第629話 児玉の復活
こうして
「彼女のアレは何なんだ? スキルじゃないのに目が離せなかったし、抵抗すら出来なかったぞ」
「そ、それはまあ……」
「君がスケベという事だ。それも筋金入りだな。だがいずれはクロノスとなる男と思えば当然だし頼もしくもある。自分もかなり世話になったものだ」
「分かりやすく説明してくれ」
「簡単に言ってしまうと、天性の男殺しかねえ。生まれながらのサークルクラッシャーと言った方がいいかい?」
「あれ?
彼女の死亡年は172年。一方で
「ひしおで良いよ。皆、そう呼んでいたからねぇ。それと、そんなの見りゃわかるさね。相手に応じて自分の魅力を最大限にアピールする術を知っているんさ。だから女に免疫のない男や、どうしようもないスケベは簡単に堕ちるねえ。逆に
く……俺はいつの間にそんな人間になってしまたんだ!
これでもちゃんと
それにフランソワとの関係は断てないし、何だかんだで
「ん? 何か悩み事か?」
「どうせ真面目な事ではないから気にせんでええでしょう。しかしああいった子が好みでしたとはなあ」
何の反論も出来ない自分が悔しい。
というか、アレが好みという訳ではない。
やっぱり俺には
だけど何というか、彼女は色々と新鮮というかギャップ萌えというか――なんか
だけど違うな。
そして本来進むべき道は、いわゆる“強い女性”だろう。
だが
さすがに日本では刺してはいないと思うが、狙った男は確実に堕としているだろうな。
だけど本能か自衛の為か、それ以外も手玉に取るタイプか。
なんというか、ヤンデレとサークルクラッシャーという相反する性質が一つになっている上に、外見は思わず守りたくなってしまうほど華奢で妖精のような美少女。
うん、日本では関わらないようにしよう。
というかこちでも節度を守ろう。
俺もまだ消えるわけにはいかないからな。
「説明は終わったわ。そっちは?」
「特にこれと言って無しだ。軽く雑談をしていただけだな」
実際、向こうで説明をしている間に、こちらでも最終目的や今後の方針などを話していた。
当然ながら他の蘇生候補に関しての意見も聞いたが、やはり2人という数が中途半端で絞り切れていない状況だ。
性格から考えて
彼女の事だ。もう最終的に誰になるかは知っているのだろう。
「とにかく、候補が無いなら先に予定の2人を蘇生させましょう」
「確かに
「そうだな。2人は保留として、
「え、そ、そうなの。ええと、この格好おかしくない? 帽子曲がってない?」
ロングの黒髪を一本三つ編みにし、顔にはトレードマークとなっている丸眼鏡。
そして黒い魔女帽子に黒ビキニ。マントを羽織っているがこれも黒だ。
ちなみ足元は先の尖った革のローファーで、靴下は履いていない。
おかしくないかと言われると本気で返答に困る。
そんな俺の心の機微など言葉の様に認識しているだろうに、帽子の角度を直したりビキニの紐を調節したりと慌てぶりが凄い。
今まで散々せかしてきたのが嘘のようだ。
まあ実際、本番となれば誰でもこんなもんだ。
こちらに来てからきつい
なんてことを考えているとナイフが飛んできそうだが――、
「い、いいわ。大丈夫。こちらの準備は完璧よ。始めて頂戴」
足が震えているが、覚悟だけは決まった様だ。
風の音でもない不思議な感じだったが、今思えばあれがそうだ。
彼女は一度日本に帰しているからな。
俺がこちらに来た時に上書きされたのだろう。
そして召喚者の魂は他と交わらない。世界から隔離された存在だ。
だから本能か、微かながら自我があったのかどちらかだろうな。
「
「や、やっぱり待って。マントは大丈夫? 左右ずれてない?」
「気にせずやっちゃってくれ」
「もう止まりません」
こうして、ドサッという音共に
姿は当時と全く一緒。高校2年生、17歳。身長は165センチ。全体としては少しショートカットに近いが、長い前髪を左右に流して留めている。
可愛いというより美人系。胸は並といったところだが、背が高い分だけやはり直接触れると大きく感じる。
かつてどうしようもない男に走り、
だが男に走ったというのはただの口実で、実際には退屈に飽き飽きしていたのだ。
これは完全に俺の不注意だった。
ただの地上勤務がいかに退屈かは
あの野郎、真実を全て語るとは思っていなかったが、9割9分
やっぱりギャンブラーという人種は信用できない。
というか、そもそもあの時点で確証も取れない話を信じるって方が馬鹿だった。
まあそんな事よりも、早くも
あれだけ注意していた服装なんて、もう何の意味も無いな。
俺にとっての
とは言っても、ここでおっぱじめるなよ。
まあ全員、そうなっても気にもしないだろうが……あ、ヨルエナは意外とウブっぽいからやっぱダメだな。
「なんてことを考えているのよ! この変態!」
「なんか色々あったみたいね。説明は彼女から聞くよ」
苦笑した
あれは当分戻ってこないな。
では今の内に
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