43.最愛の妹よ
ナドルシャーンが、
「他国の人間にマリネシアの星のことを話すなど、どのような
衣装はナドルシャーンと同じ、
ナドルシャーンもまた、
「たかが宝石一つ、それも
「マリネシアの星は、我が
「おまえとの争いの種になっているからだ」
ナドルシャーンが、あてつけるようにエトヴァルトに頭を下げた。
「マリネシアの星は
「マリネシア皇帝位は、他国など及びもつかない古代から継承される、
「正直に申し上げて、このような争いの
ジゼルとユッティ、マリリが目を見合わせた。
三人の内の誰かは特定できないが、
目指す秘宝が何たるかは保留するとして、有力候補には接触済みのようだ。
「ルシェルティ、私はおまえを愛している。誰になにを言われようと、おまえと静かに暮らすことができれば、それに
「……っ!」
「そして政治には、政治の現実がある。我らのような小国が独立などし直したところで、今の状態でいるより早く、確実に、白色人種に攻め滅ぼされるだけだ。
言葉の流れ
ナドルシャーンの表情は
「皇統など、このまま空の彼方に消えてしまった方が良い。理解しろとは言わない……ただ、伝えるだけは伝えておきたかったのだ。最愛の妹よ」
ナドルシャーンがルシェルティに背を向けて、杯を飲み干した。
そして初めて気がついたように、酒でないことを苦々しく思ったように、目をゆがめた。
「お兄様……お兄様が、そんな風だから……私は……っ!」
ルシェルティもまた、目をゆがませて走り去った。
もう一度追うべきか、とメルルが尻尾で問いかけたが、いかんせん、ことの成り行きに誰も整理が追いついていなかった。
ジゼルもユッティもマリリも、エトヴァルトを見た。責任者が場をまとめろ、と言わんばかりだ。
「ええと、その……」
「ああ、申し訳ありません。マリネシアの星がどのような宝石か、でしたね。
ナドルシャーンの言葉に、リントが、にゃあ、と鳴いた。
人間の複雑で無意味な事情にはもう慣れた、と、
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