第199話 あいつは一体何を考えているんだ
相談ごとにも乗っていたそうなので、多分頭も良かったのだろう。
今のシステムについて、是非色々と聞いてみたかったが――、
「それで、まさか俺達にその報告をしに来たわけじゃないんだろう?」
重要なのはそっちだ。
まさか意味もなく教官組がこんな所に来たりはしない。
大体、あまりにも自然に現れたから体が反応しなかったが、本来なら出会って即戦闘となる様な関係だぞ。
「報告に来たのは事実だ。それなりに、君らとも関わりのある男だったのでな」
そう言ってサングラスをくいっと上げる。
だからやめろそれ。攻撃の合図かと思ってやるたびに体が反応してしまう。
「だがそれよりも、問題があってな。
ペタン――と先輩が崩れ落ちた気配を感じた。
何かを言おうとしている様だが、声が出ない様だ。
「君の目を見れば言いたい事はわかるがな。それどころでは無いのだよ」
「悪いが、今回はそちらに関わるつもりはない。何かさせようって話なら、事前に断らせてもらうぞ」
まあ関わるつもりは無いってのは半分嘘だけどな。全部が終わったら、どさくさ紛れに
「
先輩がガチガチと震えているのが分かる。
もうこれ以上は――、
「そして
先輩が、完全に硬直したのが背中越しに分かる。
これ以上はダメだ。
まだ何か言おうとする
「分かった分かった。話はあっちで聞く。それで良いだろう?」
「実際に用件があるのは君だけだ。だが他の者も完全に無縁とも言えないがね」
「とにかく俺が話を聞く」
そういって、俺は木谷と共に茂みへと入った。
まあ二人っきりじゃなく、
ひたちさんとセポナは、何も言わなくても先輩についていてくれた。ありがたい事だ。
「それで、話ってのは何だ?」
「単刀直入に言おう。彼は何らかの形で君たちの位置を把握しているようだ。まあ多少の迷走はあるので、確実に正確かといえば違うようだがな」
「いやちょっと待て、要約すると……」
「ここに向かっている。目標が君なのか、それとも
「それを早く言え!」
どちらが目標なのか? それは俺にも判断が出来ない。俺への復讐なのか、それとも先輩を取り戻しに来たのか。そもそもどうやって俺達の位置を判別しているのかさえ分かれば、少しは予測も立てられるのだが。
「困っているようだね。困っているのだろう? んん?」
嬉しそうだな
「だが真面目な話、困っているのはこちらも同じだ。
「新たに召喚をするって事か」
「そうだ。これはもう確定事項なのだよ。君の研究ごっこも、これまでという事になる」
ごっこ遊びのつもりなんかじゃない! と言いたいところだが、実際に何の成果も出せなかった事は事実だ。それにしても、全部筒抜けって感じだな。
正直あれだけの事を言った手前、本当にどんな顔をして会えば良いのやら……。
「だがそれよりも先に片付けねばならない問題がある。
まあ、確かに今はそうだ。
正直に言えば、あいつが今やっている事がまるで解らない。
何らかの手段でこちらに向かっている事は分かる。だけど、なぜそんなにも沢山の召喚者を殺した?
そうしたら再召喚が必要になって、俺が時計を取り返されるからか? 嫌がらせ?
いやいや、そういった面倒な手段を取る奴じゃない。
大体、時期が悪い。今優先しているのはイェルクリオって国の問題で、召喚の話はその後だろう。
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