第216話 貴方は誰なの
かなり急ぎだったが――というよりもいつになく
ここまでの案内は、かつて
「おねえちゃん!」
到着を聞いた
初見のセポナは、実際に聞いた通り、二人がそっくりな事に驚いた。
まあ似た姉妹はいるが、同時に何か違う。同じなのに、100パーセント完璧に見分ける自信がある。それ程に強い違和感があった。
「
「フランソワ教官、お久しぶりです」
「隊列は止められないから、話すなら歩きながらにするように」
出会って早々に叱られたが、逆に変わっていなくて安心した。
小柄だが、強く厳しい。だけど面倒見のいい教官だと知っている。
というより、教官は多かれ少なかれ、みな面倒見が良い……ただし、戦闘以外ではだが。
「了解です」
こうして、ぞろぞろと隊列に加わって話しながら進むことになった。
周囲にいるのは他には全身紫色のミイラのような
教官も召喚者もそれぞれの任務があって動いているのだろうが、思ったよりも警備が緩い。
だけどそれも、
ひたちは警備の状況から、
事が終わって
これに
まだ神罰のスキルを見たことは無いが、ここまで作戦の要になっているのだ。迂闊な事をすれば、それだけで全滅させられる可能性がある。
それに、最大の懸念は他に気配がない事だ。認識阻害があるにせよ、クロノスの気配を感じない。
完全に消している? だがそんな事をする意味は?
ひたちとしては、嫌な予感しかしなかった。
他愛のない姉妹の話。そんな会話をしながら、
自分がロンダピアザを離れた事や、その理由を
今は
「ねえ
「あの男の事? どうでも良いじゃない。ハスマタンは私のスキルで一掃するの。そうクロノス様がお命じになって、
いつもと変わらない
だけど違う。
「ねえ、どうして指輪を小指にはめているの?」
「気分よ。どうして? 意味なんて無いでしょ?」
――ここでスキルを使う事は、敵対行為になるかもしれない。
それが危険な賭けだとは、自分でも分かっている。
でも確かめずにはいられない。
――
……周辺に、
恐怖で体が震える。唇は紫色になっているだろう。
だけど、こう言うしかなかった。他に言葉は選べなかった。
「ねえ……貴方は誰なの?」
「私は私だよ、変なの。それじゃあ子供の頃の話をしよっか。お姉ちゃんが、初めて友達を家に連れてきた日の事? それとも10歳の誕生日に、河原で犬に追いかけられた時の話なんかはどお?
いつもと変わらない
「じゃあ、
「んー、あれは気の迷いっていうか、自然の成り行きというか。だって私達だけの世界で生きていたじゃない。だから他の事なんて知らなかったの。でも今は違う。本当の愛を見つけたの。これって、凄く素敵な事なのよ」
「そ、そうね……」
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