【 閑話休題 時間について 】

第537話 ここまでの時間について

 今までの敬一けいいちの時間の推理。


 非常に分かりにくいと思うので、新章前に補足説明です。



 ❖=敬一けいいちが今まで生きてきた現代の時間。

 ■=ラーセットの時間

 ◆=地球での時間

 □とか◇など白い場合は戻ったり消えたり不明だったりの場合です。



 先ず本体を倒した時からです。

 その時過去に戻りましたが、この世界全体の時間を巻き戻す事は不可能と考えました。

 これは今でも変わらない大前提です。


 ラーセットの時間。

 ■■■■■■■■■■■■■■■■

 他の星の時間。

 ■■■■■■■■■■■■■■■■

 宇宙全体の時間。

 ■■■■■■■■■■■■■■■■


 本体が時を戻す。

 ■■■■■■■■■■■■■■□□

 同時に他の星の時間も戻る。

 ■■■■■■■■■■■■■■□□

 当然宇宙全体の時間も戻る。

 ■■■■■■■■■■■■■■□□


 いやいや、宇宙の広さを考えたらこれは無いだろうと考えたわけです。





 そこで、本体の意識が過去に戻る事で時間の分岐が起きると考えました。

 ラーセットの時間。

 ■■■■■■■■■■■■■■■■

 ↓

 ここから本体が過去に戻る事で、

 ■■■■■■■■■■■■■■■■→続いて行く未来への時間軸。敵本体は討伐成功。

 ■■■■■■■■■■■■■■←本体が戻った時間軸。敵の討伐からやり直し。


 この2パターンの時間軸に歴史が分岐したと考えたわけです。

 ただ自分が日本に帰した以外の人が日本に帰った形跡がない。


 そこで最初敬一けいいちが考えたのが、

 ■■■■■■■■■■■■■■■■→続いて行く未来への時間軸。敵本体は討伐成功したけど自分のいない時間軸。

 ■■■■■■■■■■■■■■←本体が戻ると同時に繋がってしまった自分も戻された時間軸。


 でもこの説にはおかしい点があって、彼は万が一のため、今までのクロノスと違い自分自身を召喚しないで本体戦に挑みました。

 それはどんなパターンであっても、自分自身を召喚して選択できるようにしたわけです。


 もし討伐に失敗したら、高校生の自分を召喚して今までの様に鍛えてから時計の針で日本に戻す。

 当然奈々ななも召喚され、彼女は消えてしまうでしょう。

 ただ神罰の発動を見せるわけにはいかないので、その前に敬一けいいちは日本へ帰される事になります。

 このパターンだと日本へ帰れる人間はほぼいないと考えられます。今まで通りのループですね。

 でも何人かは、必ず戻したはずです。

 出来る事を確認させてからでないと地球に戻すわけにはいきませんので。


 討伐に成功したけど自分だけ本体と一緒に過去に戻ったとしたら、やはりやる事は同じ。

 でも、もう倒すべき敵はいません。

 高校生の自分を召喚して鍛え、みんなで日本へ帰るという選択肢が選べます。

 エンディングその1ですね。


 もちろん、もう時を戻せない時点(クロノスとしてラーセットに召喚された時点ですね)で倒すという本来の計画が成功した時点で全てのミッションは完了となるはずだったわけです。

