第373話 総合で考えれば良い事なんだろうが
この世界で死んだら本当に死ぬ。それを知るのは、現在では
いや、それは違うのかもしれない。というか今もう違うぞ。
彼らには絶対に極秘と伝えてあるが、案外信用できる仲間に話していてもおかしくはない。
そうやって、ここだけの話っていうものは大量の尾ヒレを付けて広まっていくものだ。
「ええと、いつからその事を?」
「はい、話したのは私ね」
まさかの
「ここで言うのもなんだが、最重要極秘事項だぞ。一体何があったんだ。というか
「うーん何て言うか、あたしら9期組はみんなそんな感じだろうって話してたんよ」
「だから出来る限り上も横も関係を断って、独自に行動しようってなっていたというわけ。確証はなかったから誰かに話すって事は無かったけど、けんちっちが気になる事を見つけてねー」
「詳しく教えてくれ」
「元々、召喚は塔で儀式を行うんですよね?」
「ああ、今はクナーユはやってくれているな」
「でも送還は、クロノス様がやるんですよね?」
「それはまあ、特別な貢献をして帰る者に対する特別な儀式だよ」
「しらじらしい」
こちらも見ずにぼそりと呟く
というか――、
「ばらした君が言わないで」
「あ、あの、喧嘩はやめてください」
「いや、毎度こんな感じだよ」
特にベタベタするわけでもなければ、互いに反目したり距離を取ったりするわけでもない。
何と言うか、対等だな。
実は結構この関係が気にいっている。だから
……って、そんなノロケ話はこの際どうでもい。
「それは良いから、話を続けてくれ」
「はい。それでこちらで死んだら死体は残って魂は戻るって聞いていたんですが、ちょうど塔を研究している時に同期の
「だけど、ハッキリした時間が分かっているわけじゃないから見落としかもって思って」
「それでフランソワっちが、誰かが死んだら分かるセンサーを作ったんよ」
さらりととんでもないものを作るな。
それにしても、さっきからもう普通にフランソワっちで通っている。順応性の高さはもちろんが、見た目以上に頭の回転が速いな。
まあここまで生き延びて来たんだから、ある意味当然か。
「あ、探知距離はそんなに長くないんです。だからたいしたものじゃなくて……でもその後で13期の
「それでまあ、
「それで話しちゃったと」
「
「ふっふーん。そうなんよ」
「まあこれはけんちっちとフランソワっちのお手柄だけどね」
どういうことだ?
だけど召喚者に対して有効なのは初期も初期、ある程度育ってしまうともう通用しない。
まあ
「今までは頭の中に何か情報が流れ込んで来るけど、ハッキリとした意味は分からなかったでしょ? だから
「まあ聞けるようになったのは同時期だからな」
嘘ですけどね。俺ががアナウンスを聞いたのは、前に召喚された時だ。
まあ普通に役に立たないアナウンスばかりだったが……いや、違う。正しくは
改めて心の中で制御アイテムに意識を向けてみるが、何か答えが返ってくるわけでもない。
確か時間内に決めろとか言われたが、あれ制限が過ぎたら無効か?
もしくは勝手に決められてしまうかかな。
ただ当時スキルアイテムを持っていなかった理由なんかの事情は
「ところがねー」
まあこっちの答えを待たずに話が進んでいるからいいだろう。
「けんちっちとフランソワっちが翻訳してくれたおかげで、スキルをどう強化するか選べるようになったんよ」
あの“方向性を選べ”的な奴ね。
選べる人は良いなーと、少し遠い目になってしまいそうだ。
「それであたしの“慧眼”スキルだけど、話の内容や感情が色で認識できるようになったんよ。楽しい時や悲しい時、何かを誤魔化している時や受け答えなんかを適当に受け流している時とかね」
こいつと夫婦になる人間は大変だな。今から同情しておくよ。
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