第7話終わるん?

『GNPP』第7話。「終るん?」


god.no.psyche.program。神を否定する物語。シーズン1ラスト。微妙な友情に変化が芽生える。僕達は友達だー。



 肯定ペン銀を捕えたのは良かった、が、まさか俺が純水の自由の集会ってか幹部会に召集されるとは夢にも思って無かった。現在地は群雄割拠高校の図書室……幹部会って聞いてたら幹部勢は凄い若いのが多い。まあ群雄割拠高校は通信制も持ってて、割と歳の人も簡単に出入り可能なのだが、コイツ等ときたら相当若い。まあファンサたんがトップの組織だから、そんなに歳のヤツも居ないのは……ってかやっぱり変だなこの組織。


「先ずは自己紹介から始めよう」


 ファンサたんが口を開いた。テーブルは円卓で俺とファンサたんも含めて6人座ってる。それと檻の中に肯定ペン銀って形。


「じゃあ先ずは新顔であるゴッ殿から良いかい?」


 ファンサたんから促されて、自己紹介をする事になる。んー何から話すかな?


「蓮芳須ゴッ殿だ。まあ色々あったけど、宜しく」


 皆の反応は別に無い「宜しく」って普通に返されただけ。俺はゲストさんなのか知らんが、ファンサたんの左側の席で、反時計周りに各々自己紹介を進める。


「賦儀矢トゥ神。ゴッ殿久し振り?覚えてる?お姉ちゃんなんだけどさ?俺達姉妹だよ?」


「賦儀矢シャミ仙。あーゴッ殿か懐かしいな。会いたかったぜ☆」


 へ?まあ、冗談の類かも知れない。トゥ神の方はオレンジの髪に琥珀色の瞳をしてて、大人びた雰囲気を醸し出してて、服装は制服姿だ。シャミ仙と名乗った方は、黒髪でブラウンの瞳をしてて、和服を着てる。どちらも苗字が同じなので、コイツ達同士は姉妹なのだろうが。


「へー。そーなん?全然覚えて無い。はつよろー」


「まあ、徐々に思い出せればいいね。お姉ちゃん応援してるね」


「無理も無いなガキの頃だったし☆」


 冗談だろ?こっちは珍しく少し緊張してたってのに。まあ少しリラックス出来たな。


「じゃあ次は俺、蓮芳須フォウ皇。皆とは違うもん!」


 あれ?俺と同じ苗字だな。この苗字は余り多く無い筈だけど?でも「違うもん」って言っとるな。何か幼い感じの子だ。歳は同じ位だろうが、なんか妹的なオーラある。赤髪が印象的だけど、瞳のバイオレットが印象的な子だ。


「んじゃあ僕だね石原重畳です。宜しくお願いします」


 お、まともそうなの発見。大人しそうな男の子だ。歳は同い年くらいかな?黒髪黒目の普通の子だ。これで全員っぽいな。一応ファンサたんも自己紹介するんかな?


「自己紹介は僕で最後って言いたいけど、皆知ってるから省略ね」


 どうやら本題に入るみたいだな。肯定ペン銀の処断だろうな。


「肯定ペン銀……まあ大手スポンサーではあるけど、少しやり過ぎてるみたいだね。5年前から色々とやらかしてるからね。どうだろう皆?出来れば満場一致で、処断したいんだけどさ?」


「質問良いか?ソイツがやらかした事を具体的に説明求める☆」


 シャミ仙が意義というか、質問を投げかけた。


「うーん長くなるよ?まあ順を追って説明するね。事は10年前から始まった。ミッション保育園で、肯定ペン銀は僕の付き添いとして、卒園式に来てたんだ。その時に僕と同じ歳のゴッ殿に一目惚れしたらしくって、ストーカーまがいの事をしだして……ここまで間違いないかな?」


 肯定ペン銀に視線を向けて、答えを促してる。肯定ペン銀は眉をピクっと動かして、それに応じる。


「ふぉふぉ、ゴッ殿ちゃんは可愛いかったからの、可愛いは正義じゃ! 僕は悪く無い! そんな事より煙草を吸わせてくれんかの?」


うん。ロリコンは死ねばいいよ。煙草吸う資格も無いだろ?


