第650話 感動の対面と言いたいが
行く方向が決まっているのだから
入り口で見た限り、彼女の後ろに爆発は行かないようだからな。
ただこうも入り組んでいると、何処かで繋がっている可能性がある。
嫌だぞ、突然横から爆発が走って来るのは。
それと
やる時は一瞬。それも神罰がキーになっていると分かっている以上、それで倒すわけにはいかない。
まあ元々
そんな訳で、とりあえず体半分くらい消し飛ばしてもらうのが目下の予定だ。
そんな事を考えながらも進み続けるが、本当に枝道から次から次へと湧き出してくる。
同類だけではなく眷族も混ざるが、何と言うか入り組んでいるだけあって狭い。
出てくるのはせいぜい狼程度の大きさが限界だ。
なんか特別強かったり特殊な能力があったりするのかもしれないが、それを発揮する前に単純な物理攻撃の前に敵ではなかった。
特に、やはり
二人とも、俺が強い敵だと思った瞬間にはそれを倒している。
速さ、攻撃、判断力。さすがに全てが最高級だ。
「それにしても、なんか順調すぎないか?」
「
「だけどあいつは戦えないんだよな? 何であんなにやる気なんだ?」
「確かにそうね。雑魚狩りなんて、あの子が一番面倒くさがる行為よ。率先するなんてちょっと変ね」
考えてみればそうだ。
自分はジオーオ・ソバデとは戦えないという話をした時、少し残念そうだった。
だがじゃあやらないとはならない。
バトルマニアだからか?
そうとも思えない。かつての反乱の際、あいつは長い退屈を嫌って自ら倒された。
まだ、
確かにどちらかを倒してしまったら、今の未来につながる糸は切れてしまったのかもしれない。
それでも勝てそうになったらやめれば良いんだ。
でもそうしなかった。
単純に誰でも良いから戦いたいんじゃない。ちゃんと戦える相手を見極め、その上で満足できる相手を探している。
今のあいつの全知には、一体どんな強敵との戦いが映っているのだろう。
◆ ★ ◆
「少し広い所に出るわね」
「ああ、感じている。それに――」
この感覚、忘れるはずがない。奴だ!
なら
だが考えるのは後で良い。今はとにかく、進んでから考えればいいんだ。
通路を抜けた瞬間、雰囲気が変わる。
巨大なレンガ型をした、無数の銅を積み重ねて作られたピラミッド型の空洞。
ただ形は六角形。広さは1辺が100メートルはある。
広さもそうだが、外とは違うこの異様な形。間違い無くセーフゾーンだ。
そして奴はいた。ジオーオ・ソバデ。
姿はこちらで初めて出会った頃から変わってはいない。
かつての青いゼリー状の球体から大きく変わり、上半身は人型だ。
まるで貝で出来たかのような頭の隙間からは片目だけが見える。
そこから覗くのは、爬虫類の様な瞳孔をした紺色の瞳。
だが何かを見えているような意志は感じない。まるで人形に取り付けたガラスの目だ。
上半身は全身から棘の生えた人の形。
形は男性だが、右手が2本、右胸からは1本、左手が3本。
ここからでは普通には見えないが、更に3本生えているのが分かる。
それに左肩には女性の乳房が1つ。腹には牛の乳房が付いている。
牛の腹はともかく、あの腕や頭は誰か召喚者の物なのだろうか。
下半身になって、ようやくいつもの奴になる。
青くて丸いゼリー状の球体。
ただその下には30本ほどの足がある。
それは人が多いが、タコや馬、それにワニなど様々だ。
どう見てもアレで動くことは出来ないが、その点は関係ないようだ。
ただぶら下がっているだけ。
奴はいつものように浮遊している。
かつての奴の直系は2メートルほどだった。
だが今は球体も少し膨らみ、付属品も増えた分、およそ5メートルといった所か。
相変わらず変わらぬ威圧感。
それにこの広い空間にいる無数の同類や眷属。随分と豪勢な歓迎だ。
しかしまあ――、
「お前が素直に姿を現すのは本当に意外だよ。最後の最後まで逃げて隠れるのが身上だと思っていたからな」
「これがお前をまままま抹消するのイ最適だからだ」
「なら覚悟は出来ているという訳だ。先を急いでいるんで、さっさとご退場願おうか」
双方が短い言葉の応酬をしている時、
もう既に足元にいてそのまま腹に槍を突き刺す。
同時に発せられる衝撃波。
刺さったままの槍は粉々に砕けて吹き飛んだが、
だが少し食らったか。
シャツが破け、ブラの紐が見えている。
元々、
緑の格子模様の綿のシャツ。白い綿のブラ。下は同じ様に何処にでもある様な白い綿のスカートで、下着も同じ。
一応、足元だけは金属板の入ったスパイク付きのブーツを履いているが、これは召喚者の標準装備のようなものだ。
それに槍があったのだが――と思ったら、形が違うが
着地と同時にそれを受け取る姿はなかなかに決まったコンビネーションだが、何せあの槍がビキニパンツから出てくるのだから見た目はシュールだ。
だがこれではっきりしたな。
「おそらく、コピー系のスキルだろうな」
「クロノスのスキルが使えるなら、他が使えてもおかしくはないぜ」
「スキルは一人一つが鉄則ですがなあ」
「それもあって、上手くは扱えないのだろうさ。ハズレや他のスキルも自由に使えるならどうにもならん」
俺を取り込んでハズレが使えるなら、当然あの姿を見れば他もある事くらい予想出来る事だ。
それに
それが崩れていない以上はまだまだ未来に変化はない。これはそこに至るまでの道の途中だ。
しかし衝撃波のあの威力。本物と比べても遜色は無い。中々に厄介だ。
「余計な事をして時間を取られても仕方がない。
「やっぱそうなるよねえ」
「確かにここからが一番ね。大丈夫、
心配を見空かされていたか。
強力なスキル程、どうしても負担は大きいからな。
「でもお、そこまで心配してくれる
「良いからっさっさとやれ」
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