【 再出発だがゼロからではない 】
第354話 報告は聞いておかないとね
本来なら10日後には新たな召喚を控えていたが、今はちょっとそれどころではなくなってしまった。
今現在の召喚者の数は32人。
結局14期生の生き残りは5人だけだ。寂しいものだな。
だけど時間が戻された結果、7期生の4人の死が無かった事になった点は助かった。
それに
かなり怖い目にあったので帰ると言われると思ったが、逆に何も出来ていない事が彼らの心に火をつけたらしい。
まあ超リアルで怖いとはいえ、どこかゲーム感覚だからかな。何にせよいい事だ。
そして10日後、本来の召喚の日に
これで詳しい事が聞けるな。
早速
病室は当然個室。人払いも済ませ、いるのは4人だけだ。久々に完全に認識疎外を解除できるな。
そして開口一発、
「すみません、申し訳ありません……こんな、こんな事になってしまって……」
もう容態が安定した時に、看護師に何らかの話は聞いていたのだろう。
特に
むしろ他の召喚者に警戒を促すためにも、あの
おそらくだが、とっくに他国にも知られているだろう。
時間を戻す事に関しては言っていないけどな。
それはさておき――、
「頭を上げろ、
「クロノス様……本当にすみませんでした」
「もう過ぎた事だ。4人逃がせただけでも十分すぎる成果だよ。それより、詳しい状況を教えてくれ」
「詳しくといっても、おそらくもう知っている以上の情報は無いと思います」
「それでも一応な」
「はい……俺たちはそろそろ1ヵ月という時点で、荷物を纏めて引き返すことにしました。その時点で、犠牲者は居ません。多少怪我をしたやつはいましたが、薬で何とかなる程度でした」
さすがはベテランだな。その点は完璧だ。
「だけど奇妙な
「ああ、その通りだ。それでどうしたんだ?」
「奴等の本体を見つけることは、俺たちに与えられた任務の最優先事項です。だけどまだひよっこの14期生にやらせることは無理だと判断して避けたんです。その時は、何て言い訳をしようかとずっと考えていました」
「言い訳も何も、その考えが正解じゃないか。その状況で最も必要なのは、いたという事実とその場所を俺に伝える事だ。その時点でどんな能力を持っているかも分からない本体に近づくべきじゃない」
「ありがとうございます。だけど俺のスキルを使っても完全に迂回できる道が無かったので、少し遠回りになるけど比較的安全なルートを選びました」
マッピングスキルの
「だけど移動中、何人かが邪魔だからって倒してしまったんです。実際、新人でも倒せるくらいの連中でした。だけど、俺が探知できるくらい広範囲の奴等が一斉にこっちに集まって来たんです」
「敵の存在を認識したって事か……」
だけどアイツらは
いや無いな。そんな事をしていたら、すぐに群れは散り散りになってしまう。
ならなぜ?
思いつくのは一つしかない。倒した人間が召喚者だったからだ。ラーセットを襲い追い返された事は、奴自身にとっても嫌な経験なのだろう。
自身――そして群れ全体の危機を感じ、奴は召喚者の殲滅を選択した。
失敗してもどうにでもなるわけだしな。
「それで何とか先手を打って抜け道を探したのですが、連中もまるで地形を把握していたかのように俺達を包囲するように動いて――」
今度黒竜に聞かないと何とも言えないが、その情報はものすごく大きいかもしれないぞ。
でかした
「だから完全に囲まれる前に、分散して逃げられる場所に移動しました。もうみんな疲れていたので補給してもらって、丁度それが終わった所で連中の群れがやってきました」
”終わった所で”というより、その辺りは全部計算済みだったわけだろうけどな。
とにかく最後の休憩と補給を、時間の許す限りやったって事だ。
「そこから先は俺達ではどうにもなりませんでした。とにかく手薄な所へ逃がしつつ、俺は戦闘系のスキルを使える奴と一緒に囮になりました。でも……」
結果としては、生存者4名、死者7名、行方不明者3名か。
行方不明者は絶望としても、それでも犠牲は10人だ。
死者に対しては申し訳ないが、俺的には最良の状況までもっていってくれたことに感謝したいな。
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