「ダメ。副流煙を吐いて、幻覚魅せる魔法使うつもりだろ?我慢しろよ?」


「ふぉ? 気付いておったか? ふぉふぉ参ったのー」


 うん。ロリコンは死ねばいいよ。てか、あれって分身の術じゃ無かったのね。


「じゃあここまでは認めるんだね。次に5年前の事。ゴッ殿の家族を襲撃して、爆破したよね?それもゴッ殿の誕生日を見計らってさ?」


 ん?じゃあコイツは俺も一緒に葬るつもりだったのかな?


「んー何の話かの?」


 肯定ペン銀は恍けてる。まあこれは、誰でも悪人ならシラを切る場面だけどな。


「ゴッ殿の誕生日プレゼントのオーダーメイドの鎧の購入先……つまりは仕入れ先に何故かアナタの会社名が載ってたのは偶然かな?」


「ふぉふぉ、ゴッ殿ちゃんが着ると聞いてな、その、アレだ。部下が勝手に鎧を創っていたんじゃ。僕はノータッチな」


 全員不信な目で肯定ペン銀を見てる。


「ふーんアナタの部下はゴッ殿のスリーサイズまで知ってたんだね?まるで図ったかの様に」


 ファンサたんがもっともらしい疑問をぶつけた。


「そりゃオーダーだからスリーサイズは聞いておった筈じゃ、確か納期の3か月前には、スリーサイズの……」


「はい、そこまで。アナタは部下が勝手にやってノータッチって割に詳しいね?矛盾って言うね」


 肯定ペン銀は墓穴を掘ってしまった。まんまと誘導されてる。


「……ふぉふぉ。ゴッ殿ちゃんが可愛いから。可愛いは正義! 僕も正義じゃ!」


 ロリコンって怖いんだね。開き直ったよこのジジイ。


「で?ゴッ殿の誕生日プレゼントが鎧と知ったアナタは、オーダー用の鎧開発に携わり。ゴッ殿が鎧を纏った直ぐ後に爆破した。これで良いかな?」


 んーでもタイミングばっちり過ぎだろ?


「それは……僕は別に盗聴とか盗撮はしとらんぞ?断じて違うぞ!」


 うわ、最悪。


「ちょ! なんなん? もしかして家の防犯カメラにハッキングでもしてたん? キモイ!」


「違うんじゃ! ゴッ殿ちゃんを見守っていたんじゃ!」


 うわー。キモ!


「もう良いかな?こういう訳で、個人的な歪んだ愛情の為に罪なき人。というか先代の代表を殺した上に娘のゴッ殿もあわよくば手中に収めようとした悪行許し難い」


 全員の顔をファンサたんが見回して。肯定ペン銀は青ざめてる。一呼吸置いた後にファンサたんが決を採る。


「肯定ペン銀の悪行を処断したい。賛成の方は拍手」


 もうね皆パチパチやってる。勿論俺も。こうして、肯定ペン銀は巨大宗教連合「純水の自由」内の収監施設送りになった。


皆の事も気になったが、鎧メット部分の回収を急ぐ算段もあったので、会議を後にした。トゥ神とシャミ仙から「またね」と声を掛けられたが、なんか姉妹と言われて釈然としなかったな。まあ何かの例えかもしれないし、あんまし気にしない事にした。


「ではこれにて閉幕だよ。皆お菓子とお茶持って帰ってね」


こうして純水の自由幹部会は幕を閉じた。


†††


「疲れたー僕頑張ったよね?」


「んー頑張ったんじゃね?良くあそこで誘導できたね」


 図書室を抜けて、俺とファンサたんは群雄割拠高校の廊下を歩いてる。目的地はファンサたんの家。家と言っても別荘の一つらしいが、学校から徒歩2分のお土産店の裏に別荘がある。んで歩いて行く。


「もっと褒めてよ?」


「良くできました! これで良いん?」


「えー、もっと」


 会議が終わった途端に子供っぽいファンサたん。まあ好きだけどね。


「じゃあ報酬の残り……鎧のメットくれたらご褒美あげるよ?」


「じゃあ急ごうか! 僕脚早いよ? よーいスタート!」


「ちょ! なんなん?」


 追いかけっこ? 目的地まで歩いて2分無いぞ?



