第523話 やる事が早すぎる
さて新しい塔はこれで完成。
早速神殿へと飛び、ヨルエナに説明して交換する事になった。
本人はかなり渋っていたが、何とか説得して交渉成立だ。
今までの塔は神格化されて神殿の頂上部に安置される事になった。
というかそれが条件だったが、古い塔をどうしようが正直どうでもいい。
とにかくこれで、この時点から召喚者は死ななくなったわけだ。
ただ同時に、俺のスキルの負担は増える。
それに
対処を考えておきたいが、”スキルの悪影響を解消するから
決して他の女性を軽視している訳ではない。
だけど、こういった形で
いや、こだわりと言った方が良いかもしれない。
一度結婚まではと決めた以上、ここで妥協という形でしてしまったら、俺の決意全てが揺らぐような気がするんだ。
しかしまあ、それは後で考えよう。
幸い、移動程度にスキルを使う分にはそれほど負担は無い。特に外はね。
どうしても
そう考えると、やはりスキルの使用には精神の働きが大きいのだなと実感するよ。
こうして、飛んだ場所は召喚庁。
正確には廊下な。さすがにいきなり目の前に現れるほどデリカシーの無い人間ではないぞ。
今回の用事は、新しい塔が完成した報告だ。これでもう活動して大丈夫だという事を伝えないとな。
だが午後の講義から塔を作り、ヨルエナと交渉して塔の再設置。
かなり時間がかかったので、とっくに夜が明けている。
だからこそこの時間に来たのだが、中から
なんか揉めそうな予感がある。ここは帰るか。
「どうした? 用があるから来たのではないのか?」
執務室の中から声がする。さすがにこれはもう帰れないか。
「失礼するよ」
普通の人間の様に、扉を開けて中に入る。
今更ノックは不要だろう。
「今日来た用事はな、例の新しい塔が完成した事を伝えに来たんだ」
無いとは思わないが、この椅子には温もりが無い。
立っていたのでなければ
まあいいや。他人の仲に口を出す気はない。
というか
正確に言えばダークネスさんのなのだが、俺にも効くからな。
「例の召喚者が死ななくなるって奴? まあ真実なら便利だけど」
俺の考えなどお見通しだろうに、そんな事はどうでもいいらしい。
或いは突っ込む気力も無いか。
とにかく順当に塔の話になった。
「事実だよ。そんな訳で、以前話した件を始めても大丈夫だ」
「もう終わっている」
「は?」
「お前から話を聞いて、すぐに
「そう誘導したのは私よ。でも良い機会だったわ」
「いや待て、新しい塔を設置したのはさっきだぞ」
「話を聞いてから5日経っている。十分だ」
これは予定外だ。
目覚めの朝、
そしてそのまま教官組を呼び出して自己紹介をした。
午後には目覚めからスキルの判定。3人の帰還。歓迎パーティーがあり、翌日からもう
これは当たり前と言えば当たり前。何せ誰も知らない世界。全員が不安な状態だ。
だから夜に歓迎会をやって、先輩召喚者の紹介や、現地人など社会に敵意が無い事を示す。
こうして一晩落ち着いてもらって、翌日には世界の説明が開始される。
ここで数日おいてしまうと、不安で暴発する可能性があるからな。
そして当初の午後は実際に
翌日には講義の跡、実際に
もっとも敵が出るようなところまではいかない。
今は初めて入った時の、砂岩の迷宮だ。
苔のように滑る
俺はある程度の周期で召喚していたから、たまに新人には入れない
今は反省点の一つだが、その点は改善されているという訳だ。
こうして都市と
その翌日の午後にフランソワの講義が講義という名のトラブルがあって、確かに今は話してから6日目の朝か。5日経っているな。
いやそうじゃない。
「一応聞くが、終わったとはどういった意味だ?」
「
「全部こちらで決めた事よ。貴方の責任ではないわ」
「知らなかった事自体が立派な罪だ。だがここまで腐っているとは思ってもいなかったのも事実だ。いやそうでは無いな。高潔に奪い合い殺し合うなどありえない。好きに何でもやらせれば、当然こうなる事は分かるべきだったのだ。そんな事すら分からないほど、私は目を閉じていた事を思い知らされたよ」
「いや、それよりも」
「
もうそこまでやったのか。
さすがに仕事が早いわ。
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