48.俺達だけじゃないさ
食堂の片付け、壊れた
マリネシア本島は南北にやや伸びた
無論、ユッティの発案だ。
ジゼルとマリリの水着まで、しっかり持って来ていたのもさることながら、お互い武器の不所持を明確にしないと話もできない、という主張には、立派な説得力があった。
三人は華やかな水着姿で、マリネシア海軍とナドルシャーンまで含めた男達は適当な下着姿で、とにかく色々と海水に流して、白い砂浜に座ったり、寝転んだりした。
団体の
「私が紹介する筋合いはないのですが……
「もう少佐ではない」
カザロフスキーが、小さな青い目を、じとりと細めた。
「きさま達のせいだ」
「そうそう! こいつ、イスハバートの責任を取らされてさ。降格して中尉、おまけに情報部に転属されて来たんだよ。同格だけど先任だから、俺が指揮官な!」
バララエフが、突き飛ばす勢いでカザロフスキーの肩を叩く。心底、愉快そうだ。
上半身をはだけているので、並ぶとバララエフの骨格も筋肉も、ことさら太く見えた。
「はっはっは! 特進なら聞いたことあるが、二階級の降格なんてあるのかね? おまえさん、意外とおもしろい奴だなあ!」
反対の隣で、ヒューゲルデンが大笑いする。こちらはこちらで、鉄の
「ええと、では……カザロフスキー中尉」
「中尉と呼ぶな!」
「どうしろと言うのです」
ジゼルが
「つまり、ひげが言ってた、お宝の
「俺達だけじゃないさ。宮殿に赤毛の
また、
アルメキア共和国は、フェルネラント帝国や、ロセリア帝国のあるオルレア大陸から
元はオルレア大陸からの移民の開拓地だったが、先住の有色人種を
豊富な資源と労働力を
ナドルシャーン
「ちょっと、お兄様、どういうことよ? 本当に宝石以外、お宝っぽいものに心当たりないわけ?」
「知らん。こっちが聞きたいぐらいだ」
ユッティとナドルシャーン、そしてジゼルも、困惑した目を見合わせる。
「戦局の行く末を左右する力、というのも、笑っていられなくなりましたね」
ジゼルが、ふとヒューゲルデンをにらむ。
「ところで、ロセリア帝国の情報部に通じているとなると、ヒューゲルデン様も世界革命とやらを
「いや。そんな
「なんだとっ?」
今度はカザロフスキーがいきり立った。
「きさま、今さらなにをとぼけている! 軍事政変も革命だ! 旧時代の体制に
「周りを見てものを言いなよ。ここの連中の誰が、
「無知な人民を指導するのも我々の使命だ! 旧支配階級を打倒し、
マリネシア海軍の面々が、それまでとはまったく違う顔つきになっていた。感情を殺した、冷たい目でカザロフスキーを
筋肉の
「だから、周りを見てものを言え、ってんだ。この国で……いや、このマリエラの海で、マリネシアの
「だ……だが、きさまは……我が国に、後ろ盾を……」
「そりゃあ、この
ヒューゲルデンが、薄笑いのまま、カザロフスキーをにらんだ。
「けどな。それもこれもマリネシアの国と皇統を、くだらねえ戦争騒ぎから守るためだ。人民の解放もけっこうだが、この国には合わない。悪いことは言わないよ、
「そうだなあ! 確かに、こんなのどかな国に革命なんて似合わない。ジル達が出て来たってことは、フェルネラントもおとなしく手を引く気じゃないだろうし、お宝探しも本格的におもしろくなってきたし、なあ!」
バララエフがまた、突き飛ばす勢いでカザロフスキーの肩を叩く。そしてヒューゲルデンと、目線を交わした。
「将来の話は置いといて、今はとにかく手を組まないか? 女をたぶらかすしか能のないあの優男が、一人で行動しているわけないぞ。アルメキア軍が動き始めているはずだ。ひょっとしたら、どこかにもう上陸しているかも知れない。戦争に乗じてアルメキアが勢力を伸ばすのは、俺達ロセリアにとっても、
フェルネラントの出方次第では、今、この場のロセリアは用済みになる。確定情報ではないが第三勢力の影をちらつかせて、対立構造を素早く調節する。
さすがの
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