第9話
私は一体、何を見せられているのだろう。
「
おかしい。
ほんの数分前まで一触即発の均衡が崩れるか崩れないかのピリピリした空気がこの一帯に蔓延していた。
…いたのだけれど、そんな空気はお構い無しとばかりにアーシャは睨み合っていた両軍隊に向かって停戦勧告を告げていた。
その呼び掛けの内容は、大きな争いは資源の無駄になるうえに、星が汚染されるので双方引くようにと言うものだった。
確かに星巫女様としては正しい解釈で唯一正しい命題なのだろうけど、そんな事言われて、はい、そうですか。と引けるものなら争いなんて起こらないだろう。
だけど、私はその先の光景を知っていた。
でも、すぐには結びつかなかったのだ。
実際に聞くと見るのでは大違いで、目の前の情景と頭の中の記憶情報が結びつかなかったのだ。
当然、両軍からはアーシャに向けて怒声や罵声、更には嘲りや罵りがあちらこちらからと飛ぶわ飛ぶわ。
結果は火を見るより明らかな訳で。
ブチ切れたアーシャは星巫女の力を解放した。
→イマココ。
突然の嵐の中、大勢の人達に降り注ぐ雷の柱群、雹や飛ばされた石礫が舞う竜巻の群れ。
きっと、アーシャのあれは呼び掛けと言う名の最後通告だったのかも知れない。
そして、目の前には今も増え続けている両軍の屍の山々。
その範囲に運良く?居なかった人達は上から下からと色々垂れ流しながら腰を抜かしていた。
更には、我先に逃げ出そうと地面を這いずり回っている人。
命乞いをする人。
それでも、一縷の望みに掛けて向かってくる者達。
瞬く間の内に眼前には阿鼻叫喚の地獄絵図。
因みに、私にも雹やら石礫やらが飛んできましたよ?
所謂1つのフレンドリーファイアと言うのですよね?
知ってる知ってる。
バチバチいってるし。
えぇえぇ、それはそれは勢い良く沢山、色々と飛んできましたけど!
まぁ私の場合、相変わらずのパッシブさんが何も言わずに私に当たる前に色々と弾き返しておりましたが…。
まあ、私がアーシャの隣で突っ立ってたから悪いんですけどね?
だけど、連れてきたのアーシャだよね?
ねぇ、なんで連れて来たの?
私、必要あった?
本気で私、要らなかったんじゃないですか?
ねぇ?アーシャさん?
そんな雑事を頭に過ぎらせながら、私は醒めた目でアーシャの蹂躙を眺めていた。
歴史は繰り返すとは言うものの、人類、学ばないなぁ〜。
故に、こうなる事はある意味必然だったのだろう。
何故、上の人達は学ば無いのか?
これじゃあ、下っ端は報われないな。
たった1世紀前にも同じ様な事が起きてたというのに。
歴史の授業で習いましたよね?
私は習いましたよ?
パッシブさんが止まらない。 no.name @fk2310
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