第352話 まだ届かないのか
まあ少し早めについたから、前とは僅かに状況は変わっているけどな。
「
少し白々しいが、まずは挨拶からだな。
いきなり話しても意味は通じないだろうし。
「クロノス様ですか。こちらは問題ありません。ただ早く奴らの本体を倒さないと」
「……ここにはもういないよ」
「どういうことです?」
「逃げた。俺のスキルでも確認してある。もうこの近辺にはいない」
「ならもっと遠くまで――」
「制御アイテムが無いんだろう。その状態で、闇雲に際限のない探索など許可は出来ない。それよりこの先に眷族が大量に集まっている。奴等の繁殖を抑えるためにも、先ずはそいつらを全部叩く。ただ俺一人ではきつい相手でね。手伝ってくれるか?」
「……分かりました。一体でも多く殲滅しましょう」
「心強いよ」
本当は、ここで俺の意見など聞かずに暴走されたらどうしようかと危惧したんだけどな。杞憂に終わって助かった。
というか、まだここでは敬語だったか。
本体と戦うまでは、まだ余裕があったんだったな。
そして俺達は眷族が集まっている部屋に行き、それを殲滅した。
なぜこいつらはここに留まっていたのだろう?
考えるまでも無いな。俺たちがここに来る事を知っていたからだ。
下手に護衛を連れて行くことで、逆に逃走方向を特定される。それを危惧したって所だろう。
それにしても、時間を戻すとかチートも極まり過ぎだろう。
何度倒しても、それは無かった事になる。しかも短時間では回避できないとなると、今度は更に戻しやがった。
ふと腰のポーチに入っている高級薬に触れる。
これでは仮に今本体を見つけても、おそらくどうしようもない。更に過去まで戻されたら負担が増えるだけだ。
だけど光明も無いわけじゃない。
無限に戻せるのなら、勝つまで繰り返せばいい。
実際、ギリギリの戦いだったんだ。それは向こうも分かっているだろう。
だけどそうはしなった。ただひたすらに、自らの眷族を犠牲にしてまで逃げる事を選んだんだ。
何かある。それが何かはまだ分からないけどな。
それと、俺は時間が戻った事を知っている。
だけど他の人間――それに
この辺りは、俺のスキルが関与しているのだろうか?
しかしこの辺りの事は全てが終わって帰ってからだ。
それまでは、とにかく奴の勢力を削ぐために配下や眷族を倒して回るとしよう。
ほどなくして、予定通り
あの時は流石に聞けなかったが、彼女のチームに人間を飛ばすスキル持ちがいるという事だった。
探究者の村にいた
そしてあらかた殲滅し終わった後、俺たちは
半狂乱になっていたのですぐに気絶させたけどな。
というか、一瞬
そこはかなり狭いセーフゾーンで、精々4畳半くらいの広さしかなかった。その代わり、入り口が無茶苦茶狭かったので俺が壊したんだけどな。
案外、それに反応して襲ってきたんだったりして……。
いや本当に殺さなくて良かったよ。
一緒にあったものは、遺体の入った袋が3つ。ここまで一緒に逃れてきた14期生か。
いつからこの状態だったのかは知らないが、これは精神的にきつい。
やはり遺体を飛ばすシステムは必要だ。
そしてこちらもやっぱりという感じだが、
何とか逃げ道を探しまくってここまで辿り着いたが、その時にはもう限界だったと思われる。
その後はスキルをオフに出来ず、色々重なって精神を病んでしまったわけだ。
その後も探索と殲滅を繰り返したが、やはり本体の姿はどこにもなかった。
相当な時間を与えてしまったからな。一目散に逃げたのだろう。
それと生死不明の14期生3人の所在も分からなかった。
だがこれは絶望だろうな。まあ詳しい事は召喚をすれば分かるさ。なにせ50という制約があるのだから。
こうして俺達は、何とか
外見に出てしまうと周りが怯えてしまうのでひたすら耐えていたが、俺の怒りは活火山の様だった。爆発しなかったのは、無理やりスキルで抑え込んでいたからに過ぎない。
だけどまあ、全部は帰ってからだ。
考える事は山ほどあって、尽きる事が無い。分かる事は、今の状態では何をしても奴を倒せないという事だけだな。
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