ーかつて、革命のために立ち上がった男に陶酔した民衆。だが、彼らは国が戦争に負けた途端反旗を翻し、彼に憎悪を寄せていた……。ー
私にはどうにもこの物語が「遠い世界の出来事」ではなく、「私たちのすぐ隣にある出来事」のように思えてくるのです。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、生活形態が変わり抑制を強いられる状況が続いている昨今。政治不信が増し、人々の心は不安や焦燥、怒りによって満ち溢れている。一度失敗した「人間」を「人間」とも思わず、中傷し自らの怒りをぶつける。この状況は、ドゥーチェを神格化した人々の心理状況、社会状況と酷似しているものがあるのではないでしょうか。民衆が今もなお救世主を望んでいるように、私たちも救世主を望み続けているのかもしれません。
初めて拝読させて頂いた時の衝撃は今でも忘れられません。これからも応援しています!