第497話 俺ならそこまでの無茶はしない
「それ以降の戦いは、今まで以上に
「それはおかしいだろう。奴の性質を知っていたならともかく、そんな事は俺でも知らなかった。勝つために努力したものをよく責める気になるものだな」
「私も同意見だ。そしてクロノスもな。しかし仲間を失った者たちは怒りのはけ口を求める。戦っている時は奴に向ければいいが、そうでない時は手近にスケープゴートが欲しかったんだよ。ましてや、実質本体は倒せないからな。その原因を作った奴への憎しみは日増しに高まった。もしかしたら、敵よりも強く憎まれていたかもしれない」
くだらない事だと一蹴するのは簡単だ。
だがおそらく、どれ程の人格者を集めても結局は同じ事が起きるだろう。それが人間というものだ。
その程度この事は学んできたつもりだよ。
「そして、召喚者とクロノスとの間には幾度も亀裂が発生していた。その頃には私たちはまだ最古の4人と呼ばれるような存在ではなかった。私より以前の生き残りもいたしな。ただその反目が、重要な事を見えなくしてしまっていた」
「需要な事?」
「
この先は聞かなくとも分かる。その意味が分からないほど、浅い付き合いはしてこなかったつもりだ。
だが聞かなければならない。
クソ……冗談だと言って欲しいが、
「あの事件の前には、現存する教官組では最古参の
あ、ちゃんとフランソワって呼ぶんだ。
しかしなぜフランソワが先なんだ?
こいつの性格だとそういった変なところで優遇していると思えないし、
あ、でも彼女は熱心なクロノス信者だと
ならやっぱりそういた関係があっても……。
「因みに今言った並びは召喚順だ。私は彼女を抱いた事は無いし、特別扱いもしない」
あ、そうでしたか。
もう今更だけど、俺ってよっぽど顔に出るんだろうな。
そういや賭けといえば、何となく
それに当時は凄い風格を漂わせていたし。
「そして大月歴の198年。私たちは総出で奴の勢力を叩きに出撃した。奴の発見はいつも大変な作業だが、この時は場所も悪かった。氷のように滑る無数のカミソリが積み重なった
考えただけでも嫌だ。俺なら次の大変動まで全員を地上勤務にするね。
「それでも、発見した以上放置はできない。さすがに前年に召喚された
やっぱり当時から教官組自体あったのか。
考えれば当然だけどな。新人を教育できる人間――というか組織は必須だ。
「そんな
「何故だ?」
「この時は
……知らない名だ。
だが彼らも、もうこの時には居なかったのだろう。
そして
案外、特別な作戦とか言って交代した可能性もあるが、今いないのだからそれを考えても仕方が無いか。
「実際、広い視野で考えれば戦いは上手く行っていたよ。犠牲は出た。だがそれは結局、いつもの事なのだ。それに対し、奴の手下もまた次々と減っていった。ようやく届くと、その時は思った。だが、それでも届かなかった」
「逃げられたのか?」
「それも有る。もう多くの者の制御アイテムが壊れ、生き残りも半狂乱のような状態だった。そしてまた、クロノスの制御アイテムも失われていた」
制御アイムは壊そうと思えば壊せるが、スキルの使用負荷で壊すには実際には大変だ。
よほどスキルが強力になるか、精神への負荷を自覚しながらも永遠と使い続けなければいけないような状態の時だ。
俺は最初に
この辺りは、もう注意しないと制御アイテムを壊してしまうほどに成長していた。
後者のパターンで制御アイテムが壊れるまで使い続けたのは、
何せ止まることなくどこまでも走り続けるようなものだ。
普通はそんな負荷に耐え切れず、スキルをオフにする。
だが話に聞く
何とも間が悪い事だ。
それで倒せていれば、まだ肯定されるべき事だったのだろうがな。
いやちょっと待て――、
「そこに奴がいる事を発見し、報告したのは誰だ?」
「言うまでも無かろう。
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