第662話 再出撃
ジオーオ・ソバデが潜伏しているのは南西に55キロメートルほど。
そこに留まっているのか向かっているのかは分からない。
ただそこへ行けば、奴はスキルを使う。それだけわかるだけでも、全知万歳だよ。
★ □ ★
……ではあったのだが、蘇生の疲労も考えて1日待つことになった。
当然、全員温泉行き。女性だけだがな。
懐刀である
俺ももちろん行かないぞ。
蘇生できると言っても、今は出来ているというだけでしかない。
俺が消えればそこまでだし、蘇生が本当に100パーセントかの保証だって本当はありはしない。
それでも皆、北では俺の提案を聞いてくれた。
有難いと思う一方、実際には死なないのが一番だ。
そんな訳で、二人には他のベテラン女性陣との交流を深めてもらおうという訳だ。
そんな訳で、男連中は召喚庁で好きなものを食べ好きなように休んでもらう事にした。
以前に宴会をした時、地球の味付けに慣れた料理人を呼べることは分かっているし、ここには安全で快適な空き部屋も沢山ある。
実際の待遇にあまり差はないだろう。
問題なのが1日という期間だ。
何処まで本調子に戻せるか……こればかりは、祈るしかない。
まあ現実は祈ったってどうしようもないんだけどね。蘇生の影響が1日で解消されるとか思ってないよ。
ただそれ以上に、今は向こうの方が消耗している。
ただ回復速度は分からない。だからどうしても急いでしまう。
そんな俺の焦りはみんな気が付いているだろうが、それはそれで否定する材料はない。
むしろ今が過去最高のチャンスであると思っている事は間違いない。
だからここは踏ん張ってもらうしかない。
これでダメだったら……もうこの際じっくり休むさ。
そして翌日。特に時間は決まっていなかったが、朝には全員召喚庁に集まっていた。
さほど広くもない
今回はそれに加え、
ただ当然ながら――、
「
確かにドライな奴だし、俺を召喚するために多数の人間を使い捨てにした。
ただ俺からすれば、やれることが凄いと思う。
俺なら出来なかった。先代でもダメだったろうな。
たとえやらなければいけないとなっても、最後まで他の方法を考える。そして奇跡が起きなければゲームオーバーだ。
普通は無理だと分かっていても、その神の奇跡とやらを信じて人道を守る。
もしくは時間切れが見えた所で慌てて路線変更をして、グダグダになって終わるかだ。
だがこいつは目的のために全てを切り捨てた。これまでの人生で培ってきた、自らの生き方すらな。
今はその重荷から解き放たれて、本来の性格が出ている状態なわけだよ。
ただまあ、心配は分かる。
「実際に体験した身から言わせてもらうけど、蘇生された負荷は新人が軽々と耐えられるものではなかったわよ」
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やはり1日は相当無理をさせているな。
だが――、
「護衛に関しては俺もいるし、何より
「確かに全知は未来の構築だから、時間かかるんだよね」
「そんな訳だ。俺たちが動けば、敵はこちらに集中する。ただ
「それは教官組に任せるほかあるまい。要は、こちらが先にジオーオ・ソバデを倒せばいいだけの事だろう。では各員、行動開始だ」
何だかんだで、やっぱりこの時代のリーダーは
別に寂しいわけではないよ。むしろ、これで良いと思っている。
俺の指示は聞いてもらうけどね。
こうして、俺たちは今度は南へ向けて出発した。
こちらは
だけどここが踏ん張りどころだ。
やはり彼女の自害は考えたくもなかった様だ。
実際にはそれ以上に、ラーセットの防衛に要が欲しかったのもあるけどな。
当然ながら、俺たちの動きは直ぐに伝わる事になる。
南西にいた軍団が、一斉に俺たちと目的地へと集結するだろう。
同時に反対側。北方面では、奥に潜んでいた眷族を主軸とした軍団が活動を開始すると予想される。
しかし――、
「消えたよ。今はさらに南に80キロメートル。けど、やっぱりまだ出会える未来を構築できないなー」
「奴が距離を外した時点で、また構築すればいさ。なに、そう何度もやらなくて大丈夫だろう」
「大した自信だねえ」
「自信なんてないさ。ただ今までの行動からの予想。それに、そうであって欲しいという祈りって感じだな」
「別に
「そうだね」
「まあどうせ会えないんだ。本番までは、無用な緊張なんかしても仕方ないしな」
向かう方向の角度が少し変わっただけだが、おそらくジオーオ・ソバデは今頃様々な可能性を考えているだろう。
自分の位置を特定されたかのような動きにも驚いただろうが、移動と同時にこちらの進行方向がそこに変わったのだ。
取り込んだクロノスの知識が何処まであるかは知らないが、発信機を取り付けられているように感じているかもな。
まあ実際にはそういった追跡スキルを最初に思い浮かべるのだろうが。
果たしてあと何回距離を外せるかだが、実際に思ったよりもかなり少ないのかもしれない。なにせ、移動した距離が短い。
これに関してはまだラーセットを諦めていない可能性もあるが、それなら100キロくらい動いて反対側まで行けばいいだけだ。
罠の可能性は否定できないが、それを言ったら何も出来ない。
今回はまだまだ追いつめる事がメインだが、俺は奴がまだ手負いの状態である事に賭けるね。
一つ懸念があるとすれば、俺たちの速度に付いて来られない
昔はこんな感情は無かったのだが、なんだかやきもきするよ。
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