第201話 必ず生きて再会しよう
こうして俺は
「我も行こう」
ブラッディ・オブ・ザ・ダークネスさんがそう言ったのは、俺としてはかなり驚きだった。
実際、何でついて来たのかも読めない人なのだ。
「それは助かりますが、良いんですか?」
「構わぬ。むしろ、我の目的はそこにある。
「……参考までに、
「忘れたな。それが誰だったのか、いつだったのか、何も知らぬ。だが倒さねばならない。我は、この機会をずっと待っていたのだ」
俺達召喚者は、時間の感覚がおかしい。そのせいか、普段は曖昧な記憶でも、思い出そうとすればついさっきの出来事のように鮮明に思い出す。
まあ他の事を考えていたりして頭に入っていなければダメだけどな。
だけどダークネスさんの場合、そんなに軽い話とは思えない。本当に忘れたとはちょっと思い難いな。何か言えない事情があるのだろうか?
でも気にはなるが、これはプライベートな事だ。それよりも――、
「その双子……で良いのかな? その子たちも連れて行くんですか?」
見た目は出会った時と同じ。黒い霞の様な透けたドレスに、フリルが付いたエロ下着。
幼い顔立ちを、金髪のツインテールが更に補強している感じだ。
確かに人外な気配は感じるが、見た目は6歳か7歳か……とにかく幼女である。
あれからまるで成長していないし、人間でない事は確かなのだろう。
「確かに見た目は幼いからな、気になるかね? 安心しろ。見た目はさほど変わらぬが、君の幼い恋人よりは年上である」
幼いって言わないで、恥ずかしくなるから。
それにセポナもしっかり聞いて、ちょっとむくれていますよ。
そりゃまあ、身長はさほど変わらないけどね。
というかセポナも全く成長しないな。まあ成長期はとうの昔に過ぎ去って……いや、余計な事は考えない事にしよう。
「決まりで良いのかな?」
「ああ、俺とダークネスさんで本体を倒す。それでこの戦いも終了だ」
「では出発だな。ならば急いだほうが良いだろう。因みにだが、私もハスマタンまでは共に行こう」
「監視って訳か。だがこの状態で、俺たち二人が逃げるって選択肢は無いぞ」
「そこまで見くびってはおらんよ。ただハスマタンに入る前に君たちが追い付かれてしまったら、作戦は失敗だ」
「こちらに来るのが前提かよ」
「それ以外は全て対処済みなのでね」
「へいへい」
「では問答はもう良いな。行くぞ」
ここまで来たら他に選択肢も無い。それに、
もし俺達の方に
「じゃあ行ってくる。またいつもの場所で会おう」
「
「
「ご主人様なら大丈夫だと思いますが、ちゃんと戻って来てくださいよ」
先輩、ひたちさん、セポナは挨拶してくれたのだが――、
「あ、あたしは一緒に行くよ?」
驚いた俺達に対して、
「いや、危険だって。相手は教官を殺している奴だし――」
そこまで言って、一瞬声が詰まる。
確かにそうだし、戦ってもいる。実際には生き延びたとはいえ、自分の中では一度殺してもいるんだ。
ただあの時は、もうやるしかなかった、だから罪悪感などの余計な感情は外していた。
でも今回は前とは状況が違う。まだ遭遇までは時間があるんだ。先に、今ここで覚悟を決めておかなければいけない。だけど、実際に出来るのか?
けれど
やるとしたら本気で、俺の意思であいつと殺し合う事になる。だけど、もう逃げるという選択肢は無いのだろう。
「今回は相当に危険なんだ。今までの中でも、一番危険かもしれない」
「だからこそ、誰かが行かなきゃいけないんでしょ。幸いあたしはボッチだし、こういう時は適任なんだよ」
「そんな事を言うなよ」
「でも、もしアンタが帰って来れなかったら、どれだけの人間を悲しませるか分かっているの?」
それを言われると痛い。
あの時も、もし
というか、確かにメンバーが男ばっかりだ。ダークネスさんと一緒にいる双子は気にしないでおこう、無関係だ。いざという時、何の保険も無い。
「早く決めてくれるとありがたいのだがね」
「今決めたよ。分かった、一緒に行こう」
こうしてチームは3手に別れた。
先輩たちは
そして俺達はハスマタンへ。
でも俺には何となくわかっていた。
そして、その予想が当たる事を祈っていたんだ。
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