第505話 当たり前だが彼らの協力が不可欠だ
そんな訳で、残り数時間。召喚庁の一室に、待機していた教官組が集められることになった。
当然ながら
既にフランソワは俺の事を知っているが、他のメンバーはいかにも
まあそりゃそうだ。
集まったのはお出かけ中の二人を除いた
全身紫色のミイラ男と呼べばいいか。
身長は170センチほどだが、あからさまに不自然だ。
あの包帯の下がどうなっているのかよく分からないが、手と足を何かで伸ばしている。
それはいのだが――、
「
とても本人とは思えない野太い声。だがどこか機械的な不自然さがあるな。声くらい変えていてもおかしくはないが、そもそものイメージが随分と変わったものだ。
あの頃は150センチを少し切る身長に、青く染めたロングヘア―。それに白とピンクの百合をあしらったロングのワンピース姿だった。
声は変声前の可愛らしい声で、塔のシステムメッセージは彼の声だった。
そう、何処から見ても女の子だが、実際には男だ。
しかし今の姿は男とか女とか言う以前に人間かどうかも怪しいな。一体何が有ったのやら。
「一ツ
そう言って、一歩前に出てサングラスをクイッと上げたのはリーダーの
相変わらず白と青の縦縞スーツに緑のサングラス。
俺がクロノスだった時と違って、こっちの
というか、わざわざフルネームで言ったのは嫌味だろうし。
だが反目しているかといえばそうでもない。単純に忠誠心というのが希薄なのだろう。
だけど命令はきちんと遂行する。組織の中で、自分の立ち位置を完全に確立している態度だ。
それに教官組に中では、
なにせフランソワが
大体予想は付いていたが、最古の4人と教官組の間にあるのは明確な上下関係だ。
一方で、教官組は
「確かに大事な所で呼び出して悪かった。だが君たちを呼んだのは紹介したい人間がいるからでね。これは重要な事だ」
「例の新人ですよね。昨日はそれで酷い目にあいましたよ」
そう言ってフランソワを睨んだのは
こちらも相変わらず鋼のような肉体を誇示するように、露出は異常に高い。
笑っている様な大きな口が描かれた青いマスクにビスの付いたナックル。
下はファウルカップの付いたビキニパンツにさらに下はロングブーツ。
一言で言えば覆面レスラーだ。
昨日召喚の間でスキルを使用していた気配があった。
待機していた
そういや、地下でフランソワと戦った時もコイツと一緒にいたな。組むことが多いのだろうか?
というかこの二人を相手にして
色々と疑問は残る。
昨日フランソワに聞いておけば良かったが、この世界の事を色々と聞いていたので時間が無かった。
多分大丈夫だとは思うけどね。
最古の4人に何かあったら、さすがの
「紹介しよう。
いきなり名前を呼ばれて、緊張で石のように固まっていた
礼儀正しいのに自己紹介もお辞儀もしない。もう金剛石の様だ。
まあ何と言うか、教官組って独特の迫力というかオーラを纏っているよな。
認識阻害をしている最古の4人の方が、
ただ話せる相手かと言うと……色々と厳しい。
「確かに……予定よりも早く目覚めた者は、自分が知る限りではいませんが」
「それは今までいなかったというだけの話だろう。新人には違いグギッ!」
あ、口を挟んだ
というか、アレ骨盤まで達しているぞ。容赦ないな。
「今はクロノス様が紹介している。余計な発言は禁止」
「クソがあ」
「その目は何? 死にたいのなら構わないけど」
うわあ……床中血まみれにして這いつくばっていた
以前対峙した時は対等な関係に見えたけど、クロノスが絡むと容赦ないって本当だったんだな。
でももう真実を知っているだろうに、
しっかりした娘だ。
「良い。忙しい中、いきなり呼び出したのは俺だ。それに2人を派遣したのもな。ただそれでも今後の為に絶対に必要な事だったのだよ」
「状況は分かりましたが、単なる顔見せではないでしょう。我々に求めている事は何ですか?」
「話が早くて助かる。今後は彼――
全員の空気が変わるが、フランソワだけ顔を赤らめてちいさくパチパチと拍手している。
なんか可愛くて照れる。
同時に硬直したままの
まだまだ前途多難だ。
それよりここは先手を取らないと。
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