第174話 解散
拠点に戻った
部屋の隅で
「どうした、何があった!?」
召喚者はスキルの覚醒と共に常人よりは強くなる。それがこんな状態になるという事は、最悪
「何があったんだ! 答えろ!」
しかし
「い、妹さんの使いっていう人が来て……その後みんなを追ったんだけど、何か変だなって思って引き返したの。でも何処にもいなくて。
申し訳なさそうに、それでも伝えなければと泣きながら必死には話す
背後から全身に衝撃が走り、左の肩甲骨が割れた感触が走る。当然ながら意識が飛ぶような激痛だ。だが肉体強化をしている
冷静になって周りを見渡すと、攻撃してきたのは
ベテラン連中の紅一点。いつかは始末する予定の相手。齢は二十歳で、日本ではアルバイトで生計を立てていたという。本人の戦闘力は皆無と言って良い。
だが彼女のスキルは強力無比であった。
それはカウンター。それもただのカウンターではない。受けたダメージの対象は自分を含めた周囲のモノ。モンスターでもお構いなし。極端な話、相手そのものを対象にし、与えたダメージをカウンターとして更に与える事さえも出来る。
そしてその周りには、
「アンタ自分が何をしたか分かってんの!
見れば、
そしてそんな彼女を庇う様に、
それでも生きている。理由は
そして
――俺はなかなか死なないんだな。
三人をここまでにしておきながら、その威力は自身の骨が少し割れた程度でしかない。
だがそんな事は、もうどうでも良いだろう。
「もうチームは解散よ。文句は無いわね」
そう言うと、
「急いで三人を病院に運んで! それと応急処置! 早く!」
すぐに大勢の兵士や備え付けの医師などが飛んできて、一時は騒然としていた。だがそれもわずかの事。全員が運ばれて行くと、部屋には沈黙が訪れた。
その間、
言葉も一言も発せなかった。
なぜこんな事になってしまったのだろうか?
俺は何処で間違えてしまったのだろうか?
あの時か? それともあの時か? いや、まだ日本に居た頃か?
だがどれほど考えても、そこに今を変える力は無い。
破壊された部屋。床や壁に飛び散った血飛沫。拳に残る血と人の皮。そして無人となった宿舎。これが現実だ。もう、時は戻らないのだ……。
そしてもし取りに戻るものがいたら渡してやって欲しいと言い残し、自らは宿舎を後にしたのだった。
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