久々の村訪問。

村の近くでアレクから降りて村の八百屋さんに向かう。


「おかみさーん!!」


店から丁度出てきたおかみさん手を振りながら声をかける。


「おや、アリヤじゃないの!最近見ないと思ったら…」


視線が私の後ろに。


「…彼が狼の獣人かい?もしかして?」


この村にも獣人と人族の番が何組か生活している。だから何となく気がついたんだろう。まぁ、正確には狼ではないけど、聞かれたら狼と答えて問題ない、とアレクには言われている。


おかみさんが私だけに聞こえるようにヒソヒソと「狼の獣人は愛情が深い分、執着が凄いらしいけど、アンタは大丈夫かい?」って聞かれた。


確かに大事にされているけど限度ってあるよね~って常々感じていたけど、おかみさんにはまぁ、それなりに。としか返事出来なかった。落ち着いたら女子会でもしようか、と断れない迫力で約束させられたけど。


「えっと。今日は裏庭で故郷の野菜を栽培していて、それのおすそ分けに来たんです。もしよければ村でも栽培しないかなって。」


今回収穫出来たのがこの2種類です、とおかみさんに枝豆ととうもろこしの塩茹でを出して味見してもらう。


「この枝豆って言うのかい?これは…」


おかみさんの目がキラリと光る。


「分かります?」


私もおかみさんに目で語る。


「「ビアに合うよねー!!」」


満場一致である。二人だけど。ビールに枝豆はこの世界でも通用した。早速おかみさんに残りの枝豆を渡す。


「じゃあ、一旦この枝豆とやら、預かるよ。村で栽培出来るよう食堂で広めて貰おうかね。」


こっちのとうもろこし、は子供達が喜びそうだ、と預かってくれた。なので、芯から粒だけを外してパンに練り込んでも美味しいと話、とうもろこしはそちらで進めてもらう事にした。


ちなみにアレクはおかみさんのニヤニヤした視線にいたたまれなかったようで村にいる間ソワソワしっぱなしだった。


うん、おかみさん私が村に顔を出さなかった、いや、出せなかった理由ちゃんと気がついていたみたいだしね。そりゃ、いたたまれないかもね。


帰りに栄養付けないとダメだよ、って産みたて新鮮卵に搾りたてミルク持たせてくれたしね。


満面の笑みでガンバレ、ってサムズアップされ、苦笑いするしかなかったよ。


…女子会がコワイ。

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今日も元気に生きてます!異世界で。〜愛し仔のスローライフ〜 水無月琉架 @aquaraven

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