第23話

沙織はそれ以降も拘置所がよいを続けた。

根気よく。

根気よく。

そして、いよいよ三上の出所の日を迎えた。

「おかえりなさい」

正門前で沙織が三上に言った。

「オマエとはこれまでだ」

「どうして」

「迷惑をかける」

「言うと思った」

沙織がボストンバックを揺らした。

「いいのか」

「なにが」

「迷惑かけても」

「もう、迷惑かけっぱなしじゃない。

それに、それ単に日本人の常套句で

もあるし」

沙織が笑い、三上も笑った。

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あの白い夏のやうに(短編集壱) @uwm54213

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