異世界召喚されたのに与えられたスキルが『ハズレ』だったので追放されましたが、実は最強スキルだったので復讐して必ずこの世界を脱出してやるよ
第45話 意味は理解できなかったが危険だという事だけはわかった
第45話 意味は理解できなかったが危険だという事だけはわかった
目の前に立つのは、怪しすぎるほどに不気味な黒い騎士。
実際のところは分からないが、馬に乗っているから騎士で良いんだろう、多分。
見た所、武器は腰に下げている黒い剣。
勇者の剣より太く長い。それに左右に立つどう見ても人間ではない子供。
敵では無いようだが、さてどうするか。
「まだ来て数か月だというのに、まるで熟練の戦士のようだな。まあ、そうでなければあの二人や現地人の兵士達を相手に生き延びることは出来まい。もっとも、そのスキルによるところが大きい。本人はまだまだであるな」
その言葉は、俺にとっては雷撃のような衝撃だった。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。俺の事を知っているのか? いや、それに数か月って?」
時間の感覚は全く分からないが、少なくとも今はセポナがいる。
こいつと出会ってからの体感時間に間違いは無いはずだ。食って寝て、普通に起きる。セポナのリズムは人間のそれなのだから。
なら意識を失っている間か?
一体どこでそんなに時間を使っていたんだ。
それに――、
「俺のスキルが分かるのか? なら教えてくれ。いや、教えてください。ええと……」
「我が名はブラッディ・オブ・ザ・ダークネス。遠慮なくそう呼ぶがよかろう」
――聞きたかった事が、全部頭から飛んでしまった。
「すみません、もう一度お願いします」
「ブラッディ・オブ・ザ・ダークネスだ。忘れるな」
ええと、ツッコミを入れるべきか? それとも言葉通りに受け取って良いのか?
召喚者かと思ったが、それは俺の勘違いか?
だとすると、双子っぽいのと同様に魔物の類?
疑問は尽きない。だがあの時、黒竜も俺達の言葉を話していた。
魔物が会話できないなんて事は無い。
むしろ話が通じるだけ、人間よりもましかもしれない。
「ブラッディ・オブ・ザ・ダークネスさん、教えてください。俺のスキルは何なのですか?」
「そうさな。一言で表すには難しい。そうだ、ハズレと言われたのであったな。ククク、傑作だ。貴様にアイテムを渡したくない理由もまた道理よ」
「いや、笑い事じゃないんです。つか、アイテムを渡さなかった?」
わざとだったのか? まるで事情を全て知っている口ぶりだ。
そもそもここで出会ったのは偶然か?
それは――なさそうだ。
「貴様のスキルはそうさな、さっきも言った通りだ。言葉にするのは難しい。明確に表す言葉は無いのだよ。人外とも言えるし論外とも言えよう」
なんかろくなものじゃないな。
「だがあえて言うのであれば理外。この世の法則の外に足を踏み入れたスキルよ」
「それは――強いんですか? というより何が出来るのですか?」
「望むのであれば何でも出来よう。意識する、しないに関わらず、貴様はこの世の条理とは離れた存在だ。だが離れれば離れるほど、この世界の者ではなくなるであろうがな」
「つまりは?」
「誰も貴様を認識しない。貴様もこの世界を認識しない。世界にありながら存在しない影法師。幽霊よりもなお希薄な存在。例えば今貴様がこの地で滑らないのは、体の一部をこことは違う、別の世界の法則に置いてあるからだ。その分だけ足元は安定はする。この世界の影響が薄れるのだからな。だが当然、それだけ貴様の体はそちらの世界。つまり理外だ。
「セポナ、分かるか?」
こっそりと聞いてみるが、
「難しい言葉が多すぎて、何を言っているのかさっぱりです」
予想通りの答えが返って来た。
だがなんだか物凄く嫌な事を言われたのは間違いないだろう。
このままだと消える? その辺だけはよく分かった。
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