「ぜえぜえ……」


「ゴッ殿おそーい。息切らしてるの変!」


「うるせえ、水くれよ。喉カラカラだああ」


 ファンサたんの別荘であるお土産店裏で、くだらないやり取りを交わす俺達。黒猫が過った。てか黒猫がじゃれてくる。猫に構ってる場合じゃ無いのになー。


「はい、幸運の天然水あげる! 友達だろ?」


「友達だろ? ってかそれ好きだよなー」


 俺はペットボトルの水を飲み干して、ファンサたんの方に目を向ける。黒猫は何処かに行ってしまった。


「あれ? 可愛い……いや可愛いな」


 俺は柄に無くファンサたんを褒めた。何か急に可愛く見えてきた。


「あれ? ゴッ殿には効果無い筈なんだけどな?」


 なんなん? よーわからんが、可愛いく見えてくる。抱き付きたくなる。ってか抱き付く。


「ぎゅ!」


「うわ。ゴッ殿まだ早いって」


 なんなん? かわゆす!


「僕の水を飲むと、惚れてしまう効果あるんだよ? その所為でゴッ殿は変になってるだけ」


「そーなん? でも可愛い」


 なんか。魔法云々の話はいいや。可愛い。


「鎧のヘルメット上げないよ? 友達だろ?」


 えーそれは困る。


「しゃーない、メット貰って帰るわ」



 玄関上がって、ペットボトルアートの考える人横にある隠しスイッチで、隠し通路通って、地下に潜る。鎧のメットと二振りの聖剣がある。俺のお目当てはメットだ。剣術は実は疎いのと、刀は要らないって前言ったから、刀は取り敢えず要らない。


「メット貰ってくぜ。てか被っていく」


「良いよ。被ってみてよ。似合うって思うからさ」


「よいしょ」


 あれ? 被ったはいいけど。何かバイザーに変な文字浮かんでるぞ? 「God.no.Psyche.Program?」なんなん?


「ゴッド、ノー、プシュケー、プログラム?」


†††


 僕ファンサたん。ゴッ殿がメット被ってからピクリとも動かない。バイザー部分に手をフリフリして、意識を確認してみた。すると……


『ちょおまww』


「うわ! 吃驚した! ゴッ殿大声だして変だよ?」


『お前は誰だ?』


 ん? ゴッ殿の様子変だな? なんだろ? 殺気?


「僕ファンサたん! 僕達友達! ゴッ殿変!」


『お前は敵か? 敵の様だな』


 何言ってるんだろ?


「ゴッ殿?」


『ちょおまww俺様は蝶魔様だ! 身の程を知るが良い!』


 明らかに変だ……それに蝶魔って確か2代前の純水の自由の代表の名前……。蝶魔と名乗ったゴッ殿が聖剣の一つアメノハハギリの方に歩み行く。嫌な予感しかしない。


『俺様のアメノハハギリだな。ふむ、先ずは試し斬りじゃ! ちょおまww』


 ヤバい! 殺される! 僕は咄嗟に手元近くのアメノムラクモを手に取り応戦する。


「な、に? ゴッ殿じゃないの?」


 鍔迫り合いの形になる。メットからは緑色の光が漏れてる。明らかに殺気が感じられる。もの凄いプレッシャーだ。


『生意気言ってるんじゃねえ! 俺様はちょおまww』


 勢いよく力で押される。剣技には自信あったけど、流石に力が違い過ぎる。蹴りで腹部を直撃させられて体制を崩してしまった。


「ぐえ。。」


『まあ? 俺様が相手だから瞬殺だなwwちょおまww』


 僕は勢いよく、下段の構えから上方に斬りかかった。もう形振り構ってられない。が、僕の剣は絡め取られて空中を舞う。


「まだだ! 目を醒ませゴッ殿!」


 相手の脇が開いたのを見計らい、顔面。。。つまりメットのバイザー部分に拳を叩き付ける。所謂ワンツーだ。相手が後ろにぐらついたのを見て


、追いかけてワンツーを追加で打ち込む。スリーフォーだ。


『ちょおまww舐めやがって!』


 相手のメットが割れて落ちた。ダメージは無いものの、顔が露わになった。そこには良く知ってるゴッ殿の顔があった。だけどいつもの眼つきでは無いし、瞳の色が違う。ゴッ殿はブルーアイだけど、今のコイツは、エメラルドグリーンの瞳をしてる。


「お前は誰なの? ゴッ殿を返してよ!」


『ちょおまww』


 相手の剣撃を寸前で交わして、ボクシングスタイルの構えを取る。相手はパワーもスピードもある。ましてや素手と刀では勝算は無い。どーしよ?