 まだ誰も召喚されていない。召喚する必要もない。

 後はラーセットの人々と消えるまで共に暮らす。

 これがクロノス時代の最終目標でした。

 敬一けいいちが考えた真・エンディングといえば良いですね。。


 余談ですが、一応、召喚時に自分が来ないようにハズレのスキルは使っていました。

 効果があったのかは謎ですが、実際に自分自身が召喚されて来る事はありませんでしたね。





 ここでもう一つの時間の話があります。


 ❖止まっている地球の時間。


 ラーセットの時間。

 ■■■■■■■■■■■■■■■■


 基本的に召喚者は止まっている地球の時間から召喚されてきますが、死んでしまったらもう二度と召喚されません。

 そして、同じ人間が同時に召喚される事もありません。

 ただ、生きて日本へと帰った召喚者が再び召喚される事はありました。

 西山龍平にしやまりゅうへいがイレギュラーとすると、児玉里莉こだまさとりだけですね(クロノスであった頃の段階では――です)。

 とはいえ、これは今の敬一けいいちだけが出来た事で、それまでは誰も出来ませんでした。





 そして今までは、その時代の敬一けいいちが地球に帰る事で時が動き出すわけです。

 ❖→帰還◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◇→人類滅亡

 しかし最終的な人類滅亡前に敬一けいいちはラーセットに召喚されてクロノスとなります。

 ラーセットの時間。

 ■■■■←ここまで戻ってクロノスとなる。

   ↑本体によってラーセットが襲われた時


 そしてクロノスは新たに止まっている時間❖から高校生の自分を召喚し、日本へ戻っての繰り返し。

 この様に時のループをしていると考えていたのです。



 纏めるとこんな感じですね。


 ■■■■■クロノスとして試行錯誤する。

 ↓

 ❖止まっている地球の時間から自分を召喚する

 ↓

 ■■■■■■■自分が育ったら日本へ帰す(クロノスは戻れないのでラーセットで何らかの形で消滅)。

 ↓

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◇敬一けいいちだけ地球に戻されて人類の滅亡寸前まで生きる。

 ↓

 ■■■■そしてまた過去のラーセットに召喚され、

 ↓

 ■■■■■■何とかしようともがき、

 ↓

 ❖止まっている地球の時間から自分を召喚し、

 ↓

 ■■■■■■■■鍛えて人類滅亡の時へ戻す。

 ↓

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◇そして次の敬一けいいちもまた人類の滅亡寸前を体験し、

 ↓

 ■■■■過去のラーセットに召喚されるので、

 ↓

 ■■■■■■クロノスとして頑張って、

 ↓

 ❖結局は止まっている地球の時間から自分を召喚し、

 ↓

 ■■■■■■■■(この辺りの時期はランダム)鍛えて人類滅亡の時へ戻す。


 ずっとこのループをして来たと考えられてきました。

 ところが状況がちょっと変わって来たわけです。

 それは過去の自分が日本に戻した4人の記憶が、今の時間に重なった事。

 それに、準備はしていたのに誰も日本に戻った様子が無い事からですね。




 実際には、

 ■■■■■■■■■■■■■■■■→続いて行く未来への時間軸。敵本体は討伐成功したけど自分のいない時間軸。

 ■■■■■■■■■■■■■■←本体が戻ると同時に繋がってしまった自分も戻された時間軸。


 実はこのような歴史の分岐は無く、

 ■■■■■■■■■■■■■■□□(□が消え去った時間)

 この様にそこまで費やした時間を消費して過去に戻っている公算が出て来たわけです。

 ただ残念な事に、本来なら消費できる限界まで――つまりは、

 ■■■■(クロノスとして召喚された時間)。

 繋がった以上、召喚されたこの時点限界。つまりはここで最終決戦のはずが、

 ↓

 一本前の時間軸まで戻ってしまったわけです。

 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■←今ここ





 これには敬一けいいちも驚きました。今は過去なのか? それとも未来なのか?

