第4話 討伐令①
「お嬢様、今日は遅いですからもうおやすみになって下さい。」
メイドのセレーネが私をベットに押しやる。彼女のミルクティーのような色の髪がくくられているリボンは私が去年の誕生日にあげたものだ。彼女は私が外を眺めていた窓を容赦なく閉め、鍵をかけた。
「今日は月が綺麗ね。」
「知りません。寝てください。」
ベットの中から私が声をかけると、ドレッサーの前に散らばった私の抜け殻を片付けるセレーネは不愛想に答える。彼女は私のメイドだがそれだけが仕事ではない。侍従見習いにいるもう一人のクレトという青年もそうだが私のもう一つの面のサポートをしてくれている数少ない仲間だ。
「セレーネ、森の動きは?」
「何もないに決まってるでしょう。寝てください。」
セレーネはため息をつきながらまた答えてくれる。無視しないのは嬉しい。
「動きがあったらすぐ言ってね?言わないと減俸だからね?」
「うるさい。寝ろ。」
セレーネが呆れてきているがセレーネと話せるのが嬉しくてついついちょっかいをかけてしまう。セレーネの素では私にも敬語を使わない。そういうところも好きなので私はニコニコ笑う。
「はーい!寝るからあとは任せたよ??」
「はい、仰せの通りに。月夜の女神様?」
さっきの執拗な話しかけへの反撃かセレーネは表情を一瞬崩し挑発的に笑った。私が急な反撃にひるんでいる間にドアは絞められた。
長い夜が始まる。
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