第200話 どっちにしろ拒否権は無いのだろう
とはいえ、このままではバッタリと出会って最悪の結果になるだけだ。
「そこで本題に入ろう。私はここに提案があって来たのだよ」
「
いきなり最悪だなオイ。確かに説得なんて聞くわけがない。出会ったら戦う以外に選択肢はないだろう。だけど教官組の一人を倒したんだろ? それにその人、単純な戦闘力では
その
うん、不安しかないな。つか絶望的じゃん。
「却下確定だ。もう一つの方を教えてくれ」
「このチームを3つに分ける。まず
「僕はさすがにお尋ね者だからね。堂々と合流するわけにはいかないだろう」
いやもうなんか嫌な予感しかしないんだが。
「君にはイェルクリオの首都であるハスマタンに行ってもらう」
こいつは何処まで無茶な要求をするのだろう……。
「あの
それはそれで、なんか腹立つ。
だが確かに背に腹は代えられない。どうせこれが終わったら、時計は回収される。抵抗は無駄だし、奪われるなら壊すなんて馬鹿な選択肢は俺には無い。
先輩たちの安全を考えるなら、これが一番に思えるが、
「それでなんで俺がハスマタンに行かなきゃならないんだ?」
「すでにハスマタンは
「ハスマタンはイェルクリオの首都だと聞いているが、それ以外にも衛星都市があるんだろう? なら国は滅びないんじゃないのか?」
「全ての戦力はハスマタンに集められている。各都市に残るのは最低限の守備隊と、暴徒化した民衆を鎮圧するための警察隊程度だ」
首都が陥落したらおしまいか。
確かにその通りだ。この世界の都市は、何処も高い壁に囲われている。首都ともなれば、特に厳重だろう。
そこに全戦力を投入して勝てないのなら、もうどんな抵抗も無駄だ。
「それに聞いていないのかね? 彼らは寄生して増殖するのだよ。手段は不明だがね。故に、何らかの形で安全が宣言されない限り、他の都市の人間はどうしようもない。いつ
「酷い話だが、確かにそうなんだろう。で? 俺が行く理由は?」
「ギブアンドテイクの取引だと言っておこう。君の大切な人たちは、我々が命を賭して保護しよう。その代わり、君にも働いてもらうという事だよ。もし
「その時には、俺もその
「これは私の勘なのだがね、君は
ちょっとドキッとした。誰かが伝えたわけでは無いだろうし、今までの俺の言動や今の状況から予測したのだろう。だとしたら、俺の今後の予定とかも全部読まれている可能性がある。
というか、マジで普通に全部予測されていたんじゃないのか?
ここで
ちょっと背筋が寒くなったな。
だけど、その提案は魅力的ではある。
正直に言えば、いざ
しかも護衛次第では、戦いは避けられない。と言うか戦わないなんて無理だろ。
これ以上評判を落とさないためにもいい加減不殺といきたいが、ただ逃げるだけならともかく目的を果たすなら不可能だ。
しかも誰を連れて行く? つまりは、誰を危険に晒す?
セポナと先輩は置いて行くとしても、ひたちさんや
「考えは纏まったかね?」
「ああ、提案に乗ろう」
それしかない。と言うよりも、話を持ち掛けられた時点で他に選択肢が無かっただけだ。
確かに、ここで
それに、他の人たちが彼等の元へ行くという事は先輩が
今は少しでも情報が欲しい。そう言った意味でも、悪くはないさ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます