第205話 炸裂
頭の頂点から胸までを大斧で裂かれ、ダークネスの動きが止まる。
「それは
そういった
何時放ったのか、誰の目にも映らなかった。
「そしてこのナイフは
出血はある。刺さったままなので薬の効果も半減だ。そもそもこの程度で強力な薬を使う訳にはいかない。
痛みをこらえながらも、
「召喚者を殺して奪う。アンタらがずっと容認してきた事だ! 今更何を」
「ならば、奪った者はすぐに帰還した事も知っているだろう? さて、まだ色々な武器を奪ってきたはずだ。それで自らの心臓を突き刺して元の世界へ帰りたまえ」
「世迷いごとを。そうやって騙すだけ騙し、奪うだけ奪い、そのくせ何もしなかった。
「
「ああ、確かに言っていたな。なら、全ての元凶のクロノスって奴を俺が必ず殺してやるよ。その前に、貴様をこいつで串刺しだがな」
そう言ってポケットから取り出したのは、2メートルはあるかという長槍だ。
さすがに長すぎて、今回は一瞬だが出す場所が見えた。あそこに入れている訳か。なら――、
作戦は幾つか思いついた。だが、先に動いたのはダークネスであった。
片腕だけで、
だが攻撃手段はない。その姿に、
何かを警戒した訳でも、無駄だと知りながら戦う姿に感銘した訳でもない。ただの侮蔑。死にぞこないの最後の抵抗に、心底呆れたのだ。
「
だがその男が叫ぶ。同時に、世界は紅蓮の炎に包まれた。
爆発は世界を照らし、爆風は土煙を上げ、周囲の木々や岩までも薙ぎ払いながら広がった。
当然、爆心地近くにいた
さすがに1回分では無理だ。手持ちの薬全てを使い、かろうじて生きている。
だが熱風に包まれた爆炎の中では焼け石に水でしかない。その耳元で、ダークネスの声がした。
「我の仲間が貴様にスキルを使う。同意するか?」
「同意しよう。他に何も出来ぬよ」
同時に、
かつてダークネスとひたちの位置を入れ替えたスキル。僅かでも抵抗されたらまるで意味のないスキルだが、こういう時は便利だ。
こうして
一方、その爆発の中心部に、
だが、
あんな木偶の坊に出し抜かれた。おそらく、あの体の中にはフランソワ教官が研究を重ねた火薬が満載されていたのだろう。正確には火薬ではなく、あれもまたアイテムではあるが。
だが腹に穴を開けた時も、頭を裂いた時も、中身は空っぽだった。
抱きついた瞬間、
二人だけだと思って油断した。実際には作戦を立て、何人もの召喚者が監視をしながら虎視眈々と機会を狙っていたのだ。
だが――全ては無駄だったな。
「フフフ……ハハハハハハ! 俺は強い! 今の俺なら
「さてそれはどうかな……」
それは微かな声だったが、強化された
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます