第337話 味方であれば実に心強い
そして数日後、
あ、ちゃんと2人は日本に帰したよ。かなり手間取ったけどな。というか制御アイテムがまたもやぶっ壊れたほどだ。よほど俺を信用していなかったらしい。
おかげで
こうして召喚されたメンバーは大学生が中心のグループだった。
むしろ最後の仕事としてはやりやすいだろう。
その代り、順応性と団結力は比較にもならないけどな。
ただそんな中で、ただ一人だけ小柄な女の子が混ざっていた。
制服は多分だが中学のものだろう。
まあ珍しい事ではない。何らかの理由でサラリーマンとかが混ざっていた事もあるしな。
ただその一人が問題だ。
「俺はこの子を知っているな」
「さすがですね」
「いや待て、そういう意味じゃない」
ここは召喚の間。召喚されてきた人たちが、まだ無防備に寝ている状態だ。
今は召喚したシェマンの他、教官組が全員揃っている。
小柄な女の子を知っているというだけで、冷たい目をするのはやめてくれ。
大体、とてもじゃないがそういった関係じゃない。むしろ恐怖の対象ですらある。
だけど今までに聞いた話からすれば、彼女はこの世界に改革をもたらすはずだ。順調に行けばの話だが。
俺が知る彼女の名前はフランソワ。当然本名ではあるまい。
一方で、火薬や電池、そして電気自動車などを発明した人間でもある。
そういった意味で、俺は召喚に手を染めて以来、ずっと彼女が来るのを待っていたと言っても過言ではない。
なにせ彼女の業績がそれだけとは思わないし、そうであったとしてもやはり他とは違ったとびぬけた才能だ。
もしかしたら、スキルのアナウンスや死んだ時に穏やかに消えるシステムなどの開発にも携わっているかもしれないしな。
ただ時代の流れは変わる。先代の時は教官組だった
というか、この世界では生と死は紙一重。特に成長していない初期の状況では、まるで淘汰されるようにばたばたと死んでいったり、恐怖に耐えきれず帰還を選んでしまう。それだけは避けたい。
「この際だから彼女に関しては話しておこう」
本当は先入観を持たせる事が、果たして良い事なのか悪い事なのか判断が付かない。そんな訳でなので話したくは無いという感情もある。
ただ彼女はやはり特別な人材だ。どう転ぶかは分からないが、出来れば生き延びさせ、成長させて味方に引き入れたい。
「彼女は俺が最初に召喚された時、教官組にいた。実は
「彼女が!?」
驚いたのは
案外シェマンは姿くらいなら見た事があるかもしれないが、あの時召喚したのはミーネルだしね。
「ああ。俺はあの時に、同じ歴史を繰り返していない事を実感した。同時に、召喚されてくる人物には法則性がある事もね」
「案外、俺たちも召喚されていたって事ですか」
「まあ会っていないから、その辺りは分からないけどな。実は裏切った
「あの
「ここで寝ている彼女は、そんな教官組の中でもちょっと毛色が違っていてね。色々と便利なものを発明したりしていたそうだ。そういったわけで、これからの発展には必要不可欠な人材となり得る可能性を秘めているとみられるんだ。もちろん一人の才能だけとは限らないし、誰か一緒の研究するようなキーパーソンの存在も否定は出来ない。だけど俺としては、彼女の才能を知りたいわけだよ」
「ふーん……それで、どんな関係だったの?」
「一度だけ戦った仲だよ。ちなみにぼろ負け。勝負にもならずに逃げ出したよ」
「クロノス様がですか!?」
「当時の俺は今よりも大分弱かったしな。ただそれを差し引いても、
「……なるほどねえ。それじゃあ大切に扱わないといけないですな」
「どうします? うちのチームで面倒を見るです?」
「そうだな。
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