第623話 こいつはダメだな
話を聞く限り、タイプとしては
ただ彼女は主力チームを率いたが、それは固定されていた。
だが彼女はそこに新人を入れて、ノウハウを教えては独立させていったのか。
確かに教官と呼んでもおかしくは無いな。
「それで特殊なスキルって言うのは?」
「“集団”という珍しいスキルでしたわ。一人ではあまり実力を発揮しませんでしたが、敵でも味方でも、周囲にいる数が多くて強い程に本人が強くなるというスキルでありましたなあ。あの当時は最強格の一人でしたわ。ただそれ故に激戦に参加する事も多くなりましてなあ。最後は双方壊滅した中で、弱体化した彼女は倒されたと聞いております」
なるほどねえ。
確かに敵味方共に多ければ相当に強いが、双方が減っていけば最後にはそうなるか。
本来なら、そこまで行く前に圧勝するか逃げるかだが、状況は千差万別。予想は出来ないな。
ただ確実な事を言えば、確かに今必要な人材の中でもトップクラスだ。
聞く限りでは現地人の兵士をいくら増やしても本体には届かないだろう。
それだけ強力かつ大軍の配下に守られている。
だが彼女からすれば、それは逆に奴にとっての仇となる。
これは強力な戦力になるな。
しかも初期の教官。人格者。資料にはしっかりと“クロノスのお手付き”と記載されているが、もはや驚かぬ。
もう節度を守れなど言う気力すらないわ。
「その子は確定で良いな。残りの連中を教えてくれ。そういえば一人ダメって言うのがいたな。
「何故も何も、
「まあ知っておいて問題は無いでしょう。それに、蘇生させる事はウチも反対しておきます。余計なトラブルが起きる前に、早いところ日本に帰した方が良いと思いますわ」
「珍しいな。お前は誰とでも仲がいいと思ったが。
「人を狂犬みたいに言わないで欲しいかなあ。これでもみんな仲間だと思っているからね。敵対しなければ槍を振るう事は無いよ」
いや待てよ、そもそもその情報が間違っている可能性は……無いな。
その後の反乱では
なんとなくだが、結構分かりやすい性格をしている。
ストレートに言えばバトルマニア。
強い相手と戦える――なんて甘いものでは無い。殺し合える口実さえあれば、喜んで飛び出していくタイプだ。
それだけに、戦ってくれない相手には興味を無くしてしまう。本体がまさにそうだな。
「それで話を戻すが、
「単刀直入に言えば、ほぼ確定で殺し合いが起きるからと言いますか」
「ほぼねえ……」
少し曖昧だ。それに少し決めかねている感じがあるな。
まあこういう時はという感じで
「その反乱の後、組織改編があった話はしたでしょう。資料は確認した?」
「ああ、
「そういう事。正確に言えば中立で生き残った
「ふうん。あれが
顎に人差し指を当て、楽しそうな表情を浮かべている。
その後の展開が分かったという感じだな。
「もともと人格的には横暴な所はあったけど、実力は確かだったし、何より自分が王様というルールさえ守れば問題は無かった人物よ。クロノスと違って、女癖も悪くは無かったし」
「一言余計だ」
「だけど、それに
「こっちは左手と両足を粉砕されるし、
なかなかに壮絶だ。
というか、
「わ、私は単に頭をカプセルに入れただけで」
「その準備の周到さを買っておりましたわ。あの後、教官組になったのも納得でしょう」
「あまり嬉しくはありませんでしたが……」
「ふふ。
「けれど
普通に考えれば
それに中立とはいえ、そもそもが
反乱には参加していなかったというだけで、中立イコール
不利になれば手の平を返す立場でもあるけどね。
だからその
そもそも、そんな生き馬の目を抜く様な状況だって事は全員承知していた。
反乱の理由自体が、その殺伐とした状態への反抗だしな。
そしてそんな状態でも、
今いる地上の10人と
だから、
だけど、そんな理屈は通らないよな。
人は感情で動く。ここでは特にそうだ。
それに詳しい事は分からないが、
だけど一緒の仲間に加わってしまったらそれは果たせない。
説得できるようなら、そもそも蜂起なんて無いし。
だが果たせなかった。
うん、そのパターンが一番しっくりくる。
俺でも殺るわ。
「まあその内容なら素直に日本に帰して終わりとしよう。それぞれ遺恨があり過ぎる。3人揃っても、どうせすぐに殺し合いだ」
というか殺し合いにもならないか。
そしてその
こちらもまったく躊躇はしないタイプだ。
蘇生するだけ無駄。
ちょっと惜しい気もするが、忘れよう。
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