第439話 ここは奴の能力を逆に利用させてもらおう
「それで、今後はどうするんだ」
「もう全員に召集はかけてある。遅くとも半年以内に全員集まるだろう」
「おいおい、まさかそれでいきなり始めようってのか?」
それに、実は元々のプランとしてはそんなに変わっているわけじゃないんだ。
「元々は、その広いセーフゾーンの主に眷族を倒しまくって欲しかったんだよ。正直に言えば、本体を倒してくれても良かったんだ」
「他力本願な所がお前らしい」
「召喚者に犠牲も無くて万々歳だろ」
「それは否定しないがな。俺だってあいつらには一人も死んでほしくはないさ」
途中で地球での歳月を挟んでも、俺と同じように忘れる事なんて出来ないだろう。
あの時はどう考えても正常では無かったが、ちゃんと自分がした事は覚えていたしな。
「だがその作戦は消えた。交渉できないんじゃ仕方がない。そんな訳で、第一陣は双子の皆さんよろしくお願いします作戦だ」
「双子の皆さんって……日本語が無茶苦茶だな」
「だが間違ってはいないだろ」
「確かに幾らでも分裂するしな。俺がやられた時もワラワラと増えやがったんだ。最初から知っていればきちんと戦えていたものを」
まあもう戦う事は無いだろうから考える必要もなさそうだが、
「そんな訳で……一応ミリーとリリーで良いのか? 君たちで本体を倒して欲しい」
「
「ミリーとリリーを見たら絶対に警戒するから奇襲は無理ですし。それだと倒しても、過去に戻るだけだと思いますよ、ご主人様」
「さっきも聞いたが、最終的にどうやって滅ぼすつもりなんだ?」
それは当然気になるだろう。
「一応色々と考えたが、結論としては出来なくても良いかなって思っている」
「なんだそれは。ふざけているのか!?」
激高して立ち上がるが、まあ落ち着けと手だけで制止する。
「俺たちが、奴を倒したのはいつだ?」
「――39年前だな」
「そう。それ以前にも奴に対する注意はしていた。だけど時間を戻すことは知らなかったし、何より時計をこのタイミングで入手することも知らなかった」
「確かにそうだが……そういう事か」
「ああ。先ずは双子がいる限り、君たちに倒しまくって欲しい」
「いるも何も、協力する事はわかっているんだ。
「それなんだけどな……」
俺は
過去の痕跡を探知するスキル持ちで、俺の作戦は彼女がいなければ成り立たなかった。
なにせ彼女のスキルで、ラーセットに現れる少し前から今日までの全ての移動経路を知ることが出来たのだからな。
そして召喚者である俺は、一度聞いたその内容を決して忘れない訳だ。
まあそんな彼女に、セーフゾーンの主の痕跡を辿れるか聞いてみた。
結論から言えば無理。
奴を追跡できたのは奴が異物だからであって、星に守られた存在であるセーフゾーンの主を探知することは不可能だそうだ。
「とまあそんな訳で、そこらをふらふら徘徊している双子を見つけ出すのは不可能だ。一応聞いてみるが、お前たちは今までどんな道を通ってどのセーフゾーンへ行ったか覚えているか?」
「全然全く」
「それに大変動に巻き込まれたら、全く違う場所で復活いたしますし。覚えることは不可能でございますよ、ご主人様」
だろうと思った。
3歩歩けば全部忘れるとは言わないが、この変わりまくる
「そんな訳で、双子が戦ってくれるのは1戦か2戦。まあ良くて3戦だな。一応試してみたい手段もあるが、失敗したら次は無い。今回は最初から警戒されて奇襲が通じない以上、素直に過去に戻るだけで良しとするさ」
「それで時計はこちらが回収するわけだな」
「そういう事だ。ただ在り処を知っているのは奴だ。相当戻して探索しなければ、先を越す事は出来ないだろうな。それにまだ未知の力を秘めているかもしれない。だから今回は召喚者総出で周辺を囲む。一応余計な戦闘に巻き込まれない配置にするが……」
「不安はあるが、その点は仕方なしか」
「俺はどんな犠牲を払ってでもやると決めた。だけどそれは前の世界の様に、使い捨てる事じゃない。可能な限り、生かせる策を考えるさ。それと、時計に関わらず倒せる所まで倒すぞ。どちらにせよ、中途半端なところで止めたらこちらの意図を知られる危険もある。なにより時計を見つけるのに何年かかるか分からんからな」
「最終的に何を考えているかは知らんが、協力できるところまでは協力するさ。お前も無茶なするなよ」
「ああ」
確かにこれ以上無理だと判断したらそこまでだ。
だけど、順調に奴を倒し続けたその先は……。
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