「あ! これあげる! 幸運の天然水。友達だろ?」


 僕は閃いた。これを飲ませれば勝ち確定じゃん?僕の魔力で惚れさせてゴッ殿を返して貰おう。


『ダメダメ? 魔法の匂いがプンプンするぜ! クタバレや!』


 相手が斬りかかってきて、咄嗟にペットボトルを投げる。空中のペットボトルが真っ二つに切れて、中身の水が飛び散る……が、鎧の胸部分に掛かるだけで、顔に掛からなかった。これでは幻覚作用の魔法も効果無い。絶対絶命だ。。。足を滑らせて、辛うじて転ぶ形で一撃を避けた。


『……お覚悟願おう』


 相手が腕を振り上げて、もう、何も反撃手段の無い僕は目を閉じた。


「ゴッ殿ごめんよ……約束守れなかった……」


『……』


††


 僕は覚悟を決めて目を閉じてから、どれ位経っただろうか? まだ最後の一撃が来てない。僕はまだ生きてる。恐る恐る目を開けてみた。


「あれ? ゴッ殿?」


 目の色が青に戻ってる。でも泣いてるうえに意識も無いっぽい。刀も手から落としている。僕は手を握って大きく振り回した。


「僕達友達! 握手で友達!」


「……」


 これで目を醒まして。ゴッ殿、想い出して、僕達の友情を。。。ダメだまだ届かない。


「むう、じゃあこうするまでだ!」


 僕は腕を引き寄せて、ゴッ殿にぎゅーって抱き付いた。


「わわ、なんなん!? あれ? どーしたん?」


「良かった! 元に戻った!」


 僕は嬉しくなって顔近いけど、もう少し近づけた。温もりが重なる。


「もーなんなん? ファーストキスじゃん!?」


「そだよ! ゴッ殿とはずっと友達!」


†††


 こうして、今僕の隣にはゴッ殿が居る。幸せになるのはもう少し先だけどさ? 今も十分楽しいよ? 友達だろ?


「ねえゴッ殿、今回はここまでみたいだよ?」


「え? 終わるん?」


 青い空に、入道雲が掛かってる夏の始まり、僕とゴッ殿の甘い1ページ。青春を謳歌するぞ! 友達だろ?


ーfinー


†††


ー後書きの魔術師の後書きー


 今回のテーマは百合+カルト宗教+格闘です。今メイン張ってるシリーズです。お楽しみ頂けたでしょうか?ネタの総括としては、ズバリ「僕達友達! 握手で友達!」です。要所要所にこのネタをここぞの時に使って様式美にしてます。


 「友達だろ?」この台詞は昔絡んでた悪友が良く使ってました。まあ本作とは意味合いが違って、「友達だろ?」を連呼するヤツは友達じゃ無い法則ですね。はい。「ゲーム貸して友達だろ?」こう言われて小学校時代にゲームを借りパクする同級生は居ませんでしたか?あるある過ぎるけど、これも友達では無いパターンですね。


 まあ本当に友達なら、「友達だろ?」って連呼はしないです。「友達」って便利な呪文です。相手に断れない、断りにくい空気を創って、思うままです。洗脳ですね。


 アナタの周りに「友達だろ?」を連呼する人は居ますか?居ると答えた。そこのアナタ! 本当の友達を見つけましょう!


 友情ってヒビが入り易いものですか?友達とは仲良くしてますか?本当に友達って言えるのは、自分に何も無くなった時に手を差し伸べてくれる人だと僕は思います。


 まあ、本当の友達が居るのはあんまり居ない気がしますけどね。恋愛よりも友達を優先は出来ないけど、でも、だからこそ、友達は大事です。恋人は別れたら終わりだけど、友達は中々切れないものです。皆さんも友達は大事にして下さい。


 だってさ?これ読んでくれた人は……友達だろ?



ちょおまww俺様の扱い酷くね?


まあいいじゃん?文句言うなよ?


てかさ? 少し良いか? お前に友達居るのか?


流石は俺だ!(ちょおまww黙ってろ!)


ちょおまww居ないじゃんwwそれ使い方間違ってるしww


うーん、まあネッ友には恵まれてるよ……


ちょww


ネットからも友達は始められるよ。


おまww


まあいいじゃん?


ーfinー



告知。シーズン6まで予定してます。暖かい目で見守って下さい。以上Agでした。チャオ。


皆観てくれよ? 友達だろ?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

GNPP 天獄橋蔵 @hashizho

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