46.ごたごた増やしてんじゃないのさ
マリネシア
ただ、船は、古びた小さな
申し訳程度でも軍服を着ている人間はまばらで、むしろ漁師の方が多く、空いた
「少し前まで、フェルネラント帝国海軍が
「だからデンさんは、マリネシアのために残った、ってわけ?」
ユッティが、ヒューゲルデンを適当に省略する。本人も、特に気にした様子もなく、答えた。
「そんな格好つけたもんじゃない。軍港も施設も、俺達が一から
感情の
明確な犯罪行為だった。
それでも後日、駆逐艦は正式にマリネシアに
フェルネラント帝国海軍は、海洋国家として
捕らえられれば死刑が当然なのだから、死ぬまで戦う
そして最新式の巡洋艦ならともかく、古く小さい戦闘艦艇に、十分な救命装備はない。敵味方を問わず、船が沈めば、乗っていたほぼ全員が死んだ。
多くの敵を殺し、少なくない味方を死なせた。
皆殺しの
「一階の食堂は、漁師達の女房に使ってもらってる。
「いいね、いいね! 昼には少し早いけど、積もる話はそこでしようよ!」
意気投合するヒューゲルデンとユッティに、ジゼルとマリリは苦笑して、ナドルシャーンは肩をすくめて了承した。
食堂は、すでに多くの客で賑わっていた。
言うだけあって新鮮な魚介類が並び、生の薄切りもある。リントもメルルも、満足しているようだった。
「それで結局、さっきの騒ぎはなんだったのよ?」
早速、麦酒の杯を空にして、ユッティが向かい合ったヒューゲルデンにからむ。
ヒューゲルデンも
「
「ごたごた増やしてんじゃないのさ」
「そいつは、ちと了見が狭いな。世界中が戦争おっぱじめようって時に、お偉いさんなんてやってたって、ろくなことないぞ? とっとと尻まくって、兄妹仲良く隠居しちまう方がよっぽど良いさ」
「
しかめっぱなしの顔で、ナドルシャーンも麦酒を空ける。
ジゼルとマリリは、やれやれといった表情で、果汁飲料を口に運んだ。
一応は警戒して、ユッティとナドルシャーンを挟み、
ヒューゲルデン側は一人だが、何しろ横幅が横幅だから、あまり
「ついでに言えば、この国をほっぽり出す気でいるフェルネラントが、今さら誰を、なにしに
周囲の
ナドルシャーンはヒューゲルデンを、将軍と呼んでいた。海軍を
国事としてのエトヴァルト来訪も、聞いていておかしくはない。その上でこの騒ぎなのだから、
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