 そこにいくつか説明が付く事が出て来ました。

 自分にとっては続いている未来ですが、時間的には過ぎ去った過去でもあります。


 結論から言えば、ここは間違いなく過去の世界。

 但し自分が行って来た事は消えずに残っている。

 正確には、保管されている場所があった――です。


 その結論に至った過程は、以前の世界で日本に帰した蔵屋敷里香くらやしきりから4人に以前の記憶があったからですね。

 召喚された時は、ごく普通の大学生でした。

 ですがクロノスの時間を体験して地球に戻った事で、彼らは今の敬一けいいちがクロノスであった時間が消滅する事から免れました。

 そのため、今の彼らに敬一けいいちが日本に帰したという事実が上書きされたわけです。


 ただそれなら初めて召喚された時点からそうなっているんじゃない? 地球の時間は動いていないのだから。

 ……となるのですが、実際には彼らが召喚された時にはそのような事実はありませんでした。また普通の大学生だったわけです。


 実は止まっている時間に“唯一干渉できる部分”があり、それが確定した時が、敬一けいいちがこの世界に来た時だったわけです。

 そして確定したことにより、彼らは2つの記憶を持つことになったわけですね。

 これが現在の結論に至った理由です。


 奈々なな龍平りゅうへいも同様ですが、二人の場合は一緒に召喚されてきましたのでその辺りはまだ曖昧だったのですよね。





 さて少し戻しますが、その“唯一干渉できる部分”とは、❖このもう確定した干渉されない時間の最後の一瞬、5月28日の夜の最後の瞬間、召喚と送還される停止した時間ながらも変化が発生している時間です。


 これまでの事で、不確定ながら一つの答えが見つかっています。

“一度死んだ人間を再び召喚することは出来ないが、クロノスが代替わりする事で可能になる”。

 これは魂をこちらの世界に召喚したからだと敬一けいいちは見ています。

 スキルで外して返す時にそんな認識があった事と、魂の存在を双子から聞いていたからですね。

 当然この世界で死んでしまえばそれまで。もう再びの召喚はあり得ません。

 これは本来、クロノスが代替わりしても同じです。


 最初の頃に有り得るかなと考えられていた、“魂のようなものじゃなくその人自体を複製している可能性”は、同じ人間が何人も召喚されてこない事や、実際に敬一けいいちが日本に帰った時、戻れなかった人間は死んでいる事を知った事で消えました。


 ところがクロノスが代替わりすると、なぜか同じ人が召喚される。

 本来であれば、自分は時が経過した時間から来たわけです。

 もう奈々ななや先輩、ほか多くの人は死んでいるはずなのです。

 当然、どれ程ループをして代替わりしても、死んだ人間は召喚出来ないはずだったのです。

 干渉できない時間❖の魂は、召喚してしまってそこにはもう無いのですから。

 でも自分を含めて、同じ人間が召喚されている。

 代変わりにはどんな秘密が?


 という所で、時間の分岐自体を消して無かった事にしている説が出たわけです。

 召喚され命を落としたという全クロノス時代の事実。それそのものが消滅していれば、たとえ自分の記憶の中に継続した歴史が残っていても、ラーセットの過去から見れば干渉できない時間❖が綺麗に残っているわけです。

 歴史はリセットされ、ラーセットで死んだという事実も消滅。魂はまだ日本にあるから再び召喚可能になると言う訳です。


 更に言えば、この時間は止まっていますが変化を加えることは出来ます。

 そう、送還です。

 完全にリセットされたように見えて、実は日本に帰した人間の魂は残っているわけですね。

 その為、過去に戻ったにもかかわらず未来で行った行為が残ったわけです。


 ただ、“前の時間を消費して時を戻したのなら、なぜ今この時間があるの?”。

 という疑問も残っています。

 この時間は自分が地球に帰った後、奈々ななの神罰を受けた本体が地球に来た時に消費されたはずです。

 なのにまだ残っているのは不思議ですね。


 この点を敬一けいいちは考えている最中です。

 まだ全貌は明らかになっていないのです。





 最後に歴史の分岐を最初のように別の惑星から見た場合ですが、


 ラーセットの時間

 ■■■■■■■■■■■■■■■■

             ■

             ■■■■分岐

             □■

             □■■■分岐

             □□□□消滅した分岐


 他の星の時間。

 ■■■■■■■■■■■■■■■■

 宇宙全体の時間。

 ■■■■■■■■■■■■■■■■


 この様に、一切干渉されていません。

 時が消滅して過去に戻って繰り返しても、自分と同じ時間になるまでは観測できないのですから。

 もしずっと観測していた宇宙人がいたら、突然様子が変わった事に驚いた感知れませんし、4次元人なら全部見ているでしょう。

 ただこの辺りは、サイエンスの範疇なので今回はここまでです。

 それでは再び本編へ……。

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