第119話 俺の知っている奈々はあんなミスはしない
あの巨大な城……というかラブホテルのような建物で会った時、
もし
だがあれは隷属の指輪。互いの愛に隷属するために自分で付けたという。
それだけ重いものだ。どんな状況であったかまでは想像できないが、当人同士とっては重要な儀式であったに違いない。
「
「改めて言うが、召喚者の精神を操る術は存在しない。お主が
「不可能とか――俺を前にしても、絶対だと言えますか?」
「これはしたり。確かにその通りだ。世界は我の知らない事で満ちており、それは今も次々生まれていよう」
「それが、俺が行く理由です。まあ直接
「だが時期を考えれば
「その時はその時ですが、まあスキルを使えばどうにかなるような気がします……それで思い出したのですが、俺のスキルに関して知っていることを全て教えてください」
「以前に言った通りであるが、まだ足りぬかね?」
確かに俺のスキルに関しては以前にも聞いた。だけど、果たしてそれだけだろうか?
「俺は地上で消えそうになりました。正直言えば、もうダメだと思っていました。だけど消えなかった。それにその後……その、まあ、色々あって元の状態に戻れたんです」
「色々あってではなく、色々やってであろう」
――知っているんかい!
まあひたちさんから筒抜けの様な気がするな。デバガメとかではなく、俺の研究のためだろうが。
「ハッキリ言おう、お主はスケベだ」
ハッキリすぎて椅子から落ちそうになったぞ。
というか、そういう言葉を言うタイプの人間だったのか。
「分かり易く言えば、お主が消えなかったのは最後の一線がこの世界と繋がっていたからだ。具体的に言えば
「一応、
「それは頭の片隅にある染みのようなものだな。お主を現世に留めるほどの力はなかろう」
なんか酷い事を言われているが、何故だろう、どこか心当たりがある。
俺は三人を対等に考えていたのだろうか? 何処か
……心当たりが多すぎる。すまない
いや、マジでそう思っているわけじゃないけどな。
「貴方は根っからの女好き」
「男なんてどうでも良いのよ」
双子からのツッコミが入るが、やかましいわ。
「だがそれも切れかけていた。
まるでその場を見てきた……いや、心理状況まで正確に把握していたかのようだ。
そしてそれは、何一つ間違っていない。俺とあの二人との絆は、あの時確かに断ち切れそうだった。
でもかろうじて、まだ最後のチャンスという名の希望の芽があった。それが俺を繋ぐ最後の糸だったのか。
「その後でまあその、知っていると思いますが色々ありまして、俺は普通の状態に戻れたのですが……」
「ひたちさんの巨乳が良かったのかしら」
「セポナさんの無乳が気に入ったのよ」
だからやかましい。
「言うまでもない。お主を繋ぐ、新たな存在を得たという話だ。お主はスケベで、女好きで、更に堂々と複数の愛し、そして相手を出来る男だ」
どう受け取ればいいのだろう……?
「変態」
「スケベ」
「浮気者」
「女の敵」
ですよねー。
「よく言えば、お主は自分と関係の深い者の不幸を放置しておけない性格だ。もし愛する誰かの命が危機にさらされれば、迷わず救いに行くだろう」
「それは当然では?」
「だが女性に限るだろう?」
返答に困る。
「それがこの世界にお主を繋ぎとめる絆だ。その性格は調査の結果わかっていた。だが共に居た二人の状況が状況だったのでな、ひたちが志願して、お主をこの世に留める
「それで俺を誘惑していたんですね」
「まあ、その前にあんな小さな奴隷を囲っているとは……ククク……思わなかったがな……ククククク」
その後の結果が結果だっただけに、もう何も言えねぇ……。
「スキルは使い続ければ、更に強力な力となるだろう。だが同時に、それはお主がこの世界から消える危険が増すという事だ。それを防ぎたければ、この世界により多くの絆を作る事だ。あえて言うのなら、ハーレムだな」
この人の口から、そんな言葉を聞く事になるとは思わなかったよ。
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