第524話 あの4人が無関係で良かった
召喚者を死なずに日本へ帰す為の塔が完成……と思いきや、既に死者が出ていたという現実。
確かに悪人だし、一生分の良い思いはいただろう。それに前回は先輩にも手を出している。
そいつらに共犯がいた事も知っていたが、案外少ないな。
もしかしたら
しかし――、
「
「すでに現地人の少女数人を
そんな事までやっていたのか。というか早速かよという感じだが、多分これからやる事への抵抗感を無くすために
だがその話は
まあ先輩というもっと大きな獲物があったから、そんな事をしている暇はなかったのだろうな。
というか、それは
召喚者同士の問題にスキルを使用する事や、その結果帰還する事になってもお咎めなし。
但し現地人に手を出す事はご法度だったな。
だが教官組は? これは見逃さないだろう。
……と思ったが、所詮厳重注意が関の山だったか。
それに――、
「どうせその件には現地人も関わっていたんだろ」
「察しが良いな。現地人は基本的に召喚者には逆らわない。逆らえないと言ってもいいか。命に関わること以外にはな。それを逆に利用して、共謀していた現地人がいる事くらいは知っていた」
「いざとなったら全ての罪は召喚者か」
なんか勇者サンが俺たち召喚者を嫌っていたのも、なんとなく理解できてしまうな。
しかしそれにしたって――、
「しかし
「民間人……ましてや未成年の少女など普通は入らない。それどころか、一生足を踏み入れないものが殆どだろう。そこへ絶対に守ってやるから少し中を見学しようと召喚者が現れたら」
「好奇心旺盛で多感な頃合いはホイホイ引っ掛かるか」
現地人がこの件にも関与していた事は、軍務、内務が動いていたから簡単に予想が付いた。
ただ、以前先輩にした悪行はやっていないし、やらせるつもりもない。
それでも欠片の同情心も湧かないのはなぜだろう。俺も結構ドライになったものだ。
むしろ
というか、それなら逆に生き延びたんだろうにな。
「それで、関係者はそれで全員か?」
「完全に白とは言えないが、
「
これはちょっとした確認――というよりカマかけだったのだが、
「新人程度のスキルはコピーできるわ。いくつかを使い分ければ、現地人の秘密なんてどうにでもなるわよ」
ちょっと想定外の答えが返って来て驚いた。
元々、俺は
クロノスだった頃からそうだ。
全員のスキルの把握は奴との戦いのためにも必要だったが、どうしても彼女からは聞きだせなかったんだよね。
一応は聞いたけど、『何度も言うけどただのコピーよ。戦闘には期待しないで』という感じの返事しかもらえなかった。
仲が悪かったわけじゃない。むしろ逆だ。だから気にしていたのだろうし、俺も追及できなかった。
質問したのは大抵ベッドの中だし。
しかし改めて聞くと、結構凶悪だぞ。
確かに
そんな所に新人なんていないし。
「そう言う訳で、不足した13人の召喚を行う事になった。ただあまりにも短期間だと教官組の手が足りない。それに次の大変動の後は面倒な
「自然のウォータースライダーだな。落ちたが最後、戻る術はない」
「新規の召喚はその次の迷宮までお預けか」
「一応スパイクがあれば何とかなっていたから、現地人の兵隊まで俺を追いかけて来たけどな」
「なる程。では見てから考えるとしよう。どうせもう大変動まで3か月を切っている。それまでは今の教育で良いだろう」
「そうだな」
……ん? あれ?
最古の4人、それに教官組を合わせて地上の10人だ。
それに探究者の村にはダークネスさんを始めとした9人がいる。
そして俺たちと一緒に召喚されたのが14人だったが、3人は帰還し2人は死んだ。これで残るは9人。
ここまでの合計は28人。
そして
となると、残りは12人か。
そして4人は分かる。
あぶねえ。残り8人の中に会いたい4人がいるんだ。
アイツらの性格なら悪事に加担しそうにないが、結局人を作るのは環境だ。
殺し合いや奪い合いが黙認され、自らも狙われる立場になった時、人はどこまで高潔でいられるのか。
「それで、残った12人は何処にいるんだ?」
とすっとぼけながら聞いたが、
「
藪蛇だった。
「
どうやって戻ってくる気だったのかは知らんが。
「それと、他の連中も今は何処にいるんだ? 拘束とかはしていないと思うが」
「そんな事はしていない。他の連中は大変動が近いからな。各地のセーフゾーンで待機中か、急いで戻って来ている最中だろう」
ふう、何とか誤魔化せた。
しかし地上にいたのが全部アウトとはね。まあ理由も分かるけど。
ただ俺の記憶では他にも地上に戻っていた召喚者はいたはずだ。
ただタイミング的に、大変動の前か後かは分からないんだよな。
なんだかもどかしい。
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