【 出戻り 】
第387話 さて召喚を再開だ
ロンダピアザに戻ってからは各長官と色々と会議。各国大使との挨拶という名のパーティに参加。そして召喚者たちとの交流。
それとへ別に、ケーシュやロフレと過ごす穏やかな時間。
そんな忙しいながらも充実した日々が過ぎ、ようやく戻って来た帰還希望者を日本へと帰還させた。
本当なら8人だったのだが、待っている間に故郷が懐かしくなったのだろう。14期から更に2人が帰還を申請して来た。
当然、快く承諾したよ。皆ここまでよくやってくれたからね。
こうして12期生で残っていた3人全員と、15期生7人が日本へと帰還した。
これで残る召喚者は33人となったので、当然ながら新たな召喚に関して聖堂庁――というかクナーユとの協議に入ったのだが――、
「限界まで召喚しましょう!」
単刀直入にいきなりそんな事を言われてしまった。
まあ言わんとしていることは分かる。単に、“召喚したいのに全然機会が無かった”とかではない。もっと現実的な問題だ。
現在の召喚は15人単位にしている。今やったら48人。上限まであと2人だ。
こんな中途半端な数にするよりは、ここは素直に17人召喚して50人にした方が良いと考えるのが妥当だろう。
それに――、
「
そんなに来られたら収拾がつかなくなって内部崩壊を起こしそうだけどな。
それに俺は知っている。召喚の上限は50人。それは変わらない。
これは時代を
だからこの数に変化が起きるわけがないんだ。
などと説明しても納得はしないだろう。ここはダメだったという事実を本人に自覚させるしかない。
生贄となった人よ、すまない。だけどちゃんと十分な補償は出ているし、志願制なのでここは涙を呑んでもらおう。
「では今回の召喚は20名とする。召喚された数が17人であれば、50の上限に変化はない。だが20人召喚された場合、状況を見ながら少しずつ増やす事にしよう」
「そうですね……確かにそうです。今後の上限がハッキリしない以上、生贄となる方を考えたら数人ずつ様子を見た方が良いですね」
「納得してくれて嬉しいよ。では儀式は2週間後。それまでに支度を整えておいてくれ」
「その点に関してはもう全て整っております」
「いや、聖堂庁の召喚はともかく――」
「ケーシュさんには事前に新たな召喚者様の宿舎を整えて頂きました。ロフレさんと
もうそこまで手回しをしていたのか。なかなかのやり手だな。
「分かった。だがどちらにしても今からでは慌ただしすぎる。特に俺にとってはいきなりの話だからな。明日の朝に行うとしよう」
「はい、それで大丈夫です」
もうワクワクを隠せないでいる。まるで遠足前の子供みたいだが、そんな歳じゃないだろう。
いや俺ももう人の歳を言える立場じゃないけどな。
29歳でここに召喚されて、17年か。長い様だけど、たった17年だ。
前の時代では、クロノスが召喚されてから100年以上経っていると聞いている。
今はまだ俺は俺だ。そして
だけど、
今後、本当に何十年もの年月を耐えられるのか?
自分は自分でいられるのか?
それに他の連中はどうなんだ?
正直不安だらけだ。
◎ □ ◎
どれ程悩みがあったとしても、手を止める事など出来はしない。
ましてやこれは組織だ。一人の感情で全体が止まる事などあってはならない。
そんな訳で、翌日にはもう召喚の準備は完全に整っていた。
今回召還する人数は20人。だけど俺は知っている。実際に召喚される人数は17人だ。
3人は単に、上限が50である事が変わていない事を説明するための無駄に過ぎない。
仕方ないが、実際に体験しないと人は納得できないからな。
聞いただけで妄想して納得して自己完結しちゃうのは、逆に
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