第622話 残り8人を決めないと
「へえ……ふうん……なるほど。それで
「だからこいつにだけは知られたくなかったのよ! 私にとって、あれは汚点よ! もし
「ふうん。あんたにそんな事、出来るんだ。
「まあやめときなって。今の
そう言いながら
手には赤と黒の螺旋模様の付いた槍。愛用の品で、アレが無いと落ち着かないそうだ。
フランソワの武器コレクションにあったので、出してもらった。出し方は相変わらず物騒であったが。
特別な名品という訳ではないが、手に馴染むのだろう。
それはともかく面白い見え方をしているようだが、確かにその通りだ。
小出しにした神罰で
あれは元々一発勝負の為にコピーしてある。それに全身全霊を掛けて最大の一発を撃ち込むのが前提で、
中途半端に数発撃って息切れでは、
むしろ武器で戦った方がマシですらある。
目の前で
「それで、そのくだらない質問に何の意味がある訳? 無いならもう2~3本刺さっておく?」
「割と真面目に言えば無いんだが――おっと、ナイフは投げるなよ。実際
「本気なわけが無いでしょう。必要だからよ。あいつが男として役に立たないのは知っているでしょ」
酷い言われようだ。
単にストイックなだけなのだが、
「要はそんな感じで、お前が我を曲げてでも必要とするような人間はいないか? 確かに色々あった事は聞いているが、全部が全部そうじゃないだろう?」
「それなら
「そうだな。当初の余裕は13人。その内、5人は今召喚した。それに
丁度戻って来た
「どうすると言っても、ウチは彼女とはそれ程に親交があったわけでもありません」
あれ? と思ったが、考ええみればそもそもあの3人組は全員学年違いだ。
同時に召喚されて生き残ったから長く組むことになって、その過程で親交も育まれた、
けれどこちらではそれが無いって事か。
「そうか。やはり時代が変わると色々変化があるものだな。俺の時は、お前たちは親友だったよ」
「まあ確かに同期としてやってはいましたが、彼女は早々に逝ってしまわれましたからなあ。もっと長く一緒にいれば、きっと楽しい事が色々あったのでしょう」
「まあ最後には呼び出して日本へ帰す。必要な人間の特定と蘇生さえ完了したら、後は流れ作業で日本へ帰していけばいい。ただ問題は……いや、これは最後で良いだろう」
「何の事です? そんな風に言われると、逆に気になりますわあ」
「記憶を持ち帰る塔の件よ」
「今は古い方を使っていますね」
「何か問題があったのですか?」
「何々?
「要するにだな、このままだと確実に修羅――」
「ああそうでしたわあ! 蘇生するのであれば、外せない人間がおりますわ。ウチとしたことが、大事な人を忘れておりました!」
「確かに戦ってみたかった人は何人もいたよねえ」
いや戦われても困る。
「誰か特別な人間がいるのか? まさか
「確かに強かったけど、その9人より
相当なベテランだったと聞いたが評価が酷い。あまり仲は良くなかった……というか殺しに来たんだっけ。
まああっさりと
だけどその時に敵対した
その
すさまじい回数のスキルを使う事になるから、決して楽勝とはいかないがな。
他の9人も同格くらいだとして、それらを一蹴するレベルの人材がまだいるのか。
「確実に名前が上がるとしたら
「懐かしい名前ね」
「わたしは
「私が知っているのは
フランソワが召喚された時点で二人いたが、
そしてそれより前に召喚され、亡くなったのが
「あ、それなら
「
「いっぺんに言われると整理に困る。順番に教えてくれ」
「そうですなあ。先ずは
「そうね。こちらにいた期間は短かったけど、実力と性格は確かよ。初代教官だもの」
「へえ。その辺りの組織図とか聞いていなかったな」
「適当でいい加減。時代によっても変わるから、聞くだけ無駄よ。言ったでしょ最古の4人だの地上の10人だのは、4年前の反乱からだって」
ああ、言っていたわ。
そうなると、それまでは当時の
確かに俺も
本格的に教官組という組織を作ったのも、14期生が本体と出会った事件からだしな。
あの時に、本格的に召喚者を育てなければいけないという気持ちが生まれた。
それまでは、どこか心に油断があったんだよな。
まあ先代の俺も似たようなものだったろう。自分の性格だからよく分かるよ。
きっちりした組織作りは、どうせ
「彼女は大月歴の155年に召喚されて、172年に亡くなっておりますなあ。それ以前に召喚された人もいますけれども、今は彼女の話で良いでしょう」
155年……
だが生存期間はたった17年。戦力として数えるには不安だが、5年でベテラン連中を倒したという
「それで人物的には?」
「初代教官と言える人物ね。呑み込みが早くて面倒見が良くて、期間は短かったけど、多くの召喚者を育てたわ。ただ珍しいスキルだった事もあって、地上で教えるというよりも
「なる程ね。育て方が上手かったんだろうな」
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