42.なぜそれと特定なされたのでしょうか
部屋に差し込む
確かチェスターと呼ばれていた、あの男性が窓の
水槽を見つめるルシェルティ
黙っていれば、透けて消えそうな
「あの者達の
「正確なことはわかりません。ですが、エトヴァルト皇子がカラヴィナ方面統合軍の内部に、特務部隊を創設したという情報があります。電撃的なイスハリ攻略戦も、その部隊によるものと聞き及んでおります。恐らくは」
「あのような女、子供が、軍の特務部隊であると……?」
「
ルシェルティ皇女の背後にかしこまり、ひざまずきながら、チェスター氏が微笑する。いかにも人好きのする笑顔だ。
水槽に映し見て、ルシェルティ皇女の
「私達の障害、というわけですね」
「どうかお
チェスター氏の
優雅に立ち上がり、ルシェルティ皇女の手を取り、振り向かせる。
かなりの身長差があったが、自然な姿勢で腰をかがめ、ほんの少しだけルシェルティ皇女が見上げる格好になった。
「美しく
「信じて良いのですね……チェスター?」
ルシェルティ皇女が目を閉じ、唇が交わった。
***************
豊富な
ユッティも別段、不満を言うでもない。後から一人で
「そのお話ならば、恐らく我々が、マリネシアの星と呼んでいる宝石のことでしょう。初代皇帝から代々受け継いでいた
エトヴァルトからの
「確かに、世界でも
「失礼ですが、なぜそれと特定なされたのでしょうか」
ジゼルが
ナドルシャーンは笑い事で済ませているが、たかが宝石一つにしては、さすがに尾ひれのつき方が
「貴国の鉄鉱石、あるいは化石燃料の
「それらのものが、言い伝え、とされるほどの昔から、秘宝と認識されるでしょうか?」
「秘宝というのが尾ひれであって、兵器に転用可能な資源の存在を伝承されてきた、と考えれば、より矛盾の少ない解釈になります。鉄器時代なら、古代と言える昔でしょう」
「逆転の発想ですね。なるほど、仮にさらなる未知の
ナドルシャーンが
ジゼルがユッティを見た。ユッティが首を振る。不自然にとぼけている様子ではなかった。
「では、秘宝がそのマリネシアの星として、どのような宝石で……」
「お兄様っ!」
ジゼルの言葉を、
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