
「お、おおー」
「なんだこのガキッ!」
「おいてめぇ! 殺されたくなかったら大人しく――」
と、下半身丸出しの輩を、私は片手で制した。
「我にはかまわず続けてくれ」
「「はぁ?!」」
「んんー!!!」
私のその一言に、盗賊共は素っ頓狂な声を上げ、シスターは暴れ始めてなんか訴えてきた。
何言ってるのかわからないけど。
すると、孤児院のガキ共の一人が、口に含んでいた布をどうにかして外して、私に訴える。
「ルホスちゃん! 助けて!!」
訴えてきたのはレニアだ。
「レニア!! 探してたぞ!!」
「捕まえろッ!」
「オラァ!!」
レニアとの再会を喜ぶ私に、下半身丸出しの盗賊共が襲いかかってきたので、私はつい反射的に、【雷電魔法:雷槍】を放って二人とも殺してしまった。
一際強い光が発せられた後、火力調整をミスったのか、そいつらは全身焼け焦げていた。
「こ、殺してしまった......。せ、せっかくのレイプ現場が......」
「視姦しようとしないでくれるかな?! 操を守れたのは感謝するけどッ!!」
「あ、シスター」
シスターも口から布が外れたのか、私に怒ってきた。
「いや、ちゃんと助ける気だったぞ。レイプ終わった後に」
「レイプされる前に助けてよッ!」
「し、シスター、そんなこと言っている場合じゃ......」
と、レニアが私たちの間に入ってきたので、私はとりあえず、シスターの両腕を縛っている縄を引き千切った。
「言いたいことは山程あるけど、とりあえず、今はここから逃げないと!!」
「? 盗賊共なら大体殺したぞ」
と私が言いかけたところで、
「おいおい。これはいったいどういうことだ? ああ?」
「っ?!」
どこからとなく、男の野太い声が聞こえてきた。
背後からだ。私が振り返ると、視界の右端に影――拳が映る。
「っ?!」
「ルホスちゃん!!」
真横に盛大にふっ飛ばされた私は、即座に立ち上がった。
が、すぐに片膝をついてしまう。
「お? なんだ、このガキ、俺の拳を食らってまだ意識あんのか」
「はぁはぁ」
荷馬車から降りてきたのは一人の巨漢だ。
タフティスくらいデカい。
そんな奴の両腕には、何やらゴツゴツとした鉄の塊が付いている。
巨漢は何が面白いのか、ニタニタと余裕のある笑みを浮かべながら、私の方へ近づいてきた。
「俺は<剛腕狩人:ヘドナ>ってんだ。Aランク冒険者なんだぜ? 元だけどな」
聞いてもないのに、なんか名乗ってきた。
私はなんとか両足で立って、口の中に溜まった血が混じった唾を吐き出す。
「ぺッ。......知らん。死ね」
「大人しくしてたら高値で売り捌いてやんぜぇぇええ!!」
真夜中、焼かれている教会が灯す火に照らされて、私は巨漢と戦闘を繰り広げるのであった。
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