第347話 俺たち二人なら倒せない相手じゃない
ここで倒せば全部が解決だ。
と言いたいが、当然ながらこいつが本当に本体かは実は分からない。
それに関しては今度黒竜に聞きに行かなければいけないな。眷族が本体と同じ姿――或いは本体その物になれるかどうかをね。
だけどそれらの問題をすべてクリアした時、課題の半分はクリアしたも同然だ。
残りの半分に関しては、後で考えよう。
などと考えている間に、
だけど大丈夫。次の瞬間にはもう
先程渡した薬の効果だが、俺と違ってそう簡単には割られなかったようだ。被弾確率が違うしなとちょっとだけ嫉妬してしまう。
あんな関取のような外見なのに、よくああも動けるものだ。
つかあれだけ動いているし、
「行ったぞ! ぼさっとするな!」
「しているつもりは無いよ」
本体は浮いているが、眷族は浮いてはいない。
これなら問題無いなと、襲ってきた半人半蜘蛛。まるで下半身が蜘蛛のケンタウロスといった所か。そいつの足元を10メートルほど崩す。セーフゾーンは大変動でも修復されないからあんまり壊したくなかったが、こいつらを倒せるのなら十分お釣りが来るさ。
ついでにもう2体巻き込んだ後、天井も落とす。これで死ぬほど楽では無いと思うが、しばらく埋まっていてくれ。
というか落ちると同時にすぐにジャンプして戻って来ようとしたから危なかった。
まあ崩れ落ちた天井に頭をぶつけて埋まってくれたところで、俺は本体へと突進する。
眷族にも効かないスキルが本体にも有効かは微妙――というか無駄だろうとかも思うが、召喚者を日本に帰す時も、触れずに帰すのは不可能だ。
やはり接触するとしないとでは、力の伝達が違うのだろう。
そして俺はまた壁にめり込んでいた。3回目か……。
見た目の質感はゼリーだが、触った感覚は鋼。そして触った瞬間、見えない衝撃に弾き飛ばされた。
手も足も無いだけに何か別の攻撃手段があるとは思っていたけど、なかなか厄介だ。
だけどこちらだってただで壁にめり込んだわけでは無いぞ。
触った部分がボロボロと崩れている。構造を外してやったんだ。
これで触れば効く事が分かって安心だな。
「おい、その腕は大丈夫なのか?」
よく見たら、奴に触れた右手が木っ端みじんに吹き飛んでいた。痛みは外していたし、こちらのスキルが効いた喜びで気が付かなかったよ。
ここまで酷いと薬は効かない。仕方がない、残骸は外し、新たな腕を出す。
「便利なスキルだな。召喚者のトップは伊達じゃないって事か」
「単純戦闘なら、お前の方がずっと上だけどな」
埋まったのはまだ生きているだろうが、当面の護衛は残り2体。どちらも人間型。もっとも最早凹凸も少ないゼリーに手足が付いたような姿だが。
いや、案外あんな姿の
だがどちらにせよ、もう考える必要はない。それらは既に後回しで問題無い。
ゆっくりと、埋まった体を引きはがす。
これでチェックメイトだな。
長かった因縁も、ここで終わりだ。この世界と地球、多くの人たちの仇を取らせてもらおう。
まあ地球に関しては、まだ身に覚えはないだろうけどな。
二人で同時に突っ込む。眷属は
確かに即死させることは出来なかったが、我慢比べなら何度も味わった。
幾ら吹き飛ばされようが、何度でもやってやるさ。
予想通り再び右腕は吹き飛んだが、今度はさっきよりも深くまで抉ってやった。
こいつの構造を微妙に把握した気がする。これならもう何度かすれば、かなりの部分を破壊できる。
コロリと命を外すのは無理でも、それなら何とかなりそうだ。
「クロノス!」
それは完全に油断だった。
いや、こんな状況で油断なんてするほど愚かではない。そう思っていた。
だけど全ての予想外の事に備えるなんて無理な話だ。
音もなく地面から生えてきた鞭状の器官が、一瞬で音もなく俺の尻から腹までを突き通していた。
埋めたやつにこんな器官は無かったが、まあ何でも見た目通りとは限らないって事か。
そして俺の目の前には
そう思った時、俺の体は四散した。
だけどそんなもの、今更俺に効くかよ!
どうしても倒したかったのだろうが、今までの戦いを見ていなかったのか? 間抜けめ。
すぐに飛び出して触れる。さあ、外す時間だ。精々派手に砕けて見せろ!
そして奴は砕けた。粉々に。
でも違う。これは……表面だけ?
砕けた先で、
あいつ、俺を攻撃した後、表面の薄皮だけを残してあっちに移動したのか!?
欲しかったのは瞬きする程度の時間稼ぎ。
俺